平成16年  1月 建設公安委員会  平成16年1月26日

建設公安委員会    1月26日  △開会午前10時

○委員長 これより、建設公安委員会を開会いたします。

 委員会室内取材のための機材等の設置の申出があり、これを許可いたしましたので、御了承願います。

 会議録署名委員は、先例により、私から指名いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。

 (「異議なし」との声あり)

 御異議ないようでありますので、佐藤純委員と塚野弘委員にお願いいたします。

 本日の委員会は、招集通知記載のとおり、「朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故に関する調査」を行うことといたします。

 まず、本日の日程についてでありますが、地方自治法第 109条第5項の規定に基づき、御出席をいただいた参考人と港湾空港局長から配付資料に基づき順次説明を受けた後、参考人に対する質疑を行い、その後、引き続き、港湾空港局に対する質疑を行うことといたします。

 なお、港湾空港局に対する質疑に当たっては、関係部課長のみの出席にとどめましたので、御了承願います。

 次に、佐藤浩雄議員から参考人と港湾空港局に対する質疑の際に、各種構造計算書の存在などについて発言したいとの申出がありましたので、これを許可いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 (「異議なし」との声あり)

 それでは、佐藤浩雄議員の発言を許可することといたします。

 なお、発言の時期については、委員各位の質疑終了後にいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 (「異議なし」との声あり)

 それでは、そのようにいたします。

 これより、調査を行います。

 まず、参考人として出席をお願いしました、朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故調査委員会委員長の丸山久一さんを御紹介いたします。

 

◎事故調査委員長 (あいさつ)

 

○委員長 それでは、早速、配付資料について、まず、丸山委員長から説明をお願いいたします。

 

◎事故調査委員長 それでは、朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故事故原因調査結果報告書要旨という物をお届けしていると思いますので、この要旨に沿って、簡単に御説明させていただきます。報告書は別にありますけれども、少し大部のこともありますので。それから、全くそれを要約したというよりは、目次を御覧いただきますとお分かりになりますけれども、事故調査委員会として、主にどこに力を注いだかというところで、事故の概要、それから連絡デッキ崩壊の原因、ここに一番委員会としては力を注ぎましたので、そこを中心にお話しさせていただいて、それの原因が分かりますと、残りの連絡デッキをどのように扱ったらいいかという提言もありますし、終わりの方に、委員会を締めくくるに当たり、今回の事故全般を振り返って、委員会としての提言をまとめてありますので、それを御説明したいと思います。

 最初に、1ページを御覧いただきます。はじめにというのは、報告書のはじめにと全く同じなのですけれども、委員会のメンバー、私のほか、上之薗委員、清宮委員、長井委員、森谷委員の5名で進めております。もちろん、いろいろサポーティングスタッフ、多く御協力いただきまして、委員会を進めてまいりました。委員会の開催もその下にまとめてありますが、平成15年9月1日に第1回を開いて以来10回、ちょうど1週間近く前でしょうか、10回を重ねて、いろいろ議論を詰めてまいりまして、委員会報告書の結論に至っております。

 皆様御覧になっていると思いますけれども、2ページ目以降、事故の概要を簡単に御説明させていただきます。

 事故の発生日時、平成15年8月26日午後8時20分ごろということになっております。それから、事故の状況ですが、幸い人身事故がなかったのですけれども、48メートルの区間、それからそれに接合している駐車場の所が一望している。その写真は、方向が逆ですけれども、これは入り江側から見た図とそれから信濃川側から見た図の両方、少し見にくいかもしれないのですが、このように落下しております。当時の気象条件、特にすごい風が吹いたとかいろいろなことがあったわけではないということを、ここに示しております。それから、目撃証言もあります。目撃証言で我々も注目したのは、何人かおられまして、どのように落ちてきたかと。全体として、伺った感じだと、大事なところは、最初に何か音がしてから1時間後に落下に至ったということと、それから目撃証言ですから、 100パーセント記憶がどうかというところもあるとは思いますが、一応佐渡汽船側から朱鷺メッセ側に落ちてくるような目撃証言がありますので、それをある程度重要視しました。

 それから、連絡デッキ自体がどのように壊れているかを調べました。それは4ページにあります。どこがどのように破断しているかというのが、我々としては最初に一番着目しました。この図も多少見にくいかもしれませんが、少しぎざぎざがついているという所が、この斜材ロッドと言われている、斜めに引っ張り上げる所ですが、それの定着部が壊れているという所が、入り江側、佐渡汽船側両方ありますので、大体同じ所が左右で壊れていますが、定着部が壊れている所が左右併せて8か所あります。それから、床板が切れているというか、もともとプレキャストで別々に造った物を現場でつないでプレストレスを締めて一体化していますが、その接合した所が離れてPC鋼材が切れていますが、少し見にくいかもしれませんが、この絵を見ていただけると、切れている所というのが、例えば図の1の方ですと、R26と書いてある所とR25と書いてある所が離れている。それから下の方を見ますと、R24とR25の所も離れていると。それから、R20とR21の所が離れているので、一応その床板が離れている、あるいはPC鋼より線が切れている所が3か所。それから、上弦材が切れているという所が、この図でいきますとR27の上の方が入り江側と信濃川側で切れているということで、破壊している所が2ページの最後の方にまとめてありますが、斜材ロッド定着部が8か所切れています。それから、上弦材が部分的に切れている所もあるのですけれども、完全に破断している所が今申し上げた2か所。それから、プレキャスト床板の破断というか、つなぎ合わせた所のPC鋼より線が破断しているのが3か所。3か所というか、床板自体は1枚で、両方、入り江側と信濃川側に入っていますので、これも同時に切れていますけれども、入り江側と信濃川側を併せれば6か所になるかもしれないのですが、そういう所が切れています。

 切れ方を示したのが4ページ以降です。 2.6と書いてあるところは、その斜材ロッドの定着部がどうやって破壊しているかというのを、必ずしも分かりやすい絵がなかったので報告書の中から抜き出してきたのですが、5ページで、一応上の方に斜材ロッドの全体の図が描いてあって、真ん中の所に少し拡大したところが書いてあります。これでももう少し立体的になっていないと、上の方の柱がどの位置についていて、柱と定着部が真上にあるように見えますが、これは、ずれています。定着部の方が少し張り出していて、これは造るうえでそうしないとなかなか造りにくいというところで、真上にはないのですが、そういう状況になっています。壊れたところはその下です。これも鉄骨が邪魔していて必ずしもよく見えない状況ではあるのですが、少し影に隠れて、真ん中あたりに線みたいなものが多少見えて、その奥に少しへこんでいるように見えるのですが、ここは斜材ロッドをはめ込む管が入っている所で、管の所からすぽっと割れていると。それから、下の方に、多少鉄筋の少し出ているところが見えますが、これは床板方向に入っている鉄筋が端部で曲げ上げている所が見えている状況です。ちょうど定着部の所からすぽっと、管の所から真ん中に輪切りしてぽっと飛び出たというような感じです。これが典型的な破壊状況です。

 それから、その次の写真3というところも、これはもっとずっと朱鷺メッセ寄りのR26という所の、同じく定着部の破壊状況ですが、これもなかなか写真だと少し見えにくいのですが、同じように壊れた所の面ですが、縦方向に鉄筋が入っていたような跡が見えると。少しへこんでいる所が見えて、これは何を意味していたかというと、鉄筋が、普通はコの字になっているのですが、コの字が縦に入っていたという跡です。その面ですぱっと割れたところで、そこに縦に入っていたという跡です。こういうものをいろいろ数えながら、鉄筋が何本、縦方向に、補強筋あるいは差し筋と言っていますが、それが何本入っていたか、こういうものを見ながら数えたりしています。これの跡がないと、入っていたか入っていないかの本当のところは分からないと。飛び散った跡はよく分からないところも、こういうものを見ながらずっと数えていました。それも報告書には整理されています。これは定着部がこのように壊れていると。

 それから、次は上弦材、鉄骨ですが、鉄骨がどう切れていたかというところで、これも詳しくは報告書に書いてありますが、破断面も調査しています。破断面は、当初もちろん我々が見ました。それから、そのあとすぐに破壊理学の専門家にも見てもらい、それからメーカーでこういうことを専門にやっている方に見てもらって、一応調査報告書もいただいています。

 それで、破壊面、特に鋼材は破壊面を見るとどういう状況で壊れたか、特に降伏と言って、その持っている力一杯までいったかどうかというのが分かります。鉄筋とか鋼材を引っ張ってみますと、ずっと最大までいくとだんだんあとは絞れてくるというか、水飴を引っ張って伸びるみたいな感じで最後は切れるのですけれども、そういう状況になると、断面の外側の方にはそういう伸びたという、割りとつるつるの面があります。ただし、最後切れたときは真ん中で切れますから、そこは粗い面というか、脆(ぜい)性的な破面が見えると。その面を見ていると、鋼材が持っている力一杯までいって切れたか、あるいはそうではなくて疲労破壊したかというのが、一応チェックすれば分かります。そういうことは確認してあります。そのほかに、図4というのは、それをサポートするというか、一杯まで力がかかって切れたのだという、その防止用みたいなものなのですが、鋼材と鋼材を接合するときに、横の方にガセットプレートと言ってそれを補助的に抑えるプレートが付けられます。そのプレートも、この図に描いてあるように曲がっていると。だから、そのプレートを曲げるというのは、全体にすごく大きな力がかかって曲がったということを意味しております。そういうことをいろいろ調べてあります。

 それから、次の7ページは、床板のPC鋼より線が破断している状況です。これもこの図だけだとなかなかよく分からないのですが、これも破面をずっとチェックして、一応先ほどの専門家にもチェックしていただいております。それで、先ほど言ったように引っ張られてちぎれたというような断面をしていますので、鋼線がその耐力まで達して切れたというような判断をしております。

 以上が、非常に簡単ですけれども、実際にどう壊れたかという全体、それから各部材の調査をした結果の概要です。この概要は、実は我々が崩壊の原因を考える上で一番メインに着目しているところですので、それを少し概要でまとめさせていただいて、そこから我々がどのように考えて連絡デッキ崩壊の原因にたどり着いたかということを、次の3章で御説明させていただこうと思います。

 最初は、その原因解明をどういう方法でやったかということですが、先ほど言いましたように、破壊している箇所が、定着部の破壊が8か所、それから上弦材で完全に破断している所が2か所、それからPC鋼より線が切れている、鋼より線だけで言うと6か所ですが、床板自体が離れている場所が3か所あります。これが、どこが最初でどういう順序で切れていったのかというのが分かれば、破壊の原因、それから、崩壊に至った過程が分かるだろうということで、それを特定する作業を、委員会としては進めておりました。

 その際、何を持ってそれが正しいかということを、どういう条件で考えたかというところが、そこに1、2、3で書いてありますが、あのように落ちていますので、落ちて各部材がある方向に曲がったりしています。だから、それ全体でそれが再現できるような状況で壊れただろうと、当然のことですけれども、ほかのことを想定してそこが切れたとしても、ああいう形で壊れるように思えなければそれは本当ではないので、ああいうように落ちるのは、どこから先に落ちてどういう格好で落ちないとああならないかというのが一番大事です。ほかが幾ら正しくても、そう思えないものはそれは違います。その次は、ではいろいろな所が切れていくのですけれども、その過程でその破壊が、我々が持っている工学的、あるいは科学的な知識で無理なく説明できるか。無理矢理しないと壊れないというのでは、それは正しくないと。3番目は、その二つができればとりあえずはいいかなと思うのですけれども、目撃証言もありますので、目撃証言が合っていればかなり事実に近いだろうということで、作業を進めていきました。

 実はその上の方にありますように、破壊箇所が非常に多いのです。どこからどう手を付け得るかというのを非常に最初はいろいろ考えて、できるだけ早く真実に近づくにはどうしたらいいのかというので、いろいろ計算をする体制も整えてありましたけれども、一番の問題というか、我々が考える上で最初に難しいかなと思ったのは、大きな力が作用して壊れているというのと、それでその力が特定できれば、割りと説明がしやすいのですが、一番力がかかっていない状況で壊れていると。人も乗っていない、雪もない、風もない、自分の重さしかない。普通そういうところでは、設計ではすごく楽な状況ですから、そこで壊れるということは非常に考えにくいところです。それからしますと、普通の設計がやったような構造解析で追いかけていけば、絶対壊れるわけがない。それで、逆に破壊した状況から最大の力がかからないで壊れることがあり得るかということを考えて、先ほど御説明しましたが、破壊の状況から見て大きな力、そのものが持っている能力を超えて壊れたという状況であれば、それは通常の荷重では壊れないだろうと思うので、そういうことを除く。それで、最後に残ったところの中で、先ほどの1、2、あるいは3も含めて、そういうことが説明できるようなものを探そうというやり方を執りました。

 可能性が大きいとか小さいとか、いろいろ頭の中で判断はできるのですけれども、それをより客観的に示すには、ある程度現在我々が持っている解析技術で説明しておくということで、そういう意味では、数値解析技術を使いながら、しかし、数値解析技術といっても 100パーセントではありませんので、我々の持っている判断基準というか、その技術のレベルを評価しながら、一応大小、どちらがより可能性がありそうかということに対して、そういうモデルを使って計算しながら判断を進めていきました。その判断の際にはどういうことを考えるかというと、通常、ある状況である力がかかれば、各部分にどれくらい集中的に力が作用するかということが数値解析技術では分かります。

 数値解析技術で分かりますが、では部材側がどのくらい抵抗できるかというのは、それとはまた別の手段を使わないとできません。それで、その下にまとめてありますが、作用する力というのは数値解析モデルで算定しますが、部材の耐力、終局変形は、これは学会だとか我々研究者仲間がいろいろ研究した成果をまとめた基準、示方書類がありますので、それを使うと。ただし、今回のようなものにぴったり当たるような算定式はありません。それで、いろいろ算定式を我々の専門家の中でどう使ったらいいかというのがよく分かっていますので、その使い方でおおよそこういう推定ができるかということですが、一番確実なのは、そのものを実験して求めるのが一番確実ではあります。そういうことをしながら、そのものが持っている耐力を評価して、なおかつ作用する力はどのくらいであったかということを評価していくと。それで、そこがその状態で壊れる可能性があるかどうかということをチェックして見ました。

 先ほど述べましたけれども、作用している荷重が一番小さい状態で壊れています。通常の解析でやったら、それは評価ができないというか、壊れないという答えしか出ないのですが、事実壊れているので、それはなぜかと。そうすると、作用する力の方は解析でそんなに変わりようがないのですが、実際の部材が持っている耐力は、抵抗する力はどのくらいかということを考えないといけない。通常、実験とか何かで引っ張ったり、あるいは押したり、ねじったりとかそういうことで、壊れる力と、一定の力をずっとかけていて壊れる、あるいは割りと小さい力でも、繰り返しかかってくると壊れるということがあるということを、構造力学をやっておられる方は知っていて、それを整理すると、その下に書いてありますが、人間でも何でもそうですけれども、繰り返しやるとやはり疲労して壊れるというのがありますが、これは物質はすべてそうで、コンクリートも鋼材も、そんなに大きな力じゃないのですけれども、繰り返し繰り返し 1,000万回とかかかると、それで壊れるという状況があります。メカニズムもおおよそ分かっています。

 それともう一つは、コンクリートに関して、もっと別な壊れ方もあります。ある荷重がずっと加わっていると、だんだんそれでへたってくるというか、繰り返しじゃなくても、ある程度、最大じゃないのですけれども、ある荷重がかかってくると破壊してしまう。我々一般にクリープ破壊と言っていますが、そういうことがあります。これはコンクリートの特徴です。そういう意味では、鉄筋コンクリートとしても起こり得るのが疲労破壊、それからクリープ破壊と。これは最大の抵抗力よりも小さい力でも壊れると。ですから、原因は多分この辺だろうということで、この辺がどのくらい評価できるかということをいろいろ検討はしました。

