AIJシェル空間構造設計技術レビュー連絡会NEWS
 第13号 2001.7.4.

(特集:真夏の読書)最近手にした5冊の本の目次を中心にご紹介します。

(1)「構造デザインとは何か 構造を理解しないアーキテクトとアートを理解しないエンジニア」 アラン・ホルゲイト=著 播繁=監訳 A5判 300pp. 鹿島出版会 20001.6.10. \3,500+
THE ART IN STRUCTURAL DESIGN 〓Alan Holgate 1986 Oxford Univ. Pr.
 (目次)序 01.構造デザインのアート 02.設計事例の研究-シドニー・オペラハウス 03.計画と設計の組織 04.資金計画と分析 05.機能計画と構造 06.建築家、建築そして美学 07.アーキテクトとその仕事 08.エンジニアとアーキテクトの関係 09.建築評論とその歴史 10.建築史の年代順スケッチ 11.建築思想におけるテーマ 12.建築を体験する-美学、心理学、意識学 13.設計プロセス-その到達水準 14.課題の定義づけと明確化 15.試験的解答の生成 16.評価と意思決定 17.設計理論とその応用 18.構造エンジニアリングの哲学と批評 19.力の効率的伝達についての原則 20.構造形態の批評のあり方 21.エピローグ
 奥付に示された発行日前にさして大きくはない地元の本屋さんで見付け、目次に18章や20章のタイトルを見て直ちに購入してしまいました。文字は小振りで詰まっていて一気に読むには辛いところがありましたが、おそらく原著に忠実な、丁寧な訳文はよくこなれているように思いました。あえて欲を言えば、増刷の機会にぜひ索引を整えてほしいと思います。
 02章では、シドニーオペラハウスの構造設計について以前読んだ論説の事実関係が、かなり食い違っていることに驚きました。情報の独り歩きに警戒を怠りがちなことを反省させられました。
(3)「裁判官を信じるな!」
柳原三佳・松永憲生・寺西和史 他著 A6判 254pp. 宝島社文庫 2001.5.9. \600+
 (目次)PART1 トライアルエラー 間違いだらけの判決文 頻発! トライアルエラー・シンドローム(柳原) トライアルエラーはどうして起こるのか 村松弘泰 インタビュー(柳原) 日本の裁判官は、軟らかい「アルミ」を硬い「鉄」に変えてしまう?(柳原) PART2 裁判所は変われるか 司法改革のゆくえ ドキュメント「中坊・司法審路線批判」(松永) 日本の裁判官はなぜ自由ではないのか(寺西) 日本の裁判官はなぜ゛血の通った"判決を書けなくなったのか! 石松竹雄 インタビュー(高橋繁行) 裁判所は「サービス業」という意識を持てるか?(相米周二) 「冤罪」はなぜ起こる!? 秋山賢三 インタビュー(高橋) 裁判官は神様じゃない?(柳原) エピローグ 封印された「問題裁判アンケート」
 タイトルと出版元とで先入観を持ちそうでしたが、多田英之先生の裁判のことがひらめき敢えて手にとりました。ところが、内容は日弁連の問題裁判実例アンケート調査に基づいた真面目なものでした。゛トライアル"に゛裁判の"という意味があることを辞書で確認しました。AIJの司法支援の対象はあくまでも裁判所であって、原告や被告あるいは私的鑑定にはタッチしない、とのことですが、各地弁護士会と学会支部と民同士の連携だったらよかったのに、と思ってなりません。

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