AIJシェル空間構造設計技術レビュー連絡会NEWS
 第11号 2001.5.15.

構造設計小委・第7回会合4/26開催(2001年度第1回会合)
 2001年度最初の構造設計小委・第7回会合は、4月26日(木)夕刻から川口衞先生事務所の一室で開かれました。GW連休の直前で、学会会議室は満室のため利用できませんでした。出席委員は辛うじて過半数の7名でした。
 この会合では、本紙NEWSの第10・第9号を資料配布しました。配付が終わるやいなや「これはすごいことですね。」の声があり、多田英之先生の裁判のことでした。本紙NEWSが小委で初めて積極的に評価された瞬間でした。これで前号記事の速報性は満足できたのですが、正確性において舌足らずの感があり、随所に読み取り難かった点がありましたことを深くお詫び申し上げます。
 多田先生の訴状は「法・第38条の削除」「実験による確認の削除」の二点に絞り、今回の建築基準法・同施行令の改定の不正・不当性を訴えるという趣旨でした。これらの二点は建築基準法という技術法としては本質的な欠陥であり、大方の賛同・支持が得られるとの期待を込められたのだと思います。周囲の方々にこの裁判情報の広報に務めていただく際は、前号の舌足らず情報により明快な補足をしていただきますようお願い申し上げます。連帯と継続は力なり、と信じます。
 「大臣の定める…」については争わないと決断されたことに関して、大臣の定めることがあまりに瑣末に亘り過ぎるのが問題であろうと意見一致しました。一方で、設計実務家にも判断の根拠を法令に求める傾向が強くなっており、こまごまとした数値を決めてもらえば一貫計算プログラムに入力するのに助かるという意見も根強い、ということが紹介されました。
 こんな体験談も飛び出しました。国相手の裁判ではいつも、裁判官が率先して国の体面を汚さないよう腐心する。よくて引き分け、結果的に損をかぶる民。専門のことがらを知らないのは止むを得ないが、裁判の結論に直結するYes Noの答えだけに関心があるようでやりきれない。たとえば「マクロというのは何。」畳みかけるように「おおざっぱということか。」何か答えようとすると「Yes Noを先に言ってください。その後で…。」これが裁判官の発想、というものです。
 こんな意見交換もありました。これまでの大臣認定で無期限の権利(利権?)であったものが、今回の改定の猶予期間2年の後、2002年6月以降は、これまでに確立した技術を使用することさえ危ぶまれる状態にある。大臣認定の技術が柱の会社は、このままでは来年は立ち行かなくなる場合もあろう。法・第38条の大臣認定が無期限ということには疑問もあったが、猶予期間2年の後は一切の権利を召し上げて使わせない、では公正と言い難い。法の公正を保つ方策を用意する義務が行政府にあるのはもちろん、法の公正を要求する社会的責任が関係職能団体にある。
 川口衞先生からは「裁判は努めて冷静に進行させないといけない。この裁判はそう簡単には行かないだろうが、専門家はぜひ応援して行かないといけない。」と発言がありました。小異を捨てて大同に就く精神で、影響力ある多くの構造技術家に理解・協力・支援をお願いしたいところです。中立のAIJやJSCAは、今こそ従来の方針を転換し、建築基準法の再改定に積極的に動くべきです。
(続報) 5月11日の多田先生からの最新情報です。弁護士との打ち合わせで、損害賠償請求裁判が最も効果的であると言われ、免震関係での申請受付停止を損害原因とする訴状の作成を依頼し、6月に最終チェックの予定。裁判所の呼び出しに原告としていつも都合がつくか心配。原告団が作れると助かる。裁判の行方に悲観も楽観もせずゲーム感覚で楽しみたいが、雑用が増えなかなか大変。訴状にはできるだけ多数の関連出版物を添付したいので、情報収集にはご協力をお願いしたい。
 連絡先:〒819-0025福岡市西区石丸3-24-40-504(株)日本免震研究センター

多田英之先生 tel.092-882-2711 fax.092-892-1260
(編集後記):
 情報公開法への対応で各省庁もなかなか大変なようです。それを実りあるものにするためには、国民の側にも大いなる責任がともないます。その先頭に立つべきは関連する専門職能団体であると信じます。国土交通省のHome-Pageは次の通りです。  http://www.mlit.go.jp

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