 こういうことを踏まえながら、最初にどこが壊れる可能性が一番高いかということを推定しました。これは先ほど言いましたように、こういう疲労破壊だとかクリープ破壊というものとは関係ないところから外していけばいいわけで、それですと、先ほどもちょっと載っていましたけれども、鋼材というのは破面を見ると、要するにすごく大きな力がかかっているのか、あまりかからないで壊れたのかというのが分かります。ですから、鋼材の方が、ある意味ではコンクリートに比べるといろいろな意味で信頼性が高いのですが、それで判断しました。そうすると、PC鋼より線、それから上弦材、上弦材もいろいろ詳細には調べましたが、この二つは、破面から見て明らかにそのものが持っている耐力まで至って破断していると考えました。だから、そこが最初に壊れた所ではないだろうと。そうすると、残っている所は、定着部しか考えられませんというか、一応定着部がそのきっかけになった所だろうというようにたどり着きまして、では定着部が本当にどのくらいの耐力があって、クリープ破壊するとしたら、あるいは疲労もあったかもしれないのですが、どのくらいの耐力になるのだろうということをいろいろ検討しました。

 最初に最大どれくらいもつのかということをいろいろ検討して、10ページの真ん中くらいでしょうか、一番最初に書いてある長期許容せん断耐力とか短期許容せん断耐力とか終局耐力とかいろいろありますが、これは建築学会の基準だとか土木学会の基準だとかをいろいろ調べて、その破面にどうやって対応していいか、先ほど言いましたけれども、このものを設計する指針というものはないのです。もう少し、ある理想的な状況でせん断力がかかるとか引っ張りがかかるとか圧縮がかかるとかということに対して基準がありますので、それでいろいろこう適用したらどうかとか、面積をどうとらえたらいいかとかというのがありますので、その辺を判断すると幅が出てくるのです。

 長期とか短期とかと言っているのは、このくらいの断面積であるとすれば、設計するうえでこのくらいの耐力は考えていないと、もう少し大きい耐力を考えると不具合が起こるよというので、これよりも小さく抑えておけばその不具合がないという値なのです。長期というのは先ほどの持続荷重を考えて、ずっとかかっている場合には少し低めに抑えておきます。短期の場合は、多少荷重が載ったりあるいは地震が来たりしても、そのとき頑張れば、それがなくなればまた荷重がないわけですから、多少大きめな値があってもいいですと。短期、長期というのはそういう意味で、造るならこの値より小さく設計しなくてはいけないという値です。

 それで、終局耐力というのは、ずっと引っ張っていって壊すとしたら、どのくらいの耐力で壊れるかという算定です。これも算定に幅があるのは、面積をどのくらい取ったらいいかとか、いろいろ建築の過去の実例とか土木の実例とかいろいろありますので、結構幅があります。ここの場合、特に目立つのは、補強筋がない場合と補強筋がある場合で、算定式の幅も広いのですけれども、この補強筋というのはどっちに入っているかというのが実はすごく大切です。破壊した断面を横切るように入っていると補強筋というのは効くのですが、破壊した断面に沿った方向に入っている鉄筋はほとんど効きません。この評価の幅の差が結構大きいのは、そのものズバリを算定する式じゃなくて、ある程度理想的な実験で求めるとどういう壊れ方をすると。断面積がよく分かって、鉄筋の状況もよく分かって、定着も十分あるとかいうことが分かっていればいいのですけれども、分かっていないとすると、ある幅の中でしか評価ができません。

 そういう中で、実際に実験をやった状況がありましたので、実験値も委員会の中で十分検討して、実験値もここに載せてあります。この実験についてはいろいろ言われているのですが、私自身も実際の実験現場に行きまして、実験の様子、それから実験担当者からいろいろ聞き取り調査をして、我々がやっても同じような実験結果が得られるだろうなということから、そういう意味では、この実験結果はかなり参考にさせていただいています。実験結果では、圧縮強度が書いてありますけれども、 60N/mm2、多少高めの圧縮強度ですが、それでいくと、ひび割れが出るとしたら40トンから60トンくらいの間でひび割れが出るかなと。それから、破壊の荷重も、補強筋がない場合とある場合でこのくらい違うかなというのが出されています。こういう我々が算定した結果と実験結果を総合的に判断すると、今回の定着部のひび割れの耐力は約40トンくらいだっただろうと。それから、破壊ですが、これは先ほど破面を見ていただきましたけれども、本当にその鉄筋が効くのは破面に垂直方向に入っている鉄筋しか効かないです。破面を見ますと、垂直方向に入っているものがほとんどない。縦に入っている跡は見えますが、縦は効かない。ずれて横切るときにそれに抵抗するのは、垂直に入っていなければずれに効かないので、そういう意味では我々の評価としては、入っていないと判断せざるを得ない。入っていれば 100トン以上はもちそうだったのですけれども、実際入っていないので、実験すれば65トンくらいかなと。ただ、現実には、後でもまた少し出てきますが、少しひびが入っているのですね。ひびが入ったりしていると、この耐力はもっと落ちる可能性はあります。

 そういうことで、斜材ロッドが基点となる、これしか残っていないのですが、その可能性を考えるときに、耐力としてはまずこのくらいの耐力があると。それから、クリープ破壊をするとすると、本当にクリープ破壊の可能性があるか。このくらいの耐力に対して、実際に作用している荷重が、このくらいの耐力よりも、これの半分以下とか3割くらいしか荷重がかからなければクリープ破壊するわけがないと我々は思っています。

 それで、実際にかかっていたと思われる荷重を計算したものが、次のページの表1です。これを見ると、一番大きいところは、実はR26という所が一番大きい荷重がかかっています。ただし、R19、R20の間、R20、R21の間も45トン、38トン、結構大きい荷重がかかっているというのが分かります。さらに、実は第1回目のジャッキダウンで割りと大きな変形が起こっていて、これも最初に委員会で記者会見をしたときに、多分影響しているだろうとそのときは申し上げました。ここまで実は分かっていて言ったわけではないのですが、ほかに考えられなかったので、多分それが影響しているだろうと。それで、その影響をここでもう1回評価しました。

 第1回ジャッキダウン時の変形を、あの変形になるようにいろいろ解析上検討して、あの変形が起こるとすれば、各点にどのくらい力が働いているかということを計算したのがその表2で、これを見るとR19、R20間、それからR20、R21間の所を結んでいるものが40トン近くかかっています。ということは、多分この時点でここはひびが入っている可能性が高いと想定しました。だから、第1回のジャッキダウンの時には、そこにひびが入ったと。その時にR26の方は余り大きな力が入っていないと。だから、第1回のジャッキダウンで多少損傷を与えたとしたら、R20とかR21とか、これはどの辺かと言うと、駐車場連絡通路とつながっている辺りが第1回のジャッキダウンで少しひびが入っていただろうと思われます。表3は、ちなみに別の設計会社がやった計算ですけれども、それもそちらにかなり大きな力が働いているという値にはなっています。それで、先ほど、そのひびが入るのが40トンくらい、それから、最大で頑張れるのが65トンくらいとして、40トン以上かかっているとすれば、クリープ破壊する可能性が十分あると判断しました。

 そういうことで、結果としては、斜材ロッド定着部の破壊が基点になるというのが、消去法でもそこに至りましたし、それからそれをある程度現在の技術レベルの知識を導入しても、可能性が結構高そうだというのが判断できました。それで、問題は、この数値計算だけをやると、R26の方が大きいのですね。力としては大きな力が働いています。ただし、破壊状況を見ると、R26の方じゃなくて、立体駐車場と結合しているその辺から壊れたというのが、落ちた状況を考えると、そこから落ちたという方が、落ちたときの部材の変形状況からすると、あちらから落ちたとしか考えようがないのです。それで、そこがなぜそうなったかということが、最後まで疑問としては残っています。

 その後いろいろ分かった状況も幾つかあるのですけれども、一つは座金というか、その12ページから13ページにあるのですけれども、座金の変形の状況を調べました。それが写真8に示してあります。これも大きな力がかかると、結局ひびが入ってぎゅっと引っ張られて座金も曲がるのですが、大きな力がかからなければ座金も余り変形しないと。それで、これは全部の座金が載っていますので、定着部が壊れていない所の座金も載っていますが、一番下の段のR26というのと、それから上の方でR20、R21を見ていただくと、座金が一番変形していないのがR21の入り江側なのです。これは座金を曲げるほどの大きな力がかかっていないということを示しています。これも、多分R21の方が先に壊れているだろうなというような想定を裏付けています。それから、これも後で分かったことで、直接関係するかどうかがまだ十分評価できないのですが、実はR26の方は、その後朱鷺メッセ側をつなぐためにあそこは支保工でずっと保護されていたのです。だから、大きな力がかかったのは、支保工を外してからしかかかりませんから、それは開通前の三、四か月前くらいに外したということですので、それに比べてR21の方が、もう2年以上にわたってずっと力が作用している。それも多少R26よりはR21の方が、クリープ破壊するとすれば、長い時間作用しているということも言えるかなと思いました。

 そういうことから総合的に考えまして、崩壊過程というのは、これはかなり我々の得られたことをまとめて想定した流れなのですが、どこが最初に壊れ、次にどうなったということを示しています。一番最初に多分破壊したのが、先ほどいいました連絡通路の近くです。連絡通路の近くの入り江側の斜材ロッドのところが最初に破断しただろうと。ただ、それで、数値解析もずっとやっています。そこが破断したときに、次にどこに大きな力がかかるかというのは、すぐ隣、同じ入り江側と信濃川側であれば、入り江側が切れれば信濃川側が大きくなるのですが、ただ、耐力がそういう意味では 100パーセント分かっていないのですけれども、ある程度の範囲内で耐力を想定して、かかる力を想定していると。それで、その次はどこだということを突き詰めていきました。連絡通路のすぐ近くが切れたとしても、連絡通路が、ある意味で、あそこも一応ボルトで崩壊した所とつながっていますから、そこが多少、多分力を負担、切れて少し下に下がろうとするときには負担しているだろうとは思われます。だから、すぐには壊れないのも、そこならあり得るかなと思います。解析上は、そうやって次々と壊れた所の部材の力を反対にかけながら、その分がなかったとしたら次にどこへ行くかというのを追跡していって、ここに述べたように、次から次へと落ちていったというような状況を想定して、崩壊過程というように示してあります。

 最後に、連絡デッキ崩壊の原因ということでまとめますと、崩壊の基点となった斜材ロッド、定着部の破壊の主な原因は、設計耐力が不足していると。要するに部材がどのくらい抵抗できるかということに対しての認識が足りなかったと。それで、さらに、持続荷重下で割りと短い時間で崩壊したというのは、補強筋が、本来せん断の抵抗にもたせるには、この順のやつを横方向にしっかり本体に埋めていかなければいけなかったものを、縦に入っているのが多かったと。これはなかなか入らなかったということも、いろいろな聞き取り調査では伺っています。その認識は、一つは壊れるモードを設計計算書、それからそれを製造した所からの説明を聞くと、基本的につぶれる方向でだけ考えて、つぶれる方向に対して強いか弱いかを考えたと。つぶれる方向に関しては縦に入れても横に入れてもどっちも効きます。ただし、本体から定着部がずれて切れるというときには、切れる面に垂直に入っていないと効きません。そこの認識が、いろいろな聞き取り調査、その後の意見書を含めても、認識がなかったなという感じがしています。耐力がなかったのはそれが原因であると。それで、1回目のジャッキダウンで影響があるとすれば、そこにひび割れが入った可能性があって、ジャッキダウンがなくても、ある意味ではある時間がたてば壊れる可能性が非常に高い構造物ですが、ジャッキダウンでそこにひびが入ってしまった可能性が高くて、その耐力が小さくなって、早く壊れたのかなと判断しています。

 以上が、我々の委員会としてまとめた破壊のメカニズムと、どこに原因があるかという結論です。

 残りのデッキの扱いについてですが、報告書にも書いてありますし、ここにも長々まとめましたが、今のような結論からいくと、やはり定着部で長期的な持続荷重に対しては問題があると。それから、壊れた残りの所はどうかというと、残りの所も定着部に関してはもちろん同じですが、それ以外の衝撃であちらこちらに影響が残っています。床板のひび割れも開いていますから、多分PC鋼材が降伏している可能性が高いですし、それから柱が結構曲がっています。柱は多分全部取り替えて造り直さないといけないかもしれないということからすると、落橋した所は、全体としては我々としては取り替えた方がいいだろうと。予算はいろいろ検討していただく必要もありますが、全体としては取り替えた方がいいだろうなと思っています。

 それから、それ以外の所ですが、適切な施工が行われているので、初期にすごいひび割れが入っているということは余りないようです。ただし、定着部の長期的な安全性は問題がありますので、定着部を補強しておけば、安全に使うことはできるかなと思います。ただ、予算の問題、それからいろいろなことがあるので、どのようにされるかは県の方に判断はお任せいたしますというのが、残りのデッキに対する我々の見解です。

 最後に、終わりのところ、18ページからですが、委員会の活動のまとめと提言を簡単に述べさせていただきます。まず、最初の1、2、3というのは委員会の活動のまとめです。連絡デッキ崩壊の原因は、先ほど述べましたように、持続荷重下での定着部のクリープ破壊であろうと。それで、その原因は設計、あるいは配筋が不十分であったということが原因で、早めにその結果が現れたのは、第1回目のジャッキダウンでひび割れを誘発して、それが割りと早い時期の崩壊を導いただろうというのが崩壊の原因です。それから、設計、工事施工上の問題ということで、これは後の提言にもあるのですけれども、いろいろとお話を伺ったり、出てきた書類を拝見しますと、相互の連絡がなかなか十分なされていないと。それから、この構造が、定着部がすごく大事であると、しっかりやらなければいけないという認識が、お互いに余り共有されていなかったと感じました。それから、残存する連絡デッキ、先ほど述べましたように、崩壊した部分は取り替えた方がいいだろうと。それから、そうでない部分は、定着部を十分補強すれば、安全性としては余り問題なく使えると思っています。

 それで、最後の19ページの方の委員会の提言ですが、いろいろな方に提言しています。構造設計者に対しての提言、これは、構造設計者はそれなりに新しい構造物にチャレンジすることに対しては、積極的にやった方がいいと思っていますが、その際に、どこが難しいとかどこに注意しないといけないということを、施工者なり工事監理者等と十分協議しておかないと、相手が設計者の意図を十分分かっているかどうかは、十分議論しておかないと意図が伝わらない。それを十分やる必要があると思います。それから、施工者も、ただ言われたものを言われたとおりに造るというよりは、どこに問題があってどういうことかということを少し考えながらやらないといいものができない。それから、発注者、ずっとありますけれども、一番の要点は、全体をよく分かって全体をしっかり見ているという人がいなかったと感じました。設計段階、施工段階、製造段階を通して、現状では難しいかもしれないのですけれども、それが全部分かっていた人がいなかったので、ある意味で設計に任せてしまっているとかそういうことがあって、そうするとチェックがなかなかできなかったかなというのが全体の印象です。

 長くなりましたが、以上で説明を終わります。

 

○委員長 次に、港湾空港局長から説明願います。

 

◎港湾空港局長 それでは、お手元の配付資料に基づきまして、説明させていただきます。朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故について事故調査委員会の報告を受けまして、県として今後どのように対応していくかということについてまとめたものでありまして、内容的には4点あります。一つは損害賠償請求等について、二つ目に復旧工事について、3としまして県の責任、発注上の問題点について、4番目に今後の改善方策について、この4点についてまとめたものであります。

