資料1

平成14年5月8日

衆議院国土交通委員会



○斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。

私は、建築基準法についてお伺いをいたします。

 今国会にも建築基準法の改正案が出ておりますが、実は四年前、平成十年に大改正がございました。この大改正の趣旨は、それまでの仕様規定から性能規定へということで、これによって研究開発の促進等が図られるということで、我々も賛成をしたわけですが、どうもその目指した方向に行っていないのではないかという問題意識で質問をさせていただきたいと思います。

まず最初に、この平成十年六月の建築基準法改正の趣旨、特に仕様規定から性能規定に変わったということについて、その目的と予想された効果について簡潔にお伺いいたします。

○三沢住宅局長 平成十年の建築基準法改正は、建築基準の性能規定化と、それからもう一つ、建築確認検査の民間開放を二つの柱として行われたものでございます。  そのうち、特に性能規定化でございますけれども、それまで、個別具体の材料、寸法等を定めた、いわゆる仕様規定によっていたものを改めまして、必要な性能さえ満たせば個別具体の材料、寸法等を問わない、いわゆる性能規定へと規制方式を転換したというものでございます。  その目的は、建築物の設計の自由度を拡大し、また、技術革新とか海外資材の導入を円滑化するとともに、法令で求める性能を明確化するということによりまして基準の透明性を高めるということでございました。  

この結果といたしまして、例えば、例で申し上げますと、免震建築物が一般化したとか、あるいは特殊な処理を施した木材が不燃材料として使用可能になったことなど、その成果は着実にあらわれているというふうには考えておりますけれども、今後とも、技術革新等に対応して、この基準の見直しについては進めてまいりたいというふうに考えております。

○斉藤(鉄)委員  改正のポイントは、先ほど御答弁あったように、性能規定にすることによって、これまで材料とか一つ一つの技術についてすべて仕様を規定していたのを外した、これによって設計の自由度が高まる、それから技術開発が活性化する、このように言われておりました。

 だからこそ、当時のいろいろな大学の先生また構造設計の方々も、これはいわゆる建築学会の雑誌ですけれども、次のように述べておりまして、「性能規定型設計は設計の本来あるべき姿を具現化するものとして、設計者をはじめ一般からの期待も大きかった。 それは、まず、要求性能、目標性能を明確化できること、それを実現するための、設計法や計算法および構造方法は自由に選択できるという展望があったからである」こういうふうに期待をしていたわけでございます。

 ところが、平成十年六月に新しい法ができて、二年後の平成十二年六月に施行令が発せられます。計算法など細かく規定したということですが、これによりまして、自由な発想に基づく設計、研究開発の進展という面から問題が生じている、このように言われております。

 こういうこともありまして、建築学会を中心に、いろいろな研究者、それから設計事務所の設計者、建設会社の設計者等にアンケートをとりまして、果たして四年前の建築基準法の改正がその趣旨どおりに運用されているんだろうかという意見集約が行われております。また、この意見集約に基づいて、建築学会でシンポジウム等も、これは官、学、民それぞれが集まってシンポジウムが開かれておるわけですけれども、どうもその議論を聞いておりますと、先ほど局長がおっしゃった方向に進んでいないのではないかという議論がございます。

 例えば、これは、いわゆる建設省の建築研究所の研究員、前の建築基準法の改正をリードした人でございますが、このように言っております。性能規定化は、建築物に要求される性能を明確にするとともに、構造技術者の裁量のもと多様な材料や構造形式を可能とするものであるはずである、この性能規定化の目的が技術革新の推進にあることを忘れてはならない、しかしながら、判断基準は厳格さをきわめたものになり、また方法も一定のルール以外は認められないといったことが起きて、結果として、悪いものは排除できても新しい技術を容易に認めないといった科学技術立国にあるまじき状況も生み出してしまっているように思う。このような状況も生まれてきているわけでございます。

  この問題意識で種々質問をしてみたいと思うのです。

 まず最初に、この建築学会のアンケート等でも一番たくさん出てきた意見ですけれども、旧三十八条というのがございます、古い建築基準法にあって今の新しい建築基準法になくなったもの、三十八条。この三十八条によって、新材料それから新構造方法の開発など新しい技術の研究開発が促進されてきた、けれども、これがなくなってその技術開発の方法が、道が閉ざされたという意見が一番多くこのアンケート、構造技術者のアンケートにも出ております。

