AIJシェル空間構造設計技術レビュー連絡会NEWS
 第35号 2003年10月1日

日本建築法制会議・第2回総会9/11

「日本建築法制会議」の第2回総会は9月11日(木)午前に開かれ出席者7名でした。
何とか出席者数を二桁にという願望は残念ながら叶いませんでした。
その一方で、我らがホームページのアクセス数はどんどん伸びて、9月6日に2000件突破、という具合でした。
会合では、吉岡和弘「欠陥住宅訴訟と立証方法」(鋼構造ジャーナル2003.8.4)の紹介から始まり、司法の世界と建築の実務界とでは、建築学会仕様書のJASSなどに対する認識に大きな隔たりがあることが分かりました。最低基準を定めた建築基準法の具体化がJASSなど、という認識が司法の世界に広がっているようです。
それに対して、建築学会JASSなどの作成委員の意識は、最低ではなくて望ましい標準ということではないでしょうか。この話題に集中しすぎ、他に用意されていた資料はすべて次回回しになりました。
なお、新潟の朱鷺メッセの連絡通路崩落事故については会員の関心が高く、地元で入手できた新潟日報の記事などを後日配布することになりました。
次回10月15日午前の第3回総会では、損害保険の考え方・裁判外紛争解決の動向などを話題に予定しています。これらすべて今回の積み残しです。ご参加いただければ幸いです。乞うご連絡。
ホームページのアクセス数はその後さすがにスピードダウンしましたが、9月22日に3000件突破を果たしました。皆様のご意見などを掲示板にどうぞ。
ただし、100件を越えると古いものから順に消去されるとのことです。その制限の中でも、幅広く情報・意見交換に利用できれば幸いです。

構造設計小委・第22回会合9/19

構造設計小委・第22回会合は9月19日(金)夕刻に開催されました。出席委員は8名でした。
開会に先立ち、8月26日夜の新潟・朱鷺メッセの連絡通路崩落事故が一頻り話題になりました。
日本建築構造技術者協会(JSCA)の事故調査委(タスクフォース)立ち上げのニュースも紹介されました。
今回の会合でようやく、レビュー原稿がほとんど揃いました。
佐々木睦朗主査からは、10月10日の構造本委員会に目次案まで整備した出版企画書を提出し、引き続き査読を受ける準備に入りたいとの説明がありました。
不完全原稿を提出した身としては、もう一踏ん張りです。
10月末までに査読原稿を完成し、直ちに構造本委員会の指名する査読委員に渡し、次年度2004年度中の出版を目指す。このスケジュールがぎりぎりのものです。
次回の会合を10月17日に設定し、そこで査読原稿案の最終チェックということになりました。
散会後、トルコ・イスタンブールの海外出張から戻られた前主査・阿部優先生の貴重な経験談を聞くと称して、楽しいひとときを持ちました。大量の写真撮影をなされたご様子です。
少し整理された後には、ぜひとも写真映写会をお願いしたいものです。

建築基本法制定準備会の議事録届く9/24

「建築基本法制定準備会」発足総会が8月6日(水)午後に開催されましたが、その時の議事録が9月24日に届きました。
当日の出席者数112名、9月15日現在の会員数203名だそうです。
建築基本法試案(タタキ台)のビラには第1条から第9条が示され、ガンガン議論しましょう、とあります。早速、翌日から、制定準備会ホームページ掲示板に意見の書き込みがありました。これは素晴らしい。
建築基本法制定準備会URL http://www.kihonho.jp/ FAX 03-3289-0352

建築基準法改定の再々質問(衆議院文部科学委員会)5/28

建築基準法改定に批判的な斉藤鉄夫議員が、今度は文部科学委員会で再々質問されています。
建築基準法旧38条問題は、技術開発、大学における研究と非常に深くかかわるという観点から文部科学委員会で取り上げた旨の前置きをし、渡海紀三朗文部科学副大臣の見解を求めています。
渡海副大臣は「・・実質的な改善が見られないならそのときは何らかの動きをしなければならない、議員立法も選択肢の一つであると。
そのときは、私は、政府にいなければ、私も提案者の一人にならせていただきたい・・」と明快に見解を述べておられます。
なお、この質疑応答部分は、日本建築法制会議のホームページにも資料として採録されています。
斉藤鉄夫議員URL http://www.t-saito.com/
渡海紀三朗議員URL http://www.tokaikisabro.org/


新潟・朱鷺メッセで連絡通路崩落事故 8/26

8月26日夜に発生した新潟のコンベンション施設・朱鷺メッセと佐渡汽船ターミナルとを結ぶ連絡通路の崩落のニュースは衝撃でした。
「現場を見る」を実践すべく、遅ればせながら2週間後の9月9日に新潟に行きました。
もちろん現場には近付けませんでしたが、それでも、それまでのぼんやり感はかなり解消できました。
短絡的との批判を覚悟して申すなら、ダブルだトリプルだといくらチェック体制を組み立てても、その中身がマニュアル人間ばかりでは、ちっともチェックにならないと思います。
設計・監理・施工のプロセスばかり焦点になってますが、完工後の日常点検で、不具合がなかったはずはありますまい。
設計・監理・施工それぞれが分離・分割発注された契約に、果たしてどこまで明確に、それらの協働体制を規定していたのか、責任体制が不明確になってしまったのでは、という疑問もあります。
日本建築構造技術者協会(JSCA)は青木繁先生を主査に事故調査タスクフォースを設置しました。大変困難な気苦労の多い仕事ですが、何としても成し遂げていただきたい重要な仕事です。
JSCAの未来が掛かっていると言っては言い過ぎでしょうか。皆様、ぜひ応援していただきたいと思います。
さて、日本建築家協会(JIA)からは、何のニュースも流れてきません。
せめて、今回のJSCAの行動を支持するくらいの声明を出しても罰は当たらないでしょうに。さて、いかがなものでしょう。
人命に関わらなかったことを天恵に最大限に教訓を引き出し、今後に生かす責務がありましょう。マニュアル人間が、急に自前で考えろと要求されてもそれは無理。
マニュアル人間だけでは対処できない職能であるという強い誇りを持ち、事に当たっては自前で考える人間、そのような職能イメージを醸成するためには、日常業務の効率をもう少し落としても止むを得ない、のではないでしょうか。

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