 おはぐりいただきまして、まず1ページですが、損害賠償請求等について、今ほど事故調査委員会委員長の方から御報告がありましたように、事故原因が明らかになっております。今回の落下事故に関しましては、設計、工事監理、施工、さらには県にもそれぞれ事故を引き起こす要因となる問題点があったと指摘されております。それで、もう1点明らかになりましたのは、落下部分のみならず、残存デッキ部分についても、落下による被害が及んだということが報告書の中で明らかとなっております。

 したがいまして、損害賠償請求の対象区間は、佐渡汽船から朱鷺メッセに至る連絡デッキ全体として、建設事業に携わった関係者の内、過失が認定できる者に対して、訴訟提起を視野に入れつつ、責任追及を行うということであります。この損害賠償請求の根拠条文としましては、民法第 709条の不法行為、同第 719条の共同不法行為であります。それから、損害賠償請求の請求額でありますが、これにつきましては当初の建設費用、それにプラス事故復旧対策経費の所要額、これが基本となります。額の方につきましては、今後また弁護団の方と詰めていくということにしております。請求の相手方でありますが、請求の相手方につきましては、次のページに整理してございますが、ここに記載の関係者の内、過失があると認定した者を対象とするというものでありまして、別紙2ページの方を御覧いただきますと、外書きと括弧書きになっております。外書きは直接の契約の相手方が外書きで記載されておりまして、括弧書きは下請関係等事業に従事した者の内、問題点があると指摘された者を記載してございます。お戻りいただきまして、1ページの方ですが、今後のスケジュールですが、この後損害賠償請求を弁護団の方からいたします。それで、一定期間を経て、諾否を確認した後、応諾していただけない場合には提訴という形になります。

 それからもう1点、事故調査委員会報告書の中で、現在供用しております入り江側及びアトリウム前両連絡デッキ、臨港1号道路をまたぐ歩道橋でありますが、これに関しまして、報告書の中では、現在行われている日常的監視、支保工設置の継続で使用が可能であるが、長期的安全確保の面から、速やかな補強が必要という提言を頂いております。この両デッキにつきましては、現在しゅん工引き渡しから2年間という瑕疵担保期間中でありますことから、この施工者に対しまして、瑕疵(かし)担保責任を追及する、具体的には修補請求を行うという方向で現在考えております。以上が損害賠償請求等についてであります。

 次に、3ページにまいりまして、復旧工事についてであります。デッキの復旧方法につきましては、今ほど事故調査委員会委員長の方から御説明がありましたが、残存デッキを補修し活用する方法と、デッキ全体を新たに造り替える二つの方法が考えられます。報告書の方では、残存デッキを活用する場合は崩落による部材への影響をすべて把握し、対応することが困難であり、長期的な安全性に問題が残ることから、全面的に造り直すべき旨の提言を頂いております。局の方では、現在この提言を踏まえつつ、復旧方法等、どのような構造にするか、あるいは今後どういう手続で進めるかという検討に着手しているところであります。

 なお、参考としまして、概算工事費でありますが、これは設計費も含めますが、デッキ全体を新設した場合には約6億円、このほかに解体撤去費用が約1億円かかりますので、都合7億円となります。また、補修した場合、これは新設部分を63メートル、補強部分を 150メートルとして計算した場合でありますが、この場合には約4億 6,000万円という、飽くまでも概算でありますが、試算があります。以上が復旧工事についてであります。

 次に、3の県の責任についてであります。事故調査委員会の方から事故原因として指摘されたものに関して、県がどうかかわってどのような事務処理を行ってきたか。これについては、お手元に別途お配りしてあります、朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故報告書の中で事実関係が明らかになっております。これについては、後ほど事故調査班の班長の方から説明いただきます。また、県自身の責任につきましては、現在既に事故調査委員会報告書の中で幾つか指摘があります。また、今ほど申し上げました事故調査班がまとめました報告書の調査結果も出ております。これらを基に、処分を担当する総務部の方で、責任の有無、軽重について鋭意検討が加えられておりますし、今ほどまとめられました、皆さんのお手元にお配りしてあります報告書も参考にしながら、今後精査されていくものと思います。

 なお、事故調査委員会報告書でありますが、この中では、県の発注者としての問題点として複雑な発注形態、それから建築物の安全確認の2点について言及されております。この2点の指摘事項に対しての県の認識について、ここに概略は記載しておきました。まず一つ目が複雑な発注形態でありますが、複雑な発注形態が設計、工事監理、施工間の共同作業や相互チェックの機能を妨げたと考えられるという指摘であります。これに対する県の認識でありますが、発注形態そのものが相互チェック機能を妨げたかどうか、これについてはなお検証を要しますが、今回、結果としてチェック機能が働かなかったことにつきましては、事故調査委員会報告書で指摘されたとおりであると思っています。県は発注者として当該事業の特殊性、あるいは難易度の認識、さらには適切な事業執行体制の構築という点で問題がありまして、これらについては今後改善していかなければならないと考えております。

 それから、もう1点の建築物の安全確認です。これにつきましては、建築確認の特例、計画通知制度が適用される県は、自らも建築物の安全性を確認しなければならない立場にあったというものであります。これにつきましては、構造計算書等のチェックについては、基本的には実質上の設計者であります株式会社構造設計集団SDG、それから設計業務、工事監理業務を委託しております新潟県建築設計協同組合、有限会社福地建築設計事務所が責任を持って行っていただくべきだったのではないかと思っておりますが、計画通知制度の趣旨を踏まえると、県自身も自ら確認を行う必要があったと考えております。この確認行為を怠ったことについては、適正を欠く対応であったと認識しております。

 それから、4番目の今後の改善方策についてでありますが、事故調査委員会報告書によりますと、事故が発生した要因が複合的なもので、設計、施工、工事監理のみならず、発注者である県にも問題点があったというものでありました。指摘のあった事項につきましては、建築工事に限らず、公共工事全般に共通するものも多いことから、この事故を教訓として改善に取り組むことが必要と考えております。そのため、関係部局の職員を中心に検討組織を立ち上げまして、具体的な改善策をまとめようと考えております。

 特に重点的に優先して検討すべき課題としては3点記載してございますが、プロジェクト管理について。それから、今ほど御説明しましたが、計画通知制度の趣旨を踏まえてきちんと対応できるシステムを構築するという意味で、建築物の安全確認について。さらに、3点目は発注形態について。この3点について、検討組織の中で早急に検討を進めていきたいと考えております。

 私からの説明は以上であります。この後、事故報告書につきまして、調査班班長の森川の方から御説明いたします。

 

○委員長 簡潔に説明をお願いいたします。

 

◎副局長 それでは、お手元の朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故報告書を御説明いたします。一枚おはぐりしていただきますと目次が出てきます。1のはじめにから始まりまして2で事故の概況を報告書から引用して説明をしております。3につきましては、先ほど事故調査委員会の委員長の方から御説明がありました3点の要因についての分析をしてございます。4は事業体制上の問題点も指摘をされてございますのでそれについての分析をしておりまして、5に関係者の責任の整理をしております。6に今後の改善方策、7のおわりにでおわりを述べてございます。

 1ぺージ目をお開きいただきたいと思います。まずは1のはじめにでございますけれども、一番下の2行、本報告書では調査委員会の報告を受け、朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故の原因を分析し、本事業に携わった関係者の責任の所在を検証したものであるというレポートでございます。

 2につきましては、調査報告書からの引用で事故の状況等を説明しているものでございます。御説明は割愛させていただきます。

 次に、11ページ目から3の事故の原因と関係者の果たすべき役割でございますけれども、先ほどの御説明のありました設計耐力の不足、斜材ロッド定着部のU字型補強筋の配筋不具合、第1回の安易なジャッキダウンとこの3点についてそれぞれに事故調査委員会の見解とどういう事実関係があったかというものを整理をしてございまして、それぞれ関係者の果たすべき役割というものをレポートの中で整理をしてございます。

 次に、18ページ目でございますけれども、事業体制上の問題点と関係者の果たすべき役割ということで、直接の原因以外にいろいろと事業体制のうえの問題点が事故調査委員会から指摘をされてございまして、これらを踏まえ、また、この設計、工事監理の経緯を整理をしますと、やはりこういった指摘された問題点を起こした者としては19ページの下側にございますけれども、複雑な発注形態、また不適切な工事発注時期とこの二つの背景があるのではないかと考えておりまして、それについて以下に分析をしてございます。20ページが複雑な発注形態と関係者の果たすべき役割。次の22ページが不適切な工事発注時期の設定と県の果たすべき役割ということで、その経緯と関係者の果たすべき役割を整理をしてございます。23ページ目からそれぞれ設計者、施工者、工事監理者、発注者の責任ということでこれらの分析を踏まえ、関係者の責任を整理したものでございます。

 26ページからは先ほども局長が申しましたけれども、今後の改善方策ということで3点ほどまとめてございまして、7におわりを述べているということでございます。以上です。

 

○委員長 以上で配付資料の説明は終了いたしました。

 港湾空港局説明員は、退席してください。

 (港湾空港局説明員の退席)

 これより参考人に対する質疑を行いますが、質疑予定者は挙手願います。

 (質疑予定者挙手)

 多数の方が、質疑を予定されておられますので、発言を制限するつもりはありませんが、一人おおむね20分をめどに質疑をされるよう御協力願います。

 それでは質疑を行います。

 

◆小川和雄委員 まず、質問の前に、丸山朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故調査委員会委員長並びに委員の皆様には、昨年の9月1日の事故現場調査を皮切りに去る1月16日の報告書の取りまとめまで長期間にわたりまして精力的にお取り組みいただきましたことに対しまして冒頭に感謝申し上げて質問に入らさせていただきます。

 ただいま、丸山委員長から事故調査の詳細について大変御丁寧に御説明いただきましたが、そんなことで質問と重複する部分があるかもしれませんがお許しをいただきまして、私の方から4項目にわたって質問をさせていただきます。

 まずはじめに、落下プロセスについて3点にわたって質問をさせていただきます。1点目として、デッキの設計において構造計算を行った株式会社構造設計集団SDGやプレキャスト、プレストレストコンクリート床板の製作を行った黒沢建設株式会社から事故調査委員会の審議の進め方や、これまで事故調査委員会で発表いたしました崩落メカニズム要旨等に対し異議申立てが行われたり、また株式会社構造設計集団SDGなど独自に事故原因の調査を行い公表をいたしております。委員長としてこれに対しどのような所感をお持ちかまずお伺いいたします。

 2点目として、それに対してどのように対応を考えておられるか。

 3点目として、報告書では消去法で事故原因の崩壊プロセスを導いておりますが、鉄骨及びプレキャスト床板の破断がきっかけではなく、今ほども説明がありましたが斜材ロッド定着部の破壊がきっかけであると言われておりますが、このことについて分かりやすく説明をお願い申し上げます。

 

◎事故調査委員長 ただいまの3点について私の考えを説明いたします。

 最初の御質問は多分事故調査委員会の中立性ということか、あるいは異議申立てがいろいろとあることに対してという御質問だと思いますが、私自身としてはこの種の委員会ですといろいろ言われることがあるのだろうということで、最初は少しはそういうものを覚悟はしておりました。それから、中立性的な考え方ですが、委員会として何を最初に考えたかというと、物理的になぜ壊れたかということに対してそれを解明すると。それに関しての専門家の委員を私のほかに4名、各々の専門家も各分野では国内あるいは国際的にも第一人者ですので、そのかたがたが物理的な原因究明ということでずっと活動してきておりましたので、中立性というかそれはほとんど問題にならないだろうと思います。むしろ、この委員会の報告書がもう既に公表されていますが我々の技術者、研究者仲間が見ます。それに対して我々が自信を持って答えられないものを出すようでは、我々の技術者生命というか研究者生命が問われることになる。それは皆覚悟のつもりでやっていましたので、その点については私個人としては全然問題がないというか、そういうことを言われることは少し違うかと感じております。

 2点目ですが、いろいろな異議申立てがなされているということですが、関係者以外でも見て質問があるかもしれないと思いますので、ある時期を限って1回はそれに対して事故調査委員会はどういうふうに考えたかということを御質問があれば説明をしようと思います。それに関してはどういう形態でやるかは十分考えておりませんが、一つは多分、県のホームページみたいなものを使って、ばらばらに来られてもなかなか大変ですので、ある時期を区切ってまとめて1回はお答えしようかという考えております。

 三つ目のきっかけを判断した経緯を分かりやすい御説明でということですが、先ほども少し申し上げましたけれども、コンクリートと鋼をくらべますと、ものが壊れるときはコンクリートの方がある意味で非常に複雑なのです。大きな石があって砂があってセメントペーストがあってというので、見かけがどうしても壊れるのは脆性破壊的にしか壊れませんのでなかなか良く分からないのですが、それに比べると鋼材というのは破面を見るとかなり一杯の力で壊れているか、あるいは小さい力が繰り返しかかって壊れたかというのが見れば分かります。その違いで鋼材をずっと調べると鋼材が最初のきっかけになったような、要するにかかっている荷重が小さい荷重ですから、小さい荷重で壊れたという痕(こん)跡がなくて、すごく大きな力で壊れたという痕跡があると専門家のかたがたから意見をいただいていますので、そちらは一応排除したと。最後はそのコンクリートのところに的を絞ったと。ただ、どこか最初に起点になったかというのはかなり終わりの方にならないと確信を持ってそうかというところまではいきませんでしたが、最後の方はいろいろと検討して、解析も、非線形解析も含めてやりまして、ある程度自信を持ってそこに至ったという状況です。

 

◆小川和雄委員 今ほど、2番目に私は事故調査委員会の中立性についてお伺いしたいと思っていたのですが若干お話しになりました。今までお聞きしました黒沢建設株式会社、あるいは株式会社構造設計集団SDGの方たちに対するお答えは、今後ホームページを通じて回答していきたいということでございますので、それはそれで了解をいたしました。

 事故調査委員会の中立性についてのもう1点、定着部の耐力について、施工業者である第一建設工業株式会社の実験結果を事故調査委員会で採用しておりますが、これに対しまして事故調査委員会の公平性を疑問視する意見も出ております。そこで採用した最大の要因は何なのか。それをお伺いするとともに、事故調査委員会でも実際に実施することもいかがなものかという考え方もあるわけでございますが、この点についてお伺いいたします。

 

◎事故調査委員長 ただいまの件なのですが、事故調査委員会としてはすべてを全部委員会でやれるわけはなくて、できるだけ例えば、示方書から借りてくるというのもある意味で、今世の中にある知識を使って我々が整理をする。我々なりに判断をしてやるということ。先ほども申し上げましたが、実験結果の前にもある程度の算定をしてあるのですが、全くそのものというものがない。実験結果があれば使うと。これは記者会見でも述べましたが、実験結果にしろ解析結果にしろ世の中にある、あるいはこれに関心を持ってやっていただく方はいただいて結構です。それを事故調査委員会として我々5人の委員の自分たちの技術的判断でどこまで信頼できるか、いけるかということで採用できるものは採用をするし、せっかくお寄せいただいても少しこれは違うということであれば採用しないという方針でやってきております。

 そういう意味で、誰がやったからというのは多少はあるかもしれないのですけれども、事故調査委員会としてその実験をやる計画も最初、この実験結果が出る前はやはりやらないといけないかということで考えておりました。ただし、実際にやるとするとすごく時間がかかるということで、少しそういうことを考えていた時期に出てきたものですから。実験の様子は私自身が実験現場に行って、実験が終わったあとなのですけれども実験の結果を見て、実験の途中のビデオもありますからそれを見せていただいて、実験担当者といろいろ話をさせていただきました。その結果、私の判断として実験としてしっかりしていると。我々が大学で、あるいは事故調査委員会でやるとしても多分同じような答えを得られるだろうという確信を持ちましたので、委員会として採用したということです。