 まず三十八条ですが、旧三十八条、今はない条文ですけれども、読んでみますと、「この章の規定又はこれに基く命令若しくは条例の規定は、その予想しない特殊の建築材料又は構造方法を用いる建築物については、建設大臣がその建築材料又は構造方法がこれらの規定によるものと同等以上の効力があると認める場合においては、適用しない。」つまり、前の建築基準法は事細かに仕様が規定されておりましたが、それ以外の新しい技術については、これは大臣認定でいいんだ、これが三十八条です。

 具体的には、新しい技術を開発すれば、いわゆる財団法人の建築センターに持っていき、そこでこの三十八条に基づいて、大学の先生、約二十人だそうですが、この二十人の大学の先生方がこの新しい技術について検討し、これはオーケーというお墨つきをつけて、大臣認定になる、そして新しい技術が世の中に出る。こういう三十八条が残っていたのですが、新しい建築基準法ではこの三十八条がなくなった、この点を問う声が一番多いわけでございます。

 その建築学会のあれでも、これはそのシンポジウムでの学者の発言です、材料、構法を分離しての評価は不適切なので、建物個別に旧法三十八条の認定を得た従来の方法が合理的であり、その趣旨を受け継いだ個別評価の道を残すことが望ましい、こういう声もございます。

 また、これは岩波が出している「建築の設計と責任」という多田先生の、有名な構造技術者の本ですが、こういう文章がございます。「建築基準法第三八条は新しい設計手法が世に出るための抜け穴の役割を果たしていたが、今回の改正によって第三八条が消えた。これは、同条の実質的廃止を意味する。このままでは建築界の逼塞は避けられない。」とか、ちょっとしつこいようですが、「法に定義されていない新種の設計手法であっても、「実験」によってその正当性、安全性を明らかにすることができれば「例外」的に合法として認めることをうたった第三八条が救済措置としての機能を果たしていた。」「今回の改正によって、事実上「実験」という抜け道が塞がれてしまった。」「建築の社会から自由な設計能力が奪い取られようとしているのだ。」こういう指摘もございます。

 この三十八条がなくなった、研究開発によって新しい手法、技術、構造方法、材料を世に問うその道がなくなったということが、研究開発の道を閉ざし、科学技術立国としてあるまじき姿を現実として現出している、こういう声が一番学会の中でも多いわけですが、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

○三沢住宅局長  旧法第三十八条の規定でございますけれども、旧法は、先ほど申し上げましたとおり、仕様規定が原則でございまして、仕様規定を満たさない新材料、新構法について、旧法の三十八条で仕様規定と同等以上の効力を旧建設大臣が認定するということによって建築を可能にしたわけでございます。

 ただ、やはりその場合に一つ問題になりますのは、何が同等以上かという判断基準が法令上明らかでなくて、ここが非常に裁量性が高い、裁量にゆだねられていた部分であるということでございます。

 これに対しまして、性能規定化いたしました改正後の規定は、どういう性能が必要かという、その要求する性能を法令上の原則として明確に規定して、この性能さえ満たせば具体の仕様規定を満たしているかどうかは問わないということにいたしました。このために、仕様規定の例外を認めるための旧法三十八条は、性能規定の中に包含されるということから、廃止されたということでございます。

 この場合、では、具体的にどういう方法があるかということでございますが、三つの方法がございまして、一つは、高度な計算等により直接性能を検証する方法で、これはまさに国土交通大臣が、やや旧三十八条に似ておりますけれども、認定をする方法でございます。その場合にも、指定性能評価機関による性能評価というのを経まして認定するという仕組みが一つでございます。それからもう一つ、一般化された計算等によって直接性能を検証する方法というのがございます。これは、建築主事が建築確認の中でチェックを行うという方法でございます。それから、従来の仕様規定に該当するものでございますけれども、あらかじめ例示的に、こういうものが性能を満たすものだよという形で規定をする、それを建築主事が建築確認の中でチェックを行うという、この三通りのやり方の中で申請者が選択できるということでございます。

