AIJシェル空間構造設計技術レビュー連絡会NEWS
 第22号 2002.6.15.

建築基準法第38条廃止の国会質疑:衆議院国土交通委員会 5/8 坪井記念講演会で山田利行氏にお会いし、思いがけず貴重な情報をいただきました。建築基準法の第38条廃止に関する国会質疑が、斉藤鉄夫議員からあったというのです。質疑の詳細は27日(月)に斉藤議員から山田氏にe-mailされ、それが大山にfaxされ、さらに多田英之先生にfaxされました。
この質問日は、多田先生から本NEWS前号・第21号に記した情報をいただいた当日で、何か因縁を思いました。斉藤鉄夫議員(公明党・比例中国・3期)が国土交通省三沢真住宅局長に質疑した会議録を一通り目を通した限り、議員ご自身がよく勉強され、ご自身の言葉で質しているように見受けられました。旧第38条廃止の問題点を突き、多田先生の岩波本「建築の設計と責任」を引用し、新しい技術の開発を認めるルートを残せと迫り、民間が研究開発した技術の告示化・一般化の問題点までを指摘しています。これに対し、三沢住宅局長の答弁はいわゆる官僚答弁に終始しています。
皆様にも是非、この質疑と答弁との内容チェックをお願いしたい、と思います。衆議院ホームページから辿り、「国土交通委員会議録・第13号・平成14年5月8日(水)」の中程です。なお、ご希望があれば質疑部分の会議録を郵送します。質疑・答弁内容のチェックのご意見・ご感想をお待ちします。
こうして、ともかく専門職能に対してボールが投げられたのです。専門職能はどのように反応して打ち返すべきでしょうか。下を向いて黙ってやり過ごすわけには行かないと思います。この種の情報交換に本NEWS紙面がお役に立てば幸いです。記名・匿名も自由、増ページ要請も望むところです。
この国会質疑に早くから気付かれていた構造技術家は、おそらくは少数の斉藤議員ブレーンとして支援された方々を除き、多くないでしょう。何しろ、3週間後にも、複数の専門職能団体(社団法人)の事務局でこの事実を把握していなかったのですから。
民の意思を立法府が十分汲み取っていないという不満がある一方で、今回の質疑の存在を知るまでの経緯から、立法府の重要な情報が関連する専門職能にさえ十分に伝わらなかった現状があらわになりました。このままでは、民主主義の議会に簡単に全体主義が入り込む隙を残していると言わざるを得ません。専門職能の社会的責任を果たすことの一端に、関連分野の問題には積極的に社会を代表して議会をウォッチすることがある、と再確認いたしました。これまではウォッチしなくても情報は常に与えられるとしていた専門職能は、早急に徹底した意識改革が求められているのです。


多田英之先生・斉藤鉄夫議員の面談 6/13 @衆議院第一議員会館
多田英之先生が立法府へ働きかけの意思を固めた矢先に斉藤鉄夫議員の国会質疑でした。多田先生から熱烈ラブコール?に斉藤議員が快く応えられ、6月13日(木)午後、衆議院第一議員会館で1時間ほど、お二人が会われて熱心に話し合われました。お二人をつなぐキーパーソンとして山田利行氏と木村克次氏とが同席され、大山もオブザーバーで参加させていただきました。
議員の執務室があまりにも狭いというのが第一印象でした。3名の公設秘書が入るスペースさえも確保されていないのでした。議員の執務室にはもっと豊かなスペースを用意する代わりに、民のためにしっかり働いてもらう必要があると正直に思いました。
斉藤議員は衆議院文部科学委員会の理事をなされ、いわゆる建設族議員からは遠い白紙の状態から取り組み始めたようです。そのことが却って、ことの本質を掴むことに役立ったのかも知れません。多田先生の説明を熱心に聞き真摯に受け止められたようです。今回の質疑を第1弾に今後も積極的に関わっていきたい、これまでの議員活動で努力してきた科学技術・芸術文化の振興に相通ずるものがある、と述べられました。そして、この問題の解決には、一方では建築設計界で同じ思いの方々を糾合することが大事であり、それに呼応して、理解の得られそうな議員を集めて超党派の会合を持ちたいので、事情をよく説明してほしい、と今後の協力を約されました。多田先生も意を強くされ、今後の斉藤議員の活動に活路を見出したい心境のようでした。斉藤鉄夫議員の連絡先は以下の通りです。

〒100-0014 千代田区永田町2-2-1 衆議院第1議員会館308号室 tel.03-3508-7308
URL http://www.hiroshima-cdas.or.jp/Tsaito/ fax.03-3501-5524

建築基準法の国会質疑を線香花火に終わらせてはなりません。党派を超えた良識ある議員がことの重大性に目覚め結集すれば、再び技術家にも希望が湧いてくるでしょう。皆様もそれぞれの持ち場で無理せず、できることから始めましょう。皆様のご友人に国会議員がおられれば、技術法のあり方・現状について、積極的に意見を伝えていきましょう。手分けしてでも政治の世界をウォッチし、政治への関心を形にし、政治家の初心を鼓舞する必要があるでしょう。これが民主主義なのでしょう。

今回の最大の貢献者である山田利行氏の連絡先は e-mail: tymda@aol.com です。


inserted by FC2 system