 

◆小川和雄委員 分かりました。ただ、この点につきましてお金と時間の問題があるというふうにマスコミ報道が一部されておりますが、この件に関して県の対応はどのようであったのかお話しいただきたいと思います。

 

◎事故調査委員長 県からとやかく言われたわけではありません。我々はやらないといけないという話をしていまして、県はただ委員会の進行を見守っていたというか、我々がやれと言えば多分やったと思います。ただ、我々も時間的なものを一番気にしました。これで準備をしたり、何とかしてやるとすると1か月か2か月かかるという感じでした。そういう意味で早く答えが出ていればそれをできるだけ使おうという状況でした。県がやらないようにということは一切なくて、雰囲気としてほとんど我々が言うと全部やっていただいたという雰囲気ではありました。

 

◆小川和雄委員 分かりました。それでは3項目の事故原因について、3点にわたってお聞かせいただきたいと思います。なお、今ほど事故調査委員会委員長の方から既に御説明もいただいておりますが、重複になるか分かりませんがお願いいたしたいと思います。

 まず1番として、連絡デッキの崩落のきっかけはR21の定着部の破壊としておりますが、どのくらいの精度で解明されているのか。

 2点目として、1回目のジャッキダウンによるダメージが事故発生に及ぼした影響はどのようにお考えか。

 3点目は、ジャッキダウンの異常の後の補修が十分ではなかった、または傷んだ部材を取り替えるべきとの意見がございましたが、事故に対するこれらの影響はどのようなお考えをされておりますかお伺いをいたします。

 

◎事故調査委員長 お答えいたします。きっかけのR21の精度ですが、私自身の確信としては何でも 100パーセントということはあり得ませんけれども、これが崩れることはないだろうと思います。ただし、ずっと分析をしたり解析をしたりしていますが、解析の精度に関しては現在の技術レベルを反映せざるを得ません。その耐力がどこまで本当にきちんとできるかと言われるとある幅でしか想定できない。我々がやっている工学はすべてがそうですが、時間がたつといろいろと研究が進んでレベルが上がります。ですから、その辺の耐力算定、実際にどのくらいの力がかかったかの算定、それの精度は上がっていくと思いますが、結論は変わらないだろうと考えております。

 2点目の、第1回目のジャッキダウンのダメージがどのくらいあったかということですが、先ほども申し上げましたようにR20、R21の辺りで解析的にやると割と大きな力というか、ひび割れ相当の荷重がかかった可能性が高いと。もともと設計上はひびが入ってもいいように作りますが、ひび割れが入って、コンクリートは鉄筋が入っていると基本的には、そのひびが入った力を全部鉄筋で受け持つという状況ですが、せん断耐力に対する補強が効いていないという状況ですとひびが入るとかなり弱くなると考えております。もし適切に第1回目のジャッキダウンがなされたとしたらあの時期では壊れなかっただろうと思いますが、もう少し時間がたった段階で、先ほど言いましたけれどもR26に大きな力が発生していますので、長期的というかクリープ破壊する可能性が高いレベルになっていますから、そちらで壊れた可能性が高いのではないかと考えています。いずれ時間がたつとそういう意味では安全性は損なわれる。ただし、現在の技術レベルで時間を計算できるかというと計算はできません。

 3点目の補修をしたらいいのではないか、取り替えるべきではなかったかということだったのですが、現実には破壊のきっかけがそこで起こってはいないです。直接的にはそれが破壊につながっていなかったということを考えております。

 

◆小川和雄委員 それでは、最後の質問とさせていただきますが、報告書で種々提言がなされておりますが、一番重要と思われるのは何か。

 また、先ほども話がございましたが2番目としては、非常に精力的に責任を持って原因究明に取り組まれたことにつきましては冒頭感謝申し上げたわけでございますが、最後に事故調査委員会委員長として長期間いろいろな課題に取り組んでいただきましたが、振り返ってみて今回の落下事故についてどのように理解されておりますか。どう思われているかお聞かせいただきまして私の質問を終わります。

 

◎事故調査委員長 提言を幾つかさせていただいておりますが、一番重要と思われるところはやはり最初から最後まで、設計段階から工事監理者、施工者、あるいは製造者も含めて全部がある程度きちんと分かるという体制が必要だろうと思います。いろいろ分業体制で進んでいますので各パートごとにはお任せしているという状況かもしれませんが、振り返って見ますと、今から30年、40年、50年前ですといろいろな社会情勢、仕事の状況が違うので一既には言えないのですけれども、発注者の技術の方は仕事が多くなかったというせいもあったのかもしれないのですが、総体的にその予算が大きかったせいもあるかもしれないのですが、設計から全部一人でやっていたというかグループで最後までやっていて、そうすると、どの辺にどういう問題があるかということをその人たちは認識をしている。そうすると割と危なそうだとそこに行って手をつけるというようなことができたのだろうと思うのですが、社会情勢がいろいろ変わってきていて特に現在ではやりにくい情勢になっていると感じています。ですから、そこでどういう体制を作るかを考えないといけないと思うのですが、要するに全部が分かってきちんと責任を持って仕事をしていただくという体制がすごく大事だと思います。

 最後、感想ですが、一番最初に思っているのは、一応報告書がまとめられてほっとしているというところです。私自身もこういう事故調査委員会は初めてで、どういう状況になるかが良く分からないながらもいろいろ県のお役に立てればと思って手を組んできました。壊れた状況が荷重が作用していない状況で壊れたということに関しては、最初は非常に理解がしにくい。なぜ壊れたかということに対して答えがいつ出せるかということには最初は非常に不安でした。

 いろいろな事情があって委員会はいつまでに答えを出しますというのを言わざるを得なくなって言って、言った段階で委員のかたがたにある程度プレッシャーもかけるというところもあったのですが、それが少し延びていたのですが、原因解明をある程度できたということでほっとしています。これをそうではないほかのところでやると普通はもっと時間がかかると思います。兵庫県南部地震も私も土木学会のコンクリート関係でいろいろ調査書をまとめたりしていますが、学会ですともう少しもっとボランティアの性格が強いですからなかなか時間がかかるのですが、やはり2年、3年かかっています。今でももちろんやっていてその技術レベルはかなり上がっています。そういう状況で皆様方からは時間がかかり過ぎたと言われることがあるかもしれないのですが、私としては最後に委員、サポーティングスタッフの方にすごく頑張っていただいて取りあえずまとめたということに対してほっとしている状況です。

 

◆長津光三郎委員 私の方は、前置きの方はなしにいたしまして、ただいまの我が党の小川委員の質問に含まれなかった部分につきまして何点かお尋ねいたしたいと思います。

 第1番に、事業体制上の問題についてでありますけれども、この項目につきまして4点ほどお尋ねいたしたいと思います。最初にその2点の部分についてお尋ねをさせていただこうと思います。

 1点目は、報告書の 126ページ以降で、連絡デッキの建設に当たって設計、工事監理、施工、発注の各段階についていろいろと問題点が指摘されておりますけれども、事故調査委員会委員長とされましてはその中でも一番のポイントは一体何だったのかと、そのお考えにつきまして少しお尋ねをいたしたいと思います。

 もう1点ですけれども、設計と工事監理を実質的な設計者である株式会社槇総合計画事務所、株式会社構造設計集団SDGではなく県建築設計協同組合に委託したという複雑な発注形態が責任の不明確さを生じたとの報告でありますけれども、この点について事故調査委員会委員長はどのような御見解をお持ちでいらっしゃるか、この2点を取りあえずお聞かせをいただきたいと思います。

 

◎事故調査委員長 事業体制の問題、どこが一番問題であるかということですが、私自身先ほど申し上げましたように、全体として一本筋が通っていなかったというか、ある意味で分業体制が進むとやむを得ないところもあるかと思うのですけれども、そこが一番大きな問題かと思います。それは責任がどこにいってしまうか良く分からないです。極端に言うと言った、言わないとか出した、出さないとかいうことで、特に事故が起こった後そういうことがいろいろと起こっていますが、そういう意味では、県が発注しているとすれば最初から最後までしっかり監理する必要があるのかと思っています。

 2点目の、責任の不明確さも基本的には同じですが、事業体制が非常に複雑というのは私も何でこんなことをやるのかというのも良く分からないでお伺いしました。いろいろな側面があってそういうふうになっているという説明は受けましたが、実際に担当するときには難しいのかもしれないのですが、今はどちらかというと一本化でいろいろなことを一括してやる方向に少し進んでいるというふうには思います。ただし、いろいろな事情があると思います。単にその工事を安く、早くと、それですぐ済むかというとなかなか担当者は判断するところがあるのかと感じました。以上です。

 

◆長津光三郎委員 それでは、事業体制上の点につきまして、あと2点をお願いしたいと思います。

 3点目は、事故発生の要因を斜材ロッド定着部の破壊として、その原因を長期的荷重や短期的荷重に対する定着部の設計耐力の不足が主因だとされておりますけれども、今回のこの事故において設計者の責任についてはどのようにお考えでいらっしゃるかということがまず第1点。

 今1点が、十分な検討がないままに、施工計画書を作成せずに第1回目のジャッキダウンを実施した。その結果、大きな変形をもたらしたことやPC床板の定着部の補強筋の配筋異常などを生じさせていることから、施工者の責任も大きいということも指摘されておりますけれども、その点は施工者は十分にその役割を果たしていらっしゃったのかどうか。この点の考えについてお聞きをいたしたいと思います。

 

◎事故調査委員長 設計者の責任は一番大きいかと思います。いろいろな報告書、あるいは報告書というか構造計算書、あるいはその種のものをいろいろ拝見いたしましたが、先ほど申し述べたような定着部のああいう破壊に関しては、ああいうことが起こるということを十分に認識をされていなかったように思っています。製造する所とのやり取りも文書等を伺いますと、縦でも横でも入るだけ入れておけばいいというようなやり取りもあったということも伺いますと、設計者がここの重要さを十分認識をしていなかったということは伺えます。

 施工者も最低限言われたとおりにやればいいのかというところもあるのでしょうけれども、自分たちの仕事に対してもう少し本当にこれでいいのかどうかということを検討しながらやっていただく方がいいのものができるかと思います。どちらの責任というか。安易なジャッキダウンというのはそれは少しまずかったのではないかと思いますので、やはりやり取りをしっかりとやって確認を取りながら工事を進めていくという意味では責任はないわけではないと思います。

 

◆長津光三郎委員 今のその中で今1点確認をさせていただきたいのですけれども、株式会社構造設計集団SDGの責任についての重さ、大きさというものについてはいかがお考えか。このことを今一度確認させておいていただきたいと思います。

 

◎事故調査委員長 重さはかなり重いとは思います。逆に振り返って設計者がここだけしっかりこうやってくれと、何が何でもこれ以外はだめだともし言ったらそのとおりに施工者はやるでしょうから、設計者からこれでいいと言われれば施工者はそのままやってしまう可能性が非常に高い。そういう意味では設計者の責任は重いと思いますが、私が答えるのはそのくらいでそれ以上は何をどこまで答えていいのか良く分からないのですが。

 

◆長津光三郎委員 次に責任にかかる部分につきまして少しお尋ねをいたしたいと思います。これも2点ございますので、併せてお尋ねをいたしますのでよろしくお願いいたします。

 第1点は、報告書では設計、工事監理、施工、発注の各段階での問題点を指摘しておりますけれども、それぞれに関しまして当事者間の共通意識や連携が取れていなかったとの指摘があります。その点について県は適切に管理を行っていたとお考えでいらっしゃるかどうか。これがまず第1点。

 2点目が、極めて特殊な構造であったと聞いておりますけれども、実際のところ今回のこの構造の場合、県が安全性を確認できるとお考えであったかどうか。これについてもお尋ねをいたしたいと思いますがお願いします。

 

◎事故調査委員長 設計から施工まで県が、当事者間が悪くて、県の責任がどうだったかということに関しては変な話ですけれども、県は全部設計会社に任せていたという印象を持ちました。

 二つ目で、県が安全性を確認できるかどうかですが、県の技術の方には大変申し訳ないのですが、できないと思います。もしできるようにするならば、それなりの技術者を育てるべく、要するに最先端の技術をもう少しバックアップする体制がないと、いろいろ学会に行って勉強をするとか発表をするとかも含めて、そういう観点でないとなかなかついていけないだろうと思います。

 

◆長津光三郎委員 県にはそれだけの技術者の能力がないというか、それだけの人材がいないということでございますね。分かりました。

 続きまして、残った残存デッキにつきまして4点ございますので、最初に2点だけお尋ねをさせていただこうと思います。

 1点目は、落下した連絡デッキの復旧に当たって、残存デッキを補強して使った方が安いとの試算が出されております。委員会としては、全面撤去をして新しく全く新設をすべきであるとの見解であるようでありますけれども、残存デッキの落下による影響や長期的な安全性の確保について、改めて委員長の御意見をいかがお考えか少しお尋ねさせていただきたいというのが1点でございます。

 今1点は、現在供用中の入り江側とアトリウム前の二つのデッキについては、日常に監視を継続することで当分の間、供用に問題はないとしておりますけれども、現在のデッキの安全性に対する検討の内容をお聞きいたしたいと思いますし、大変恐縮なのですけれども、当分の間という期間的なものを簡単で結構ですけれども、大体どのようにお考えかこれも併せて少しお尋ねをさせていただきたいと思います。

 

◎事故調査委員長 残っているデッキで一つは、落下した部分の残りの所と、今ほかに供用をしている所の二つがあると思いますが、どちらも基本的には定着部の問題はずっと残っていると思います。安全性という観点からすると定着部の補修をしないといけない。落下した所はそれ以外に落下の衝撃によって柱がかなり傾いている状況です。そうすると、それによって本体にも、先ほどの定着部の安全性以外にいろいろなものが生じております。床板間でひび割れが開いているということがありますので、そのほかいろいろな所があるのでそれをどこまで直さないでいけるかというのが良く分からないとすると、直すのであれば全部直した方がいいとは考えています。特に安全性、経済性もそうですけれども、一部分だけ別のものをはめ込んで全体がというものは、やはりそういう面でも美的にも良くないとは思います。どちらにしてもかなりお金がかかるのであれば造り直した方がいいと考えました。

 現在、供用中のものもはずっと監視しながらやっております。当分の間というものがどのくらいかというのは、実は、先ほども申しましたけれども、現在の技術レベルで何年といったところまでは言えません。ただ、最大の力に対しては、今かかっている荷重と耐力からすれば低いことは低いので、すぐそれで崩壊に至るというわけではないのですが、時間とともに低下するというのが考えられます。当分の間というのはなかなかはっきりは言えないのです。ただ、一日二日とか1か月というレベルではないと思います。

 監視をしながらというのがある意味で安全性が一番確保できるやり方です。そういう意味で監視を続けて、本来ですと監視をしないでいいように造るものですけれども、監視をしながら安全性を確認してできるだけ早く手を打っていただきたいというのが我々の考えです。

 

◆長津光三郎委員 そうしますと、やはりできるだけ早いに越したことはないということになるかと思います。

 次にあと2点でございますけれども、入り江側並びにアトリウム前の二つのデッキの定着部の補強をすれば、安全性は本当に確保ができているのかできるのかどうか。

 今1点、定着部の設計の不備が明らかになったわけでありますけれども、一方コンベンションセンターの設計との関連について、大変関心の高いところであるわけでございますけれども、事故調査委員会委員長の今回の調査結果についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 