 したがいまして、例えば旧三十八条による認定は、先ほど申し上げました一番最初の、高度な計算により直接その性能を検証する方法で建築する、まさに大臣認定を得て建築するということが可能でございまして、そういう意味では、旧三十八条のもとでできた研究開発の道が閉ざされるということではないと考えております。

 むしろ、旧三十八条認定では判断基準がすべて大臣の裁量にゆだねられて非常に不明確であった。今回は、法令上性能を明確にしまして、基準としての透明性を高めた。そういう意味では、申請者の方からも認定取得の見通しがより立てやすくなっているという観点から、技術開発の促進に資するものだというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、この性能規定化につきまして、昨年の六月から施行して基準化を図っているところでございますが、当然いろいろな御批判もございますので、それらにつきましては謙虚に耳を傾けながら、またいろいろな努力はしていきたいというふうに考えております。

○斉藤(鉄)委員  御答弁を要約すると、三十八条はなくなったけれども、新しい道ができている。昔からあった超高層の時刻歴解析、これは古いのも新しいのも一緒ですから除きますと、旧三十八条で対応していたものに二つの方法ができた。一つは、建築主事が、いわゆる役所にいらっしゃる建築主事が対応することになりますけれども、いわゆる限界耐力法、これによって、簡易な方法でチェックするという道が一つ。それから、もう一つは、その性能規定ということを明確にした上で大臣認定の道が残されている。だから、旧三十八条がなくなっても問題ないんだという御答弁だったと私は解釈をしたわけですけれども、しかし、現場からの声を聞きますと、三十八条がなくなったことによって、実際の研究開発がやはり大きなそごを来している部分がある。

 例えば、これも建築学会のシンポジウムで、今は独立行政法人になっておりますが、建築研究所の構造研究グループ長の先生がおっしゃっていることですけれども、「部材レベルや部分的な架構のレベルへの配慮を怠ったため、それらの限界値への影響が考慮されないといった状況が生まれていると聞く。」こういう表現がございます。

 つまり、どういうことかといいますと、確かに時刻歴解析をするような、コンピューターを使って大きな構造解析をするようなものについては大臣認定というルートが残されているけれども、しかし、建築の構造の研究開発はそれだけではありません。新しい部材、接合部、挙げれば切りがないほどいろいろな新しい構造方法が提案をされております。そういう部材とか架構方法といったレベルでの研究開発については、実は大臣認定ルートというのが現実には存在しない、だから研究開発してもだれも認めてくれるところがない、現実に使いようがない、こういう声もございますが、この点についてはいかがでしょうか。



○三沢住宅局長  性能規定の中では、構造部材に用いる各種の材料の強度を定めるというところが一つ、それから、こういう材料を用いた建築物について構造計算を行って、想定される荷重及び外力に対して安全かどうかを検証するということが一つございます。

 したがいまして、大まかに言いますと、部材開発や接合部の開発につきましても、材料に関する中身と構造計算に関する中身と分けて考えることができるわけでございますが、構造部材に用いる材料につきましては、基準法の第三十七条に基づきまして品質の基準が定められております。これは、従来、JIS、JAS規格を満たさない新材料については旧三十八条の認定でこれをやっていたわけでございますけれども、今回、三十七条の大臣認定を受けることによって使用することが可能になっているというものでございます。

 別途、構造計算につきましては、先ほど申し上げました時刻歴応答解析あるいは限界耐力計算を行うことによって建築することが可能でございまして、こういった新しい部材開発とか接合部開発による構法の実績が積み重ねられればこれをさらに例示仕様として告示するというような基準の見直しも行って、そういう個別の建築行為ごとに認定等を要しないことにすることによりまして、新技術の円滑な普及ということを促進していきたいというふうに考えております。

 ただ、いずれにいたしましても、技術革新の進展は非常に目覚ましいものがあるわけでございますので、いろいろな方々からの技術提案につきましては今後とも十分耳を傾けて、技術基準についてもやはり常に不断の見直しを進めていくということが非常に大事だというふうに考えております。そういうことによりまして、先進的な建築技術の開発が促進されるように全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。

