AIJシェル空間構造設計技術レビュー連絡会NEW
 第6号 2000.10.4.

AIJ2000東北大会(郡山)(9/8〜10)報告

論説「建築基準法改正への期待と警鐘」(秋山宏先生著)紹介
 秋山宏先生から「鉄構技術(STRUTEC)」誌の2000・10号にご寄稿された表記の論説をご送付いただきました。このNEWSでも何度か触れてきたテーマですので、早速紹介します。項目立ては次のようなものですが、さすがに全体として冷静に論じておられます。
1.はじめに、2.性能設計の意義、3.耐震設計における分析と総合の重要性、
4.基準法改正の現状に対する危惧、5.むすび
 冒頭には、「この度の改正は性能設計の実現に向けた挑戦であり、耐震設計の更なる発展に向けて大いなる期待がかけられている」などと書かれています。「性能設計ではなく性能規定」「耐震設計の更なる発展とは一体何の事」と物言いを付けたくもなります。
 論説後半では、限界耐力計算以外の「建設大臣が定める手法は可能な限り豊かに取り揃えられるべき」「これが提示されないとすると、今回の改正はおよそ民主主義を標榜する法治国家では考えられない前例を見ない改悪の暴挙といわざるを得ない」と論じておられます。この後半にも「これが提示されれば、今回の改正に問題なしと言うのか」とクレームを付けておきましょう。
 これら物言いのたねは、おそらく、今回の建築基準法改定に対する懸念という大同の前には小異に過ぎないと思います。規制緩和の外圧から始まった今回の改定が、その不合理ゆえに再び外圧を受けいささかの改善に向かうというストーリー展開はあまりに情けないと思います。「官の横暴は民が糺す」しかなく、専門職能がその代表責任を持つべきであると思います。
 添え書きには、耐震規定の改定の方向性に対して強い危惧の念を抱いている旨が記され、難局の打開に向けて能う限りの努力を惜しまない、という決意を述べておられます。
 皆様がこの論説をお読みになれば、また違った感想をお持ちになるかと思います。秋山宏先生に率直にその感想をお伝えして大いに論じ合ってください。外圧の再来を待つまでもなく専門職能による自前のオープンな論争が行われ、改善の方向を見出せるよう期待しています。

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