◎事故調査委員長 定着部の補強はいろいろな補強方法があります。今とはかなり違う方法でサポートをするという格好になると思いますが、十分安全に造ることはかなうだろうと思っています。二つほど一応事故調査委員会としては考えておりますが、もちろんもっと別な方法をいろいろな方から提案をいただければもっと別な方法もあるかもしれない。経済性とも関連があると思います。

 コンベンションセンター本体との関係ですが、今回の問題は定着部の所だけです。鉄筋コンクリートの定着部の所が不適切だったということで、全体としては技術レベルがすごく高い設計者だとは思っております。

 

◆杉田弘美委員 それでは何点かだぶる点がありますので、だぶらない部分を中心に質問をしたいと思います。

 先ほど小川委員からも話がございましたように、朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故調査委員会の委員長としまして、先ほど来話がございましたように、時間的、期間的な余裕のない中、大変御苦労をされまして、御苦労さまでございました。先ほど結果報告の話を小川委員の方からされましたけれども、最初に委員長を引き受けられることについて、これは大変だったとか所感を。引き続いて結果報告の部分での話をまずお聞かせをいただきたいと思います。

 

◎事故調査委員長 最初に委員長を引き受けるときの件ですが二つありまして、私自身は実は出身が地元というか、生まれが新潟県の小千谷市です。たまたま長岡市に帰って来て、今まで五十数年の中で長岡というか地元を離れたのは十二、三年あるのですが、そういう意味で地元に帰って来て地元の何かの役に立つことをやりたいと思ってもいましたし、今までそれなりにそういう機会があればやるというつもりでいろいろとやってきたものですから、今回の事故があったときに頼まれたらやらざるを得ないと瞬間的には思いました。

 二つ目としては、技術者としてですが、原因をすごく知りたいと思いました。先ほども言いましたけれども、私は兵庫県南部地震のコンクリート構造物の土木学会側のコンクリート構造物の取りまとめでいろいろ責任者としてもやっていたこともありましたし、本当のことを探るというのは難しいです。できたら壊れる現場を見たいというのが、特に兵庫県南部地震でも阪神高速3号線の高架橋が倒れたときに、倒れたのがどういう格好で倒れたかというのはすごく関心があって、いろいろ検討して、最近いろいろと解析も進んでようやく分かりました。でも、分かるまでに5年くらいはかかっています。そういうこともあって、一つはやはり貢献をしたい。2点目は技術者として何がどうなったかを是非知りたいということです。

 終わって今の感想ですが、後半はある程度私の思いが満たされたと思っています。もちろん前半も、これからいろいろあるかもしれないのですけれども、私はやはり余り地元、地元と言うと良いかどうか分かりませんが、貢献できるところは貢献したいと思っております。

 

◆杉田弘美委員 御苦労さまでした。今ほど委員長はコンクリート学会の工学の専門家でおられるということでありますけれども、土木、建築いろいろ合わせて外部的な要因の中で、先ほども少し話がございましたが、見方なり考え方という部分がいろいろあるのだろうと思いますけれども、私もこの部分は素人でなかなか分かりませんけれども、朱鷺メッセ連絡デッキそのものというのは、本来土木系なのか建築系なのかその辺のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

 

◎事故調査委員長 なかなかお答えしにくいところもあるのですが、例えば、構造技術者、コンクリート構造でも鉄骨構造でもいいのですが、日本以外は世界では構造技術者一本でとおります。日本ではいろいろ歴史的な経緯があって土木と建築に分かれています。私もコンクリート工学協会では土木と建築の人が半分づつで一緒に集まって議論をしたりしていますが、構造物そのものは特に違いがありません。多少寸法が大きいとか小さいとかで適用できる算定式が適応限界を狭めればこうだというのはあります。本来的には土木だとか建築だとかということはない。ただ、建築ですと建築基準法というものがあってある程度範囲がありますので、その場合にはいろいろな制限から建築の方が担当したかもしれないのですけれども、構造解析に関しては建築も土木もありません。ただ、歴史的な流れと今申し上げましたような法律の規制のようなものがあると、土木と建築で多少違うところはあります。以上です。

 

◆杉田弘美委員 5名の委員の専門分野は、私は詳しく調べていないのですけれども、どのような専門分野の方なのかお聞かせください。

 

◎事故調査委員長 先ほどの報告書要旨の1ページ目にありますが、私はコンクリートとか鉄筋コンクリート、耐震も含めてそれを一応専門にしております。二人目の上之薗委員ですけれども、この方は建築構造、あるいは建築防災が専門です。この方が事故調査委員会を発足する前にもう既に来ていろいろと調査をされていました。そういう意味では建築側としては上之薗委員が一手に引き受けていただきました。清宮委員は前は国土交通省になる前に運輸省の港湾技術研究所のコンクリート構造の室長で、それを終わられてから早稲田大学に行っております。コンクリート構造、プレストレスコンクリート構造、もちろん鉄骨構造もある程度やられている委員です。4人目の長井委員は鉄骨の専門家で、土木学会で鋼構造委員会というものがありますが、鋼構造委員会の委員長をされています。5人目の森谷委員はここに書いてありますけれども、橋梁(りょう)の専門家でコンクリート橋梁、メタルの橋梁、本州四国連絡橋でずっとやっていますので、この方はそういう意味では実務をやられています。ただし、長井委員も先生になる前はメーカーで20年以上やられている方ですので、実際の橋梁も手掛けてきている先生方です。

 

◆杉田弘美委員 先ほど小川委員からも若干御質問がございましたが、この事故調査委員会の経過の中でいろいろ提言なりまた中傷、ひぼう等々があったのではないかと推察されますけれども、全体的には相当にそういういろいろな分野での提言等はあったのでしょうか。どうでしょうかお聞かせ願いたいと思います。

 

◎事故調査委員長 公式にはないということです。いろいろあるのはほかのときでもありました。私が一番調査報告書で経験しているのは、兵庫県南部地震のときに、それは直接関係者ではなかったせいもあるのですけれども、いろいろな方からあれはこう壊れた、ああ壊れたというのはいろいろと言っていただきました。それは調べますと外部の方が少ないデータで真実に迫るのはなかなか大変だというのが印象です。

 

◆杉田弘美委員 この連絡デッキ等については、先ほども話がありましたが全国的に例がない構造です。この辺を私自身はある程度これを採用したことにも問題があるのではないかと個人的には思っているのですけれども、これらのデータとか工法の経験がない中でこれを採用して、結果的にはこういう事故に至った。これは委員の個人の所感で結構でございますけれども、この辺のことについてどのようにお考えになっているかお聞かせを願いたいと思います。

 

◎事故調査委員長 私個人的には我々構造技術者というか、ものを造っていく技術者は常に新しいものに挑戦しなくてはだめだと思っています。新しいことをやった結果いろいろなことが起こるというのはある意味で宿命みたいなところもあるのですが、今まで造って何ともなかったから100パーセント分かっているかというと、必ずしも分かっていないけれども、すごく安全に造って残っているというものも結構あります。技術が進むというのはその中で分かっていなくてかなり無駄にしていたところを分かって少しスリムにするというのも技術の進歩の一形態です。

 それから、やはり新しいものにチャレンジしていくというのはすごく大事なのですが、一方で未知のところが当然ありますので、そこにどれだけ配慮をしてそこの安全性をどこまで確保するかと。要するに計算でできない何もできないところで、あとは技術者の過去の経験とセンスでそこをどうカバーするかというのが実際のところだろうと思います。

 

◆杉田弘美委員 それでは最後にしますけれども、先ほどここの原因の責任については設計者が一番重いのではないかというお話をされましたがそれはそうといたしまして、先ほどはまた発注者の問題も出ました。その発注者と設計者、工事監理者、施工者と4部署があるわけでございますけれども、これらを並べてやはり設計者が一番重いと事故調査委員会の方は感じられたということですか。

 もう1点は同じ連絡デッキ、構造を分けて工事を施工されましたが、この工事については事故調査班の事故報告書の中にも逆に書いてありますけれども、今日の報告の中ではその辺が触れられておりませんでしたが、これらを分けて工事したことに対する問題はなかったのかどうかその辺について少しお聞かせ願います。

 

◎事故調査委員長 発注者、設計者、施工監理者、施工者、製造者を含めまして、誰がどうしたらどう変わったかというその力関係から言いますと、多分設計者が一番強かっただろうと思います。設計者が頑としてやったら多分全部そのとおりになります。それが思いです。

 分割施工に関しては、技術だけではないところがあるだろうと思います。技術だけ、経済性だけを追求すれば一社が全部やれば全体の統制が取れると思いますが、公共事業だといろいろな側面があるだろうとは認識をしております。

 

○委員長 暫時、休憩いたします。

          休憩 午前11時50分          (以下余白)          再開 午後1時

○委員長 再開いたします。

 休憩前に引き続き、質疑を行います。

 

◆青木太一郎委員 午前中に引き続きまして、事故調査委員会委員長に四、五点ほど御質問をさせていただきたいと思います。

 とにかく今回の朱鷺メッセは、建築技術の粋を結集したはずの連絡デッキが、ごう音とともに自壊したということは、建築史上例を見ないというような痛ましい事故であったわけですが、それにもかかわらず委員長就任以来5か月間にわたりまして、委員長が中心となられまして作成されました朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故事故原因調査結果報告書を、こと細かに読ませていただきましたが、この5か月間、非常に大変であったと心から感謝と敬意を委員長に申し上げる次第であります。

 さて、午前中にほとんどのかたがたが、私が用意したものを大体8割方以上質問されておりますが、若干重複する面もあるかと思いますが、そこは我慢して聞いていただきたいと思いますし、事故調査委員会委員長からは簡潔めいりょうなる御答弁をお願い申し上げる次第でございます。

 さて今回のこの調査報告書、私どもが感じたことは、先ほど来からるる意見が出ているとおりでありますけれども、まず、委員長はこの設計を、プロの立場で、専門家の立場で、この事故調査を通じながら設計を吟味されまして、この設計ならば、県が発注した価格もお分かりだと思いますが、率直にこの設計で、県が発注した価格が適正な価格で行われていたかどうかということについて、もし感想がありましたら、まずお聞かせいただきたいと思います。

 

◎事故調査委員長 私、価格がどうかというのは、今まで余りやったことがないので、適正かどうかというのは、申し訳ありませんが私の判断能力を超えております。

 

◆青木太一郎委員 専門家でいらっしゃいますから、私ども全く素人と違いますので、もし感想がおありでしたらというふうに、あえて無理にお聞きしたわけであります。

 そこで、県の関連することでありますが、午前中、いろいろな方のお話あるいは各委員の質問の中にもありましたが、これだけ大きなプロジェクトを、県の技術者が何名かかかわってきたわけでありますけれども、新潟県の土木といえばかなり大プロジェクト、例えばビッグスワンもあのとおり立派に仕上げてきた、設計をチェックするあるいはいろいろな面で、プロ集団が一杯いるわけであります。今回私どもが見ておりますと、これくらい新潟県でプロ集団がいるにもかかわらず、今回、朱鷺メッセにかかわった技術者の数といい、それが大変少ないように受けたのでありますが、専門的な立場で、率直な御意見がありましたらお聞かせ頂きたいと思います。

 

◎事故調査委員長 私にとってなかなか不慣れな質問というか、事故調査委員会としては、先ほども申し上げましたように、事故の物理的な原因追求にすごく時間を費やしていまして、私どもビッグスワンでどのぐらいの方がどうかかわって、どうやったからよく調べておりません。そういう意味では誠に申し訳ありませんが、私にはよく分からないとしか言いようがありませんので、よろしくお願いいたします。

 

◆青木太一郎委員 ビッグスワンはともかくとして、今回の朱鷺メッセ、いろいろ事故調査を進める段階において、県のいろいろなかたがたの説明を受けられたと思います。さらに、特に技術にかかわった人、現場を担当された人、いろいろお話を、事情をお聞きになったと思いますが、そこで今までの調査を通じまして感じた、技術集団が足りないとか、レベルが低いなとかというような感想がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。

 

◎事故調査委員長 直接的には定着部の所だけが配慮が足りなかったかなという印象です。ですから、大きなプロジェクトで新潟県はある意味で、今回は土木というわけではないのですけれども、土木工事は昔からすごく盛んで、有名な先生方が新潟県に来て仕事をしているという歴史があります。ですからそういう意味では、数が少ないからできないとか、何とかだからできないというわけではないだろうというふうには思っています。

 今回、そういう意味で定着部のそこだけが、結果として配慮が足りなかったということになっていると思いますが、大きな問題は先ほども言いましたように、全体を通してちゃんと管理して何とかするという体制が、社会全体分業化の方向にいっているので、ある程度やむを得ないかなと思いますが、そこに少し落とし穴があるとすればあるかなと思います。

 

◆青木太一郎委員 大変ありがとうございました。そこで、今回の事故調査、委員長を中心として事故調査を一生懸命やられてこられたわけでありますが、また、委員長と同じような立場で、プロのかたがたがいろいろなコメントを新聞紙上あるいは雑誌等で、我々よく読ませていただいているわけであります。今回の工事が設計どおりあるいは理想的に施工されたとしても、この想定されました全荷重、つまり自重とか人の移動とか雪とか、それから信濃川から吹く特に季節風の猛烈な風が、新潟は特に、川からの風、海から川へ直接なだれ込む風、場合によっては30メートル以上の風がときどき吹くわけであります。そして、駐車場とコンベンションセンターの間のちょうど空いている所が、落下した場所なわけですが、我々は農家ですから、あそこは正に遠見口のような、あそこだけは特別の風が吹いているような感じがしてならかったわけでありますが、その点、専門家の立場で、今回の設計やあるいは事故現場を見られまして、その辺の配慮、安全性のチェック、そういうもろもろの諸条件に立脚した設計であったかどうかということについては、お感じはどうでしょうか。

 

◎事故調査委員長 通常、その建物あるいは構造物に対する設計で考えなければいけない荷重は考えられていたと思います。先ほども申しましたけれども、外から来る力に対して構造物としてどれぐらい抵抗できるか、それから飽くまでも定着部の抵抗する耐力の評価、あるいは配筋の具合とかが不十分だった。それ以外はちゃんと荷重は検討されております。

 

◆青木太一郎委員 これは事故調査委員会委員長が直接設計されたわけではありませんから、これ以上聞くのは酷な話のようですが、先ほどもいろいろな方が、今回の事故はどう見ても落ちるべくして落ちたというふうに、いろいろな大学の先生方やあるいは独自の調査班を立ち上げました日本建築構造技術者協会等も、これらの問題について指摘をしているわけでありまして、どう見ても、どう計算しても、これはもう落ちるべくして落ちたんだという感想を述べておられる方が一杯いるわけでありますが、委員長もこれらの諸先生方の意見と同様でございましょうか、もし感想がありましたらお聞かせ願いたい。

 

◎事故調査委員長 多少、微妙には違うとは思います。設計自体はある意味ですごく、適切な言葉が思い浮かばないのですが、エレガントで、全体の重さを軽くして、そういうふうに作っているということは間違いないと思います。外部の方がいろいろ想定して計算をしていますが、我々はいろいろな細かいところまでチェックして計算して、耐力評価して、もっと安全に作ろうと思えば安全に作ることもあり得るだろうと思いますが、そういう意味ではけっこうぎりぎりなところを狙って設計されたかなとは思います。

 

◆青木太一郎委員 ありがとうございました。そこで、先ほども既に他委員からの質問に出ておりましたが、第1回目のジャッキダウンにかかわることでございますが、業者側といいますか、R26に仮支柱を建ててほしいと、建てなければだめだというふうに設計者あるいは県に提言をしたというふうな話も、漏れ承っているわけでありますが、これらの、先ほど来、総合的なプロデューサーといいますか、分業化が進んでいて1社が総合して全部やればこんなことはなかったのだろうという話を、先ほどの御説明で聞かせていただいたわけでありますけれども、やはりそういう提言をされても県も受け付けなかったというようなこともあるわけでございますが、これらについての感想はどうでしょうか。