○斉藤(鉄)委員  今の御答弁についてもう一度確認ですけれども、新しい三十七条で材料について規定されている、これは後でまたお聞きします。また、限界耐力計算ルート、これについても後で対応します。この二つのルートで対応できない、大臣認定ルートしかない技術開発について、新しい構造方法でありますとか部材開発といったものについても、今後その大臣認定ルートの道をきちんと開く、そういう技術開発についても大臣認定ルートの道を開くということでよろしいでしょうか、今の御答弁。

○三沢住宅局長  ただいま申し上げましたように、材料についてはその三十七条の認定でいくことは可能である。一方、構造計算の方については、新しい技術について新しい構法の実績が積み重なれば、それは認定ということじゃなくて、むしろ告示そのものを改正して、一種の仕様規定として、こういうのはいいんですよということを認めることは可能であるということを申し上げました。ですから、個別の認定じゃなくて、一般ルールとしてそういうことを取り入れることが可能であるということでございます。

○斉藤(鉄)委員  いや、開発された新しい技術です。積み重ねれば使ってもいいですよというのは、それはもう新しい技術じゃないわけです。新しい技術が出てきたときにそれを認めるルートを残しておいてほしいという意味です。

○三沢住宅局長  新しいルートとおっしゃる意味が、材料については、新しい技術であれば、例えば免震材料の積層ゴムみたいなものであれば、そういう複合的な材料を含めた構造部材そのものについて、実験データに基づいてまさにその法三十七条の認定が受けられるということでございますので、そういう意味で、新しい技術開発の認定について新しい研究の道を閉ざすということではないんじゃないかというふうに考えております。

○斉藤(鉄)委員  三十七条は材料だけですね。今言っているのは、新しい構造方法でありますとか構法でありますとか、材料以上に大事な点です。

○三沢住宅局長  構法と言われますものは、要するに、新しい技術について、やはり材料の問題と構造計算の問題と二通りに分かれるんではないか。材料に関する内容は今の三十七条でございますし、構造計算についてはまさにその大臣認定の道が開かれているということで申し上げているということでございます。

○斉藤(鉄)委員  次に進みますが、新しい構造方法、構法についても大臣認定ルートの道は残されている、このように理解をいたします。

 それから、先ほど、一般化してそれを基準化、告示化していくということでございますが、役所の建築主事が判断しやすいように建築基準法の枠の中で政令で基準化、告示化していくこと、これは大事なことでしょうけれども、しかし、民間が自分の会社のお金を使って研究開発した技術、これを法律の中で、政令の中で告示化、一般化するということは、お金を出していない、研究開発をしていない第三者もそれを使えるということになって、これでは民間の研究開発意欲をそぐことになるんじゃないでしょうか。 ○三沢住宅局長  性能規定化の趣旨の中には、国民から見て基準自体について透明性があるということがやはり求められているというふうに考えております。そういたしますと、一つは、大臣認定を行う場合の技術的基準というのもできるだけ明確化するとともに、それから、そういう実績の積み重ねられた技術については、できるだけ一般ルール、一般基準化していくということが透明性を高める上で大事なことではないかというふうに考えております。

 その場合の、例えば研究開発を行う事業者の方々の知的財産権の問題等につきましては、これはむしろ、建築基準法というよりは特許制度等によって必要な対応が図られるべきものだというふうに考えておりまして、性能規定化ということからすると、透明性の要求というのはやはり必要ではないかというふうに考えております。

