AIJシェル空間構造設計技術レビュー連絡会NEWS
 第30号 2003.3.15.

「技術開発と社会認知特別調査委員会」設置12/12(aij構造委員会)
AIJに「建築基準法見直し」の対応組織が設置されたようです。2002年12月12日開催の構造委員会において「技術開発と社会認知特別調査委員会」(和田章委員長)の設置申請が審議・承認されたとのことです。委員会には、稲垣道子・大越俊男・嵩英雄・神田順・菅野忠・高山峯夫・友澤史紀・西川孝夫・長谷見雄二・東清仁の各氏が列しています。
それにしても、この委員会の名称が妙に見えて仕方ありません。クローン人間とか遺伝子治療とかの情報番組を見た後だったからでしょうか。否、委員会の事業計画・期待される成果をストレートに反映していない名称だったからだと思います。学会が言葉を大事にしなくても大丈夫でしょうか。
この特別調査委員会は、2002年12月から2003年5月まで6ヶ月の短期活動を予定している、とのことです。ここでいう「短期活動」が「お座なり」の意味でなく「集中審議」の意味であることを心から願っています。委員長の和田章先生ならびに委員各位の短期集中の奮闘に期待します。
さて、この委員会には直接の責任はないと信じますが、6ヶ月という短期活動の調査委員会設置が及ぼした副作用についても報告しておきましょう。
2003年度大会研究集会テーマに「建築構造技術の法律による規制と構造設計の問題」が同日の構造委員会に提案されました。その目的には、法定化に対する諸問題を、行政・実務設計者・研究者依頼者の立場から問題提示し、学会の担うべき姿を検討する、ということが掲げられていました。いささか遅ればせながらではありますがまさに時宜にかなった提案でした。
しかし、この提案は特別調査委員会設置を口実に棚上げにされたそうです。6ヶ月という短期活動の特別調査委員会なら、日程的にも大会研究集会への報告義務を課されたとしても不思議ではありません。このときの構造委員会の精神構造は一体どうなっていたのでしょう。

「建築法制研究会」発足3/6
これまで何度か紙面に登場した「建築法制を考え直そう会(仮称)・準備会」がようやく発展的に解消(改称)しました。3月6日には装い新たに衣替えして、「建築法制研究会」第1回会合が新橋で開かれました。現在のところメンバー成長率は50%です。やや固い名称の方が動きやすかろう、とこの名称になりましたが、基本的に「出入り自由」の連絡ボランタリー団体です。
新たに建築基本法を考えようという理想家肌から現行法令の運用改善を求める現実派まで、幅広く意見交換・情報交換でき、互いに足を引っ張り合わない暗黙ルールを認めていただければ、どなたも大歓迎です。第2回会合は4月3日(木)午後の開催です。月1回ペースで「生涯学習」と行きましょう。ご関心のある方は是非お気軽にご連絡ください。 kenchiku-law@sakuragi-net.com
しばらくの間、本紙NEWSの帯封の裏面を用いて「建築法制研究会」の情報を発信いたします。

「建基法旧38条 動き始めた」 建設通信新聞・連載記事(2/4〜12)
この記事の連載終了から1週間が経って、構造設計家の方から親切にもコピーをお送りいただきました。一見して、6回の連載とは随分世の中も変化してきたもの、と素直に喜びました。次に、全体に目を通して驚きました。大山の名が2ヶ所にも記載されていたのです。事件の犯人でもあるまいし、取材も何もないままのこの扱い、一体何なんだ、と思いました。
連載は、多田英之先生ともども「まさに暴挙、訴訟も辞さない」と激しく詰め寄っても、国土交通省は実質、黙殺、とありました。しかし、激しく詰め寄ったことは恥ずかしながら一度もありませんでした。多田先生とご一緒は光栄ですが、記述の誤りに違いありません。多田先生の訴訟がスタートすれば、押しかけの広報係で応援したいとは思っておりましたが。
連載は、安部重孝氏のコメントを受けて、ここでいう過激な議論とは…に始まって、「建築法制を考え直そう会(仮称)・準備会」のE-Mail作戦に用いた例の陳情書案の一部をやや不正確に引用して、…きつい表現で迫り、国土交通省や渡海議員の態度を硬直化させていた、とありました。国土交通省のことはともかく、渡海議員の態度が硬直化、とは到底信じられませんでした。
渡海議員は、斉藤議員の国会質疑の会議録と陳情書案とを読まれて、建築専門家としての誇りから直ちに行動を起こしてくださったのです。直接取材結果がこの記事ということなら、この行き違いは重大です。実は、渡海議員の国土交通省への直接の働き掛けを孤立させてはならないとの思いが、例のE-mail作戦の直接のきっかけでした。渡海議員には不要で迷惑な話だったかも知れませんが。
斉藤議員には取材して渡海議員には取材しなかったのでは、という疑念の事実確認のために、日刊建設通信新聞社の編集局宛にfax.し、簡単な文書による回答を求めました。編集総局長の前田哲治氏から電話連絡があり、文書回答では情報源秘匿ルールでほとんど答えられない、ということでした。そのルールを正確に知るためにも文書がほしいと要請し、A4判1ページのfax.文書を得ました。
ここには文句ばかり書きましたが、連載があるまで知らなかった・理解できなかった情報も得ましたから、記事の全否定ではありません。しかし、昨年5月8日の国会質疑を今頃になって大々的に報道しているのだから、その当時にしっかり情報を伝えればよかった、とは簡単に参らないでしょう。
以前、本紙NEWSをいくつか専門ジャーナリズムに送りましたが、敏感に反応してくれたところは皆無でした。それに反して、渡海議員は直ちに行動を起こしてくださいました。その辺りの機微が、残念ながら、今回の連載記事には完全に欠落しています。それを続報に期待したいものです。
今回の前田氏との電話応答で認識したことは、専門ジャーナリズムに専門家から情報伝達の支えが必要であるということです。その情報伝達の「受け皿作り」をしっかりと始めてほしい、と思います。たとえ、情報伝達と称して「恐喝まがい」のものが入り混じる恐れがあり得る、としてもです。
専門紙・誌の発行部数は限られ、一般マスコミのようには情報収集アンテナを張り廻らせません。編集者・読者は情報収集・伝達の困難を共通の認識にしてその解決策を考えて行くしかないのです。


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