 

◎事故調査委員長 そういう意味では、プロデューサーがいないということはすごく問題だったと思います。だれがだれの言うことを聞いてやったらいいかということですよね。やり取りも、私もその現場に立ち会わせたわけではなくて、こちらからの意見を聞き、こちらの意見を聞き、いろいろな相反する意見もあったりしていますが、最終的にそれでもできると言ったという、ではそういうふうにやりますと言ったというところがあれば、もしだめなら、ある意味で本当にだめなら頑強に頑張らざるを得ないのだろうと思いますが、それである程度納得して、別な方法で手を引いたというふうな現実があるとすれば、どこにどう問題があったか、担当者自体の判断能力もあると思いますけれども、そういう意味では全体を通してしっかりとしたコンダクターがいなかったということで、その意見を聞いて作ったとしても、先ほどの定着部の問題は解決しないわけですので、定着部が今のままだったら、ジャッキダウンが正しくやられたとしても、時間がたって崩壊に至るかなというふうには判断しております。

 

◆青木太一郎委員 ありがとうございました。そこで今と関連することでございますが、プロデューサー、コンダクターがいないという話、分かりましたが、その中でも、県が今回朱鷺メッセでかかわった中で、調査を通じながら、強いて言えばだれかが、ところどころ中心的な役割を果たした職員といいますか、それは県庁マンなのか、それとも設計集団なのか、あるいは別の人なのか、委員長はそういう面でどうお感じになられましたか。

◎事故調査委員長 御質問の趣旨を十分把握していないところもあるのですが、実質的には設計がけっこう大きな権限というか、力を持っているだろうと思います。

 

◆青木太一郎委員 そこで、第一建設工業株式会社が平成12年11月13日に契約をされたわけでありますが、その当時はとにかく構造計算書はないということが、私ども10月の委員会でもその辺はないということは確認していたわけであります。そこで、やはりこれだけ新しいざん新なデザインというのでしょうか、設計にもかかわらず、そうした発注の段階で構造計算書がない、それは事故調査を通じられて、その辺がやはり一番大きなポイントかなとお感じになったかと思いますが、その辺は、委員長はどうお感じになりましたか。

 

◎事故調査委員長 私としては御指摘のとおりだろうと思います。私も実際の現場がどう動いているかというのは、実務経験がありませんので分かりませんが、我々が実験などをするときにはそうやらなければできないのですが、実務だと、いろいろな経験を持っている方がやっていたりすると、割りとできるところもあるのかもしれませんが、ちょっと普通の流れとは違うんだろうなとはいう印象は持っています。

 

◆青木太一郎委員 あと3名が質問されるということでありますから、事故調査委員長の時間がなくなっておりますから、私は最後、1点だけ質問をさせていただきたいと思います。そこで、事故調査委員会は残った二つの入り江側とアトリウム側はどうしても補強しなければならない、できれば造りなおした方がいいという御意見を、先ほど来から伺っているわけでありますが、これは私の持論でございますが、もし造りなおすのであれば、鉄の重たいものを壊して、先般も新潟県産材の佐渡産のひのきか何かで造るということも一つの手かなと、どうせ悪いイメージで有名になったのですから、また別の意味で佐渡へ行く通路でありますから、それらのことについて、委員長の率直な感想をお聞かせいただきたいと思います。

 

○委員長 青木委員に申し上げますが、参考人への質疑は、朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故調査委員会の事故原因調査結果報告に関する事項でありますので、それを超える質問は控えるようお願いいたします。

 

◆青木太一郎委員 そのとおりだと思っていますが、あえてまた申し上げたわけでありますが、今ほど、二つの現在残っている連絡デッキ、これはどうしても補強しなければならない、そして改善しなければならない、そうでないと、今のままだと安全性ということについては自信が持てないという意味でしょうか。

 

◎事故調査委員長 長期的な意味では、安全性に問題があるだろうと思います。今、監視しながらやっていますが、多分、クリープ破壊みたいなのが起こるのは、起こりはじめると割りと早いので、1日とか1日以内とかということかもしれません。その間に、いろいろな影響が出始めると割りと早めに大きく変わる、ですから、ずっと見ているなら、予兆が見えたら通行止めをするというのであればいいでしょうけれども、その時にまた崩壊しても困りますので、そういう意味では、早めに直さないとだめだというふうには思っています。

 

◆青木太一郎委員 先般、港湾空港局のお話を聞きますと、毎日とにかく安全性を、職員が現場を確かめに行っているというのは、これは事故調査委員会の御指示でしょうか、どうでしょうか。

 

◎事故調査委員長 事故調査委員会でそういうふうに監視しろと、監視しなければ我々は安全性は、特に長期的なものは分からないと、そういうことです。

 

◆青木太一郎委員 ありがとうございました。大変いろいろ聞かせていただきました。今後とも事故調査委員会委員長におかれましては本県の建築学会、それらの専門家として大いに活躍されることを御期待申し上げまして終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

◆志田邦男委員 午前中からのいろいろな論議の中でほとんど、私も聞きたいなと思っていることは出されておりますけれども、その中で、そのやり取りを聞きながらその中でこれはどうなっているのかなということを、細かいことではありますけれども、お聞きをしたいと思います。

 まず最初に、この事故調査委員会の中立性ということで、これは小川委員の方から一番最初に話がありました。確かにこれから事故調査委員会が出した報告書、これは仕事としては一つ、第1段階かなと。今度はそれに対する様々な検証だとかそれからいろいろな当然反論も出る。また、裁判も当然ありますから、そこでこの中身はどうなのかというようなことでやり取りが第2幕として続くのではないかと思うのです。そうすると、私たちも全く素人という立場で、正直言ってこの分厚い報告書を全部見ることもできない、それから見てもなかなか理解できない、そういう中で、具体的には黒沢建設株式会社だとか株式会社構造設計集団SDGの方からいろいろな反論が出ている、これも午前中話がありました。

 そうすると、委員長の方ではこれは大体こうなんだ、ああなんだと、専門家の目から見てそれについては、何となくもう済んでいるんだよというようなニュアンスが感じられるんですね、専門家としては多分そうだと思うのです。しかし、これからいろいろな全県的なそういうような中で、私たちも素人の立場から見ると、さてこの報告はこう出ているけれども、例えば黒沢建設株式会社、具体的に言うと15項目の反論が出ているということであれば、こういうようなことについては後で説明をしようと思うというふうにおっしゃっておりますが、やはりこれは、まずお聞きしたいのは早くすべきだと、きちんといつまでということも、ある程度そちらの方から示していただいてやる、それからこれができればもう少し詳しいやり取り、ホームページでQ&Aという形で、この問題はこうですというのでおしまいにするのか、あるいはきちんとみんなが見ていると言うとへんですけれども、そういう中であるいはやり取りをやってもいいのではないかと、それぐらいきちんと最終的には詰めていくという作業も必要ではないかなと思うのですが、その辺についてはどんなふうにお考えでしょうか。

 

◎事故調査委員長 我々が一番気にしていた、今までもずっと御意見というか異議申立書があって、それについては何も答えていないのですが、水掛け論みたいな話になると、我々はある意味で第三者で、専門家で答えを出しますと言っているので、当事者のつもりはありませんと。技術に関しては、我々の答えが信用できないと言われれば、次はだれを中立にするのかなと、また、どこでどうやるかというのはきりがないだろうとは思います。ですから、頂いた御意見に対して、1回は、どこで区切ったらいいか、いろいろな意見がどう来るかよく分かりませんので見てからにしますが、そこで1回けじめをつけたいと。

 一番懸念するのは、ある種の専門家なら分かるけれども、そうじゃない人だと、ただ両方が言い合っているだけだなというふうなことになるというのは、我々事故調査委員会としてはすごく不本意というか、もしやるなら、学会で各々の議論を戦わせるというのはよくやるやり方ではあります。その辺を少し考えてはいます。ですから、事故調査委員会としては言いますけれども、当事者は多分いろいろなことを言われるのかなと。納得するかしないかというか、納得させることを事故調査委員会としてやるのが責務であるとは思っていません。ですから、納得できないと言われれば、いつまでも納得しないと言えばいいわけですよね、大部分の、学会から見たら答えが出ていると思っていても、頑張ってそれが一般にずっと報道され続けると、事故調査委員会は何やっているんだと言われますので、私としては1回は答えますと。本来ならばどういういきさつがあってということも、個人的には全部明らかにしてしまった方がいいかなと思うのですけれども、紛糾させるだけかもしれないというふうな思いはあります。

 事故調査委員会としては、知事の依頼を受けて第三者として我々は自信を持ってこういう答えを出しましたと、それから後は、極端に言えば知事の方で判断をいただく事項かなと考えています。

 

◆志田邦男委員 それから、私はこういう大きなプロジェクト、今ほどもプロジェクトの進め方とかそういうことでいろいろ話があったんですが、正直言って私も初めてですね、こういうようなプロジェクトの進行とか様々やるのかということで見ていたのですが、本当に素朴な疑問なのですが、今度はシステム的といいますかそういう方でしょうが、例えばジャッキダウンが終わった、完了検査がある、その直前になって構造計算書が出ると、こういうような仕事の進め方というのが、初めてそういうのを見て、そんなことあるのかと。普通、私たちはまず最初に図面があって、この図面についてはこうやって計算していますよというのがあって、それから仕事をするのだろうと思っていたのですが、業界といいますかこういうような仕事の中で、実質的には終わってから計算書はこうですよとか、そういうようなことというのは、これは往々にしてあるものなのですか、それとも今回のこういうようなのは異常な方なのでしょうか、その辺、お伺いしたい。

 

◎事故調査委員長 私も実務の世界ははっきり言ってよく分からないです。私は、第三者的に考えればおかしいなと、私がもしその仕事をするなら、設計図面があってどういう計算をやって、ここはこうだ、だからこう作れと言われて施工者が作るというのが普通だろうと思います。これは間接で伝聞でしかないのですけれども、ある程度慣れて、手掛けたものは図面を渡されただけで作るということは、慣れていればできる。全然例が変な例ですけれども、例えば住宅は図面を書いて細かい計算をしなくて、今までの経験の中でできると言えば、もうそれで作ってしまうのかなと。今回がそれと同じかどうか分からないですけれど、そういうこともあるようです。

 

◆志田邦男委員 と言いますのは、委員長がおっしゃるとおり、普通に定着している工法とかそういうものであれば別なのでしょうが、今回の連絡デッキというのは非常に特殊な、構造的にも大変難しいというような、先ほどからずっと話があるものですから、それほど難しいというような、あるいは挑戦的な工法、それなのにこんなのがあるのかなというのがあって、これも関係することなのですけれども、この事故調査委員会では主に技術的な要因はどうなのかということが主体ですね、ただ、物が壊れる、単純な壊れ方ではなくて、ということは、技術的な問題だけなのか。多分そうではないのではないか。その背後にあるいろいろなシステム的な問題だとか、そういうものがあると思うのです。それが正にこの報告書の中でもいろいろな県の関与だとか様々な連携の問題だとかという指摘もあるし提言もあります。

 私も通常例えば何かが壊れる、事故が起きるにしても、それが純粋に技術的な問題ではなくて、技術というのはいろいろなシステムの下で動いているのではないかなと、それを途中途中で、幾つもチェックする、だから、技術的なものでも完璧ということは恐らく余りないのではないかと。そうすると、背景といいますかバックグラウンドというか、そういうようなところが、もうきちんとなってはじめて一つの結果というのが出てくるのかなと。

 そうすると今回、非常に技術的な分析、そういったようなことは様々されている。それからシステム的なこともなっていますけれども、委員長の考えの中で、今回の事故をトータルで見ると、例えば主因は設計ミスとなっていますが、もう少し大きな目で見たときに、このシステム的な、監理的なものというのは非常に大きいのか、それは付随的なものだとか、その辺はどんな見方でいらっしゃいますか。

 

◎事故調査委員長 多分、工事の在り方自体はすごく、それも大きなところだろうと思います。全体を見渡していろいろなことを、責任体制がはっきりできるような人なり機関なりが必要であろうと。それがあれば、どこかでチェックができたかもしれない、ちょっとここを気を付けた方がいいですよという。多分これがすごく新しくて難しいという認識は、全体が共有していなかったというふうに思います。

 一つ一つを見ると、プレキャスト床板は今までも作っています。プレストレスでつなげるというのもやります。それから設計は多少斬(ざん)新な設計ですけれども、特にアイデアはなかなか思いつくのが大変なアイデアかもしれませんけれども、アイデアがあれば構造計算をすること自体は、それほど大変な計算でもないと思います。ただし、こういうものは定着部がすごく命取りになるということを、みんなが共有していればまた違ったかなという印象はあります。

 そういう意味で、システム上もそういうことが全体が分かるような、一貫して全体を見ているという部分が、今は余りないように思います。そこは、提言のところに書いてありますけれども、そこが一番問題かなと思いますので、それを検討していけば、だれかがどこかで気がついて、もっとこうだと、あるいは今まで各々が持っている、設計者、施工者、施工管理者が持っている過去の経験とか技術とかをどうやって生かすかというところでは、そういうものが余りうまく生きていなかったかもしれないという気がしないでもないです。

 

◆志田邦男委員 あとは、もうほとんど今までの議論の中で私の用意してきた質問がなされていますので、だぶって聞くことはやめたいと思います。あとはこれは質問というよりも私の結論ということなのですが、先ほどからずっときて、いずれにしても、この問題、これからが本当にある意味では始まるわけですから、そういう意味で是非、委員長の話を聞いていても、いろいろこの場で、それから今の立場では話せないような様々なことがあるみたいだなというようなことも、いろいろ感じまして、是非、これを一つの、今度は学会とかそういうような舞台になるかなと思いますけれども、いずれにしても完成したばかりの公共の建物が見事に崩れ落ちるなんていうのは、私の知っているかぎり日本で初めてではないかなと、外国にはあったかもしれないけれども。

 そういうようなことを考えると、是非これだけに止まらないで、もっともっといろいろな、例えば県のシステム、そういうような中にも、今回これをちょっと見ただけでもこんなにずさんなのかなと、これはただ単に技術的な問題だけではなくて、いつか必ずあのデッキは落ちるだろうなんて、委員の中で何人かおっしゃっていましたけれども、県のシステムを今回見ると、いつかまた必ず県の建物は崩れ落ちるんじゃないかなというようなことを、これを見ると感じざるを得ないなと思いました。是非、今度はそういうようないろいろな意味での提言も含めてやっていただきたいと思います。何かありましたら、最後に一言あればお願いしたいと思います。

 

◆塚野弘委員 全部出たような気がしますが、少しお聞かせいただきたいのです。

 まず、特に崩落の破壊の原因について、入り江側のR21の破壊が起点になって、それによって起きたというのが結論に出されていまして、その中で、原因というのは定着部の破壊が主因だという言い方、そのほかに配筋が不十分だったとかジャッキダウンというのが書いてあるんですけれども、崩壊が確かに早まったかもしれませんけれども、崩壊したというのは飽くまでも定着部の設計が不十分なために起きたのだというふうに結論づけてもいいのかどうか、まずお聞かせいただきたいのですが。

 

◎事故調査委員長 定着部の配筋を含めた耐力が足りなかったと。ですから、設計も十分認識をしていなかった。要するに鉄筋とちゃんと入れるべき所に入れなければいけないというものを、こう入れてもいいとか何か言っていますので、そういう意味では設計の考え方と、実際の配筋のところがちゃんとできていなかったというのが、一番の原因だろうと思います。

 