○斉藤(鉄)委員 その点についてもわかるんですけれども、やはり民間企業が研究開発のインセンティブを持つような部分についてもぜひ御理解をいただいて、何でもかんでも一般化して告示化するということについては御考慮をお願いしたいと思います。  それから、先ほど局長がおっしゃっていた、三十七条で材料については大臣認定のルートが残されているんだということでしたけれども、これまでは三十八条で、先ほど読み上げましたように、材料と構法は一体のものとして扱われてきましたが、今回は、材料については三十七条、構造方法、構法については全くなくなりました。材料と構法は一体となって性能を生み出すものであって、この材料と構法の分離は不適切なのではないかという指摘が建築学会からも出されておりますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○三沢住宅局長 いろいろな御意見があることは承知しておりますが、ただ、一般的に申し上げますと、やはり性能規定の中でどういうものが求められるかといいますと、一つは、材料自体の強度についてどういうものを要求するかということ、それから、そういう材料を用いたときに、その構造計算をして、それが、想定される荷重とか外力に対して安全かどうかという二つの要素があるということかと思います。したがいまして、材料に関する内容と、それから構造計算に関する内容と、基準上はやはり別々に考えて分けるということにしておりまして、この考え方自体は合理性があるというふうに考えております。  むしろ、旧三十八条では、材料と構法を一体的に評価するとはいいながら、結局、個別の建築行為ごとに認定をとっているという事例も多かったわけでございます。今回の新法の中では、今度は、材料の方であらかじめ認定を受けておけば個別の建築方法は建築確認で足りるというような事例もありますので、手続という面からいうと、一概にこれで負担が二重になったということにはならないんではないかというふうに考えております。

○斉藤(鉄)委員 私がお訴えしたいのは、実際の研究者、また設計者から、新しい技術開発について、その道が狭くなったような気がするという声が建築学会等で言われておりますので、どうかそういう懸念を払拭するような、そういう声を聞いていただいて、払拭するような施策をとっていただきたいと思います。  あと三分ですので、二問続けて御質問します。簡潔にお願いします。

 一つは、いわゆる古い三十八条で認定された、技術開発された技術、これがことしの五月三十一日で有効期限が切れる。つまり、六月一日からはそれが使えなくなるということだそうでございます。つまり、開発した技術を、前は使えたのに、今は使えなくなる。こういう事態に対して何らかの方策が必要だ、この点が一点でございます。

 第二点目は、これについてはちょっとゆっくり議論をしたかったんですが、役所の建築主事さんが技術を認定するために限界耐力法が出てきたということだったんですけれども、これは日経アーキテクチャーという雑誌に出たんですが、「ある行政庁の建築主事は「難しすぎて審査できない。このため、申請を受け付けなかった。今後、受け付けるとしても申請者に公的な評価機関などの技術評定を得るようにお願いする」」こういう現実の声。現実にほとんどこれが機能していない、難し過ぎて。公的な認定機関に行くと、旧三十八条がなくなったので、法的な根拠がない、法的な根拠のない評定はできない、こう言ってはね返される。つまり、新しい技術について、持っていくところがなくなった、現実に使えない、こういう声もございます。この限界耐力計算ルートの現状についての認識、この二点を最後にお伺いします。

○三沢住宅局長 できるだけ簡潔に申し上げます。  一点目は、旧三十八条の認定を受けた技術の中で、現在でもJIS、JAS規格を満たさないなど一般的でないものについては、新法でも法三十七条の大臣認定を受けることになります。これにつきましては、特例といたしまして、新法に基づいて大臣認定を受けるに当たりましては、新法に基づく認定手数料は不要にいたしまして、原則として、有効期限が終了する十四年の五月三十一日までに国土交通省の書面審査のみで認定書を発行するということにしております。

 それからもう一点、三十八条で認定を受けた技術で、実績が積み重ねられて一般化したものは、できるだけ例示仕様の方へ、告示にしようということで整備をしているところでございまして、これにつきましても、平成十四年五月三十一日までに例示仕様の告示を整備して建築確認で建築できるようにするということで、今現在準備を進めております。

 それから二点目、限界耐力計算の問題でございまして、これは確かに、現時点では限界耐力計算は導入されたばかりということで、必ずしも広く活用されていないという実態がございます。ただ、今回の建築基準法の改正の中で、民間開放ということで、民間の確認検査機関がもう既に七十五出てきておりますけれども、こちらの民間確認検査機関では限界耐力計算をもう円滑に審査しているという実態がございます。

 いずれにいたしましても、こういう計算方法を実務者にもわかりやすく解説したものが普及させていくためには必要でございますので、これを構造別に、具体的な、実務的なマニュアルの整備を進めているところでございまして、こういうことを進めまして、行政担当者や設計者に対しても普及を図ってまいりたいというふうに考えております。

○斉藤(鉄)委員 終わります。

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