◆塚野弘委員 設計で配筋、設計段階でこういうふうに配筋をきちんと入れておきなさいよという、普通設計をする場合に、そういう構造物を造るときは、配筋もこういうふうに入れてくださいというのが図面になって、それが一部として、その部分としてできるのだろうと思っております。ただ、その設計どおりに床板を造ればそれができるということになるわけですから、そうすると、床板を造るというよりも入っていなかったというのは別にしても、設計段階できちんと配筋なりが図面として設計書としてきちんとしていれば、まず入れることが前提なのだということになるのか。それとも、配筋が変に入っていましたから、それも原因で落ちたのだというようなことにも今聞こえたのですけれども、どちらがという言い方がいいのかどうか分かりませんが、どちらが、私は設計の段階できちんとされているべきなのだろうかと思っていたのですが、どういうふうな受け止め方をすればいいのか、もう一度お聞きしたい。

 

◎事故調査委員長 私もうまく説明ができないところもあるのですが、設計段階でそこにどのぐらい力が働くかというのは、弾性的な話であっても解析はしています。それに応じて鉄筋を入れないといけないというふうには、設計側は考えています。ただ、どういう鉄筋をどこまで入れないといけないかということについては、せん断でああいうふうに壊れるということを、十分に想定していなかったというふうに思わざるを得ません。

 設計は計算だけして、引っ張りがこれだけ出るから鉄筋を入れろと言っていたんだけれども、実際いろいろやってみると入らない、作る方が入らない、これはどうしたらいいですかと、入らないんだけどもと言ったときに、縦でも横でもいいからとにかく入れてくれと、それは潰れることしか考えていないという、せん断で切れるという破壊を想定していなくて、つぶれるということだけを想定していれば、縦でも横でもいいというふうに考えて、それでもなかなか入らないけどと言うと、そこは伝聞情報だけですけれども、できるだけ入れればいいのだと、多少入らなくてももつんだと、こちら側で押しつぶす力だけだったらもつんですけれど、せん断で切れるものに対しては、横に入っていなければだめなのです。そういう意味では、設計者が全く考えていなかったというわけではないのですが、そういう認識が非常に薄かった。せん断で壊れるという認識が薄くて、そこにこれだけどうしても入れなければいけないという認識が薄くて、施工で入らないけどどうしようと言われたときに、つぶす力だけなら縦でも横でももつ、それは間違いないのですけれども、そういう状況だったと、やり取りを見て私は理解しています。

 だから、そういう意味では、設計が本当にそこを理解してやっていなかったので、理解していればもっと別な指示ができたかもしれません。そういう指示をしていないというところは。ただ、全く鉄筋を入れなくていいわけじゃないという計算はしています。

 

◆塚野弘委員 分かったような分からないような、そういう意味では、設計では鉄筋を入れなければだめだけれども、床板を造っているときに入らなくて、とりあえず入っていればいいんだという格好の中で床板が造られたと。そういうことで、造られた床板そのものが結局不十分だったために崩壊したんだということになってしまうと、造った方の床板が悪いのか、それとも設計なのかという、白黒、どっちにつけるという格好がいいのかどうか、そういうふうにつけられませんよということなのか、それとも設計段階でそういう入らないような設計をしているのが悪いのだということになるのか、それとも、やってみて入れてみたけれども、適当に入れてもらっていいのだという感じになって、それで床板を造った方が悪いのかということになるのか、この辺が、今聞いてみてもちょっと分かりづらかったんですけれども、もう少しありましたらお願いします。

 

◎事故調査委員長 どちらがしっかりしていたらできたかといえば、設計がやれと言ってやったらできたと思います。設計がいい加減なことを言っていれば、施工はそれに従って、それでもいいかなというふうに造るだろうと思います。

 

◆塚野弘委員 そこが一番の原因として、そこから落ちたということになるのだろうと思っています。それと同時に、1回目のジャッキダウンの影響も、ひびが入っている状態だったというふうに先ほど説明がありましたけれども、これは飽くまでも、実際には本来、設計段階で定着部がきちんと造られていなかったことによって、ジャッキダウンがきちんとやられて、ほかは今持っているわけですけれども、そういう状態であれば大丈夫だということではないように、聞いて思ったわけですけれども、時間がたてばその辺の部分についても、幾らジャッキダウンがきちんとやられたとしても、その部分は時間がたてば、どれぐらいの時間かというのはあるかと思いますけれども、崩落をしたというふうに受け取ってもいいのかどうか、お聞かせをいただきたい。

 

◎事故調査委員長 そのとおりだと思います。時間がたてばいずれ崩落するだろうと思っています。

 

◆塚野弘委員 分厚い報告書を見せてもらったのですが、私が読んでもすべて理解できるというような状況ではなかったんですけれども、その中に、終わりの方に事業体制上の問題点というふうにお示しされて、その中でも設計上の問題点であったり、工事監理上の問題点、施工上の問題点、発注上の問題点ということで、4点の問題点を御指摘されておられるわけであります。その中で、設計上の問題点の中に、是正行為が適切に行われていれば、設計の検討不足を見つけ出して安全性が保たれる、是正される可能性が非常に高かったというふうに報告書に載っているわけであります。これを先ほど聞いてみると設計と工事をやっている床板を造った部分を含めてあると思うのですが、先ほどの構造計算書も非常に遅い段階になってしか出てこなかったという、こういう状況なども総合してみると、今回の場合は、そのことも本当に検討不足ということになるのかどうか分かりませんけれども、そういう状態が作られる下地というのはなかったように思っているのですけれども、その辺はどうだったのでしょうか、どのように理解をされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。

 

◎事故調査委員長 今回のものをずっと逆に戻って、どの時点でだれが何をやったら、どうなったかということを多少考えてみますと、現実には難しい、なかなかそれはできなかっただろうなというか、あの設計のどこかの段階でだれかがこう言ったら直ったかというと、それをだれがどう言うかということを考えた場合、今の体制でいけば、なかなかできなかっただろうなという感想を持っています。ですから、今のままでいけば結局同じようになるかなと思います。

 

◆塚野弘委員 前段の、この前までの部分でいけば、崩落の原因ということで出されておられるわけでありますが、先ほど言ったように事業上の体制の問題点とか、それを含めて提言等もなされておられるわけであります。この部分を私どもが見た場合に、県の方に提言として上げられたとか、問題点として県の方に出されたということになるのかもしれませんけれども、私どもがこの部分を見せてもらう時には、どのような観点といいますか見方をすればいいのか、事故が起きた原因は前の方に書かれていると、それによって原因はすべて終わっているのかなと、はっきりしているのかなと。ここから後ろの部分は、こうすれば回避できた可能性があるとか、可能性として作られているようにとらえている部分があるのですが、可能性と実際のものと、それはどうすればよくなるというのは、これは幾らでもできると思うのですけれども、この段階でとそれからの可能性の部分を一緒に考えるのは非常に難しいのかなと、この報告書を読ませてもらって感じていたわけでありますけれども、ここはどのように私どもが認識をすればいいのか、お考えがありましたらお聞かせください。

 

◎事故調査委員長 事故調査委員会の主な、ずっと最後の近くまでやっていた仕事は、物理的な落ちた原因をある程度最初に想定して、それを本当かどうかを、解析をしたり実験の結果を見たりしながらそれをずっと繰り返して、それの作業がものすごく時間がかかって、それでも最後に提言をしなければいけないということで、割りと最後の方にまとめています。だからそういう意味では、集まっていただいた委員も、どちらかというと力学的な専門家だけですので、システム上については、私も時間的にも委員の体制上も必ずしも十分だとは思っていません。

 ですから、今おっしゃられた感想は正しい感想というか、原因は分かったと、途中もある程度やり取りの様子は整理したと、だけど本当のシステムをちゃんと考えてどういうことかというのは、我々時間的にも足りないし、能力的にも必ずしも十分ではないかもしれないとは思っています。ですから、ここは、これからさらにいろいろ検討していただくところかなというふうに思います。

 

◆塚野弘委員 最後にもう1点お聞きをしたいのですが、この工事が完了して、しゅん工検査なり県の完成検査ということで検査をやっているわけでありますけれども、目視でやったり、書類上でやったりという部分があるというふうに思っています。橋梁としてとらえるとすれば、荷重といいますか、重さをかけて本当にその設計荷重までもつのかどうかとかという検査もして、安全性というのはある意味で確認をしていくというのが、橋りょうなどではよくやられることだとお聞きしているのですけれども、このデッキだけで考えてみると、そのような部分が恐らくなかったのかなという気がしているのですが、建物の一部の構造物だということになると、なかなかそういうものがないということもあるのかもしれませんけれども、橋りょうが不特定多数の人が来るわけですから歩道的要素が非常に多いということから考えれば、そういう検査があって、あれば発見できたのかどうか分かりませんけれども、そういう最終的な検査体制にも問題があるのかなという気もしているのですけれども、範疇(ちゅう)なのかどうか分かりませんけれども、その辺について、もしお考えがありましたらお聞かせいただきたいのですが。

 

○委員長 塚野委員に申し上げますが、今の質問内容は、実務の方でありますので、今回は朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故調査委員会の事故原因調査結果報告に関する事項でありますので、実務に関する質問は控えてください。

 ほかに御発言はありませんか。

 委員の皆さんから御発言はないようでありますので、ここで、申出のありました佐藤浩雄議員の発言を許可いたしたいと思います。

 なお、この際、佐藤浩雄議員に申し上げます。

 発言は十分をめどにお願いします。

 

◆佐藤浩雄議員 許可いただきまして、ありがとうございます。時間がありませんので、端的にお伺いしたいと思います。

 この報告書を読んで、事故調査委員会で情熱的にというか一生懸命やったというのが伝わってきて、高く評価いたします。そこで、構造計算書についてお伺いしたいのです。この報告書の表の3・2・3の構造計算書提出経緯で、4種類の構造計算書の存在が明らかにされています。しかし、これを見ますと、いつ県にだれが提出したということが分からず、断定的な表現は使っていません。事故後提出された構造計算書もあり、構造計算書の信頼性そのものにも問題があるような気がするのです。特に、建築物の安全性を確保するために最も重要な、最初の委託構造計算書が、事故後、組合から県に再提出されたというふうに記述されております。これに私は大変疑問を感じるのです。

 事故調査委員会としては、この委託構造計算書、成果品として最初に県に納入されたものであろうと思うのです。この本体が県の受取印だとかちゃんとした証拠に基づいて、現実にあるものというのを、現物を確かめておられるのでしょうか。そして、本当にこの構造計算書が存在しているということを確認したうえで、この議論が始まっているのか、その点お伺いしたいのです。

 

◎事故調査委員長 我々は、その書類があって、いつ出ました、日付がありましたというのは見ていますが、印鑑があるとかないとかも見ていますけれども、日付が同じような日付があって、同じ日付で別のものがあったりとかして、非常にごちゃごちゃしているなということは分かりました。

 それ以上はどちらかというと、先ほども言いましたけれども、我々は原因追求が主な仕事だったものですから、だれがいつ出してどうかというのは、あまり細かくは見ていません。一応整理はされて、表にはできています。これは県の人にいろいろ協力してもらって、整理はしてもらっていますが、一応そういうのが出ている、同じ日付なのに二つ別な図面があるとかというのは認識していました。

 

◆佐藤浩雄議員 そこから先は、事故調査委員会委員長に聞けばいいのか分かりませんが、私たちとしては、この構造計算書のあるかないかというのは、極めて重要だと思っているのです。なぜかというと、建築確認をする場合、私は当然必要なもの、あるいは特定行政庁に計画通知をする場合、当然これがなければ検討できないと思うのです。ところが、事故後再提出されてみたり、あるいは存在がないのではないか、実際はこの書類を見てから職員にもお聞きしましたが、ないと言っているのです。そうなりますと、安全の確認のしようがなかったのではないかという気がするわけです。そうしますと、基本的な出発点において安全確認をしないままに着工というか、いっているのではないかという気がするわけです。

 そういう意味で、受け取った例えば受取書とかがあるのかしれない、現物が本当にそのものとして確認をしなければ分からない気がするのです。その点、事故調査委員会としては本当に成果品として受け取ったものが、現物としてその時の、何月何日か全然書いてありませんから私ら分かりませんけれども、本体を確認されているのでしょうか。

 

◎事故調査委員長 先ほども言いましたけれども、今みたいなやり取りは、我々事故調査委員会よりは県の担当者に聞いていただかないと、我々はそこを一生懸命調べたわけではないのです。

 

◆佐藤浩雄議員 分かりました。

 次に、現在使用中の入り江側とアトリウム前の2本の橋についても、同じ危険性が指摘されてここでも言われているのですが、報告書を見ますと、長期的な耐力からすると、70トンフォースが欲しいけれども22トン程度しかないと、このままにしておけば崩壊に至ると、こういうふうになっています。

 そこで、それは静態的なことでありまして、あそこは人を集めるための施設ですから、いつ最大荷重を上回るような人が乗ったり何かするか分からないわけです。確かに、私も直接港湾空港局で聞きましたが、毎日点検に行っているそうです。毎日点検に行っているけれども、これから何年か何十年かしりませんけれども、もし直さなければ、毎日そんなことはできないと思うのです。人間ですからミスもあるし、何が起きるか分からない。そんな毎日点検するようなおっかない橋を毎日抱えて、寝られないような状態で責任者がいるなんていうことは、本来の建物からすればあるべきことではないと思うのです。したがって、ここにもあるとおり、できるだけ早く補強と出ていますけれども、私はこの間直接停止をして、造り替えるということを何回も提案してきているのですけれども、そういうことからすれば、明日人が一杯乗るかもしれない、今日乗るかもしれないという橋の性格上、これから待つのではなくてまず使用停止にして、それから検討されるというのが本当じゃないのでしょうか、その点、どうでしょう。

 

○委員長 佐藤(浩)議員に申し上げますが、今は朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故調査委員会の事故原因調査結果に関する事項についての質疑でありますので、実務についての質問は控えていただきたいと思いますが、お願いします。

 

◆佐藤浩雄議員 そういうことで、もし、先ほども何回か類似した質問が出ていますが、この2本の橋を補強するとすれば、具体的には検討の中身についても提言されておりますよね、具体的な効果があるなしのことも検討せよというふうになっていますが、事故調査委員会としてはその内容についても、具体的な検討は行ったものでしょうか。

 

◎事故調査委員長 細かい計算はしていませんが、こういう工法で例えば計算すればどのぐらいの補強を入れたらいいのかというのは計算できます。そこまでは我々はやっていません。ただ、こういう案があって、それについて採用すればそれをきちんと計算してやればいいというつもりです。

 

◆佐藤浩雄議員 設計上の問題点とその認識と施工監理などの問題について、提言ではいろいろな問題点、例えば鉄筋コンクリート造として計算すべきところをプレストレストコンクリート造で計算したとか、配筋方法の不適切などが具体的に挙がっていますが、検討不足などをデザインリビューしてチェックすることによって見出されるというふうに提案されていますが、今回の場合、工事の施工というのと設計発注というのでしょうか、見た限りでは全く同時進行、1か月くらいしか違っていない。そういう状況下で、例えば関係者が集まっても、何回かこの報告書にも出ています、検討委員会がされていることは。実際有効な検討ができたのでしょうか。例えば構造計算書一つ見ても、施工会社が何回か構造計算書を求めていますけれども、あるかなしかも含めて答えられないということで、もらっていないわけです。構造計算書もない中で検討会を開いても、どこに問題があるかなどというのは分からなかったのではないでしょうか。そういった点、ここにもずっと書いてありますので、そういう打合せで、そういった実態の前提がしっかりしていたのか、その原因が同時発注みたいな短期間の中にすべてをやっていくみたいな、そういう発注の方法にも、極めて大きな問題があったのではないかという気がするのですが、その点、事故調査委員会としてはどういう検討をされていますか。

 

○委員長 丸山委員長に申し上げますが、先ほどから再三にわたり私申し上げておりまとおり、事故原因についての答弁に限りお願いいたします。

 

◎事故調査委員長 どういうふうに答えていいかよく分からないのですが、先ほど別な委員の方のお答えと多分同じで、今までの流れの中でどこをどう変えたらどうなったかということを考えたときに、なかなか難しかっただろうなと思います。そこが設計の問題であるということを見つけて指摘するのは難しかっただろうなと思います。それからいろいろ、発注形態のことに関しては、私も不慣れですし、事故調査委員会としてもそれを議論したわけではありませんので、お答えできません。

 

○委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。

 丸山委員長におかれましては、御多忙の中、当委員会に御出席をいただき大変ありがとうございました。

 どうぞ、御退席ください。御苦労さまでした。

 午後2時15分まで、休憩いたします。

          休憩 午後2時          (以下余白)          再開 午後2時15分

 

○委員長 再開いたします。

 これより、港湾空港局に対する質疑を行いますが、質疑予定者は挙手願います。

 (質疑予定者挙手)

 多数の方が、質疑を予定されておられますので、発言を制限するつもりはありませんが、一人おおむね30分をめどに質疑されるよう御協力願います。

 次に、宮越議員から連絡デッキの復旧工事の在り方とデッキの必要性などについて発言の申出がありましたので、これを許可いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 (「異議なし」との声あり)

 それでは、宮越議員の発言を許可することといたします。なお、発言の時期については、佐藤浩雄議員の質疑終了後にいたしたいと思いますが、いかがでしょうか。

 (「異議なし」との声あり)

 それではそのようにいたします。

 これより、質疑を行います。

 

◆小川和雄委員 それでは、質問させていただきます。

 先ほどは丸山委員長から連絡デッキ落下事故の原因究明について詳細に説明がありまして、ある程度のメカニズムについては理解をさせていただきましたが、今回は県当局に7項目にわたって質問させていただきたいと思っております。

 まず、1項目といたしましては、事故原因究明の在り方でございます。1点目として、工事施工者である第一建設工業株式会社が行った定着部の耐力の実験を採用するなど、事故調査委員会の第三者性について異議を唱える関係者がおりますが、県としてはどのような認識を持っておられるのか。

 また、責任追及として、事故原因調査について、崩壊メカニズムは事故調査委員会で、一方また事故の責任分野は県職員から構成した事故調査班が取りまとめるということでございますが、先ほど丸山委員長から発言がありまして、発注者である県も大きな責任があるというような話がございましたが、県が自らの責任を含む関係者の責任を明らかにできるのか、まず最初にこのことについてお伺いいたします。

 

◎副局長 まず1点目の、施行者が行いました実験を事故調査委員会が採用したことにつきましてでございます。事故調査委員会には多数の関係者から様々な意見や調査、そういったものが寄せられておりまして、それについて、事故調査委員会で内容を検討して、妥当なものについては採用するという方針を決定しております。御指摘の第一建設工業株式会社の実験結果につきましては、その妥当性を委員長ほか複数の委員が、試験方法の説明であるとか記録ビデオの視聴、そういったものを経て、試験方法の妥当性を判断したものと聞いております。したがいまして、この件に関しまして、県としては事故調査委員会の判断を尊重しておきたいと考えております。

 次に、2点目の事故原因究明の在り方につきましてでございますけれども、事故調査委員会からの報告で、崩壊メカニズムの推定とそれに至った原因を明らかにしております。責任につきましては、その結果を踏まえて処理をするといいますか分析するということになろうかと思いますけれども、施設設置者として、自らの責任を含めて、そういった責任問題を明らかにするのは当然であると考えておりまして、この結果につきましては、調査過程も含めて公表することによって、皆様の御理解がいただけるのではないかと考えております。以上です。

 

◆小川和雄委員 分かりました。結果を速やかに公表していただきたいと思います。

 それでは、2点目といたしまして、事故原因について、構造の選択についてまずお伺いいたします。報告書では、事故は斜材ロッド定着部の設計ミスであり、施工の方は定着部の配筋の異常など、今回の事故は設計と施工の双方にミスがあったとされておりますが、そもそも吊(つ)り型トラス構造という今回の特殊な構造の選定に際して、県はどのようにかかわったのかお伺いいたします。

 また、連絡デッキは特殊な構造と言われておりますが、私は先般申し上げたのですが、本州四国連絡橋のような超大橋りょうと比べますと、特に複雑な構造と言われておりますが、若干理解しにくいのであります。県当局といたしましては、特殊な構造という認識が当初にあったのかどうか、これを併せてお伺いいたします。

 

◎副局長 事故工区の構造形式の選定でございますけれども、ここの設計につきましては、平成12年3月ころから検討を開始してきてございます。そのときはPC桁方式という、それほど特殊でないというか、そこかしこに見られる方式ですけれども、そういったもので検討を進めてございまして、平成12年9月7日に株式会社構造設計集団SDGの方が、今事故が起きましたPCa床板方式といいますか、吊り型トラス構造と呼んでおりますけれども、その構造方式を株式会社槇総合計画事務所に提案をしてございます。両者はそれで進めることに合意をいたしまして、平成12年9月17日に県と新潟県建築設計協同組合、有限会社福地建築設計事務所にこの新しい床板方式の決定といいますか提案をいたしまして、三者がそれで合意をして進めるということで、この吊り型トラス構造というものが今後使われるようになったという経緯でございます。

 この件に関しまして、提案しております株式会社槇総合計画事務所の方から、この構造の特殊性といったものについての詳細の説明はなかったやに聞いておりまして、県当局としては、その時点でこの構造物が特殊な構造物であるという認識は持っていなかったと思われます。

 

◆小川和雄委員 分かりました。

 それで、若干関連でお聞かせいただきますが、株式会社槇総合計画事務所においては、意匠を担当するとお聞きをいたしておりましたが、全体の建築に携わったのだろうと思っておりますが、株式会社槇総合計画事務所のこのたびの請負額を、もし差し支えなかったらお聞かせいただきたいと思います。

 

◎副局長 株式会社槇総合計画事務所は確かに意匠担当ということで、この吊り型トラスといいますか、連絡デッキの設計に携わっておりますけれども、全体の景観デザイン調整業務というのを、万代島再開発事業の当初から終了までやっておりまして、こういった施設の配置とかそういったデザイン、景観等について統一性をもつという業務をやっておりまして、その中で今言った設計の準備等が進められていたやに認識しております。

 

◎振興課長 今ほど副局長の方から答弁させていただいた景観デザイン調整関係でございますけれども、手持ちの資料でございますけれども、平成9年度から平成14年度まで行われておりまして、景観デザイン関係の業務の合計額といたしましては、おおむね 3,700万円となっております。

 

◆小川和雄委員 若干質問要旨を変えさせてもらいますが、株式会社槇総合計画事務所ではすべてのデザインを担当された、今金額もお聞きいたしましたが、相当大きな請負額でございますが、この今までの事故の原因の中に占める、株式会社槇総合計画事務所のウエイトというのはどのくらいあるのかお聞かせいただきたいと思います。

 

◎副局長 事故の責任に関しましては、先ほど午前中に調査班の報告書で事故原因と責任の所在というレポートを、時間の関係で詳細に説明できませんでしたけれども報告させていただきました。その中に、関係者の責任について整理してございますけれども、私どもの段階でどの程度と、そこまでは至っておりませんけれども、この報告書の中では、この連絡デッキに関しましては、株式会社槇総合計画事務所は実質的な調整者というような位置づけをしておりまして、その役割を十分に果たしていないという整理をしてございます。

 

◆小川和雄委員 それ以上はなかなか答弁が難しいのだろうと思いますので、これで終わります。

 次に、計画通知と設計ということで、まず計画通知についてお伺いをいたします。今回の連絡デッキの建設に当たっては、特定行政庁である新潟市へ建設基準法に基づき計画通知がなされていると伺っておりますが、この制度は、同じ特定行政庁である県が自ら安全性の確認を行うことと趣旨を考えております。計画通知段階で県の手元に構造計算書がなくて、県の安全性の点検がなされていなかったとすると、計画通知者としての県の責任は大変大きなものがあると認識しております。

 また、安全性の確認を行わなかったとした場合、今回の事故の発生とはどのような関連があると考えておられるのか、併せてお伺いしたいと思います。

 

◎副局長 御指摘の計画通知につきましては、平成12年11月28日に新潟市に届けておりまして、平成12年12月15日に確認済書を頂いております。この期間中は、御指摘のとおり設計業務委託期間中でありまして、構造計算書はまとめられておりません。したがいまして、県といたしまして、安全を確認して計画通知を行ったという状況ではございません。そもそも計画通知制度自体が、県に法的、技術的な審査能力があることをもって特定行政庁の審査を簡略化すると。具体的には、構造関係図書の提出を不要とするというものでございますので、その趣旨からいたしましても、誠に遺憾な行為であると認識してございます。

 次に、その安全性の確認を行わなかったことと今回の事故との関連でございますけれども、今回の事故の発生原因は、午前中の事故調査委員会委員長の説明にもございましたように、定着部の耐力不足、配筋の不具合、安易なジャッキダウンということでございまして、この段階で安全の確認を行わず計画通知を行ったということ自体は、直接の事故の原因とはつながってこないかと思っております。

 

◆小川和雄委員 最も必要なこの構造計算書が手元にないということで、県といたしましては、安全性の点検ができなかったという話でございますが、問題は、そうすると、この設計を担当した新潟県建築設計協同組合のかたがたが、どのようなことでこの構造計算書を皆さんのお手元に届けることができなかったのか、その要因がありましたらお聞かせいただきたいと思います。

 

◎副局長 構造計算書につきましては、この設計業務委託の発注は平成12年10月11日に行われておりまして、平成12年度分につきましては平成12年10月20日、それで、平成13年1月25日が全体の納期といいますか工期でございます。したがいまして、この11月時点におきましては、まだ工期の途中ということで、この時点で構造計算書を取りまとめるという段階ではありません。したがいまして、県といたしまして、その段階で通知を行ったということにつきましては問題があると考えてございます。

 

◆小川和雄委員 分かりました。これ以上申し上げません。

 それでは、設計について若干お聞かせいただきます。報告書の20ページによりますと、定着部の形状、斜材ロッドの配置及び定着部補強筋の表示など、建設段階における各種の変更が行われていると。これらの設計変更については、関係者に正確に伝わっていたのかどうか。

 また、誰がどのような役割を果たすべきであったか、お伺いさせていただきたいと思います。

 

◎副局長 報告書の20ページには、斜材ロッドの配置の変更と、問題になっております定着部の変遷が整理をしてあったと思います。これらにつきましては、まず第1回目の連絡デッキの工程調整会議というものが、関係者が集まって、発注後一番最初ですけれども行われておりまして、そこで工事監理者からの図面の指示がございまして、そこで一部変更がなされております。その後、構造設計者であります株式会社構造設計集団SDGからそれぞれ担当の施工業者、あるいはPC工事下請業者といったところに指示がなされておりまして、変更されているという経緯でございます。

 原因の一部となされております、斜材ロッド定着部の施工につきましては、1月10日に株式会社構造設計集団SDGから新潟県建築設計協同組合、第一建設工業株式会社、PC工事下請業者黒沢建設株式会社に通知を行っているわけでございますけれども、それを踏まえて、黒沢建設株式会社が施工図というものを起こしまして、元請であります第一建設工業株式会社に提出したわけでございますけれども、その施工図が返ってこないということもございまして、あとは実際の工場の立会検査で配筋が入る、入らないというやり取りがございまして、そういったところから、必ずしも設計の指示どおりの図面ができていないという状況になってございます。この辺のところにつきましては、やはり物を造っていくというのは一定の決まりで工事をしてございますので、その流れに沿って、その各々のセクションがきちんとやって、それぞれお互いを確認するということが必要かと思いますけれども、今回の場合それが十分できていなかったと認識しております。

 

◆小川和雄委員 分かりました。

 先ほども事故調査委員会委員長から、特にその横の連携等について厳しいお話がございました。今後こういうことのないようにまたお願いを申し上げたいと思っておりますし、それぞれのセクションはセクションなりで、しっかりした責任体制を執っていただかないと、このような場合は必ずミスが出ると私も思っておりますので、県当局もその辺については十分、今後チェックをお願い申し上げたいと思っております。

 4番目といたしまして、他施設の安全確認についてお伺いをいたします。事故原因が斜材ロッド定着部の設計ミスであると結論づけられております。朱鷺メッセの連絡デッキのすべての構造計算を株式会社構造設計集団SDGが行っているということでありますが、そこで、コンベンションセンターの設計の安全性については、確認をどのように行っているのか。

 それから、今回の事故発生に伴い、改めて安全点検を行うべきだと考えておりますが、どのようにお考えであるかお聞かせいただきたいと思います。

 

◎副局長 委員御指摘のように、今回の事故は斜材ロッドの定着部という、ある特殊なといいますか、ディテールの設計ミスで生じたものでございます。コンベンションセンター本体は落下したデッキと構造も異なっておりますし、また設計書も異なっております。施工中に問題がなかったことから、安全性には特に問題はないものと考えております。なお、基本設計につきましては平成12年度、実施設計につきましては平成11年度から平成12年度に通して行われまして、所定の手続を経て合格をしてございます。

 

◆小川和雄委員 そういたしますと、安全確認は改めて行う必要はないと県当局では考えていると理解してよろしいわけですか。

 

◎港湾空港局長 副局長の方から答弁がありましたが、今回の事故の要因が斜材ロッドの定着部ということで、極めて限定されておりますことから、コンベンションセンター本体については問題ないと私どもは理解しております。

 ただ、エスプラナード、それからペデストリアンデッキ、言ってみれば回廊部分につきましては、念には念を入れるといいますか、再点検することも視野に入れて、点検方法等について現在検討を始めたところであります。

 

◆小川和雄委員 そこまで踏み込んで御答弁いただきましてありがとうございました。問題は、連絡デッキの落下によってコンベンションセンター全体が県民の皆さんに不安を与えたということも間違いない事実でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 次に5番目といたしまして、デッキの復旧方針について、2点にわたってお聞かせいただきたいと思っております。報告書では、連絡デッキの再建など、施設の復旧については、残存部を全面的に解体し改築する方法と、落下デッキの両側残存部を補強して利用する方法について、復旧費を試算した上で補強工事を実施しても、長期的な安全性に問題が残ることから、すべての区間を新設すべきであると言われております。

 ただし、非常に県財政も厳しい中でございますので、撤去のみを行い新設しないという選択肢が全くないのか。それからまた、県としてどのようにそれらを考えておられるのか。そしてまた、入り江側とアトリウム前の両デッキの対応として、補強については前例がないということでございますが、両デッキについての速やかな補強を実施する必要があるとの事故調査委員会の提言を受けて、県としてはどのように安全を確保しているか伺います。先ほども若干お話がございましたが、改めてこの点についてお伺いを申し上げたいと思います。

 

◎港湾空港局長 まず、前段の落下した連絡デッキの復旧についてでありますが、損害賠償請求というものは、造り直すことを前提とした請求ではありませんので、理論的にはお金を頂いて造らないという選択肢もあることはあります。特に県財政がひっぱくする中、そういう選択肢も十分あり得るのではないかと思いますが、私の感じとしては、現在そのような方向にはないと認識しております。局としましては、万代島地区の主要動線が2階部分にあるという認識でおりますので、早期に再建したいと考えておりますし、再建に当たりましては、事故調査委員会の提言がありましたような形で、委員会の提言を尊重した形で考えていきたいと考えております。

 それから、具体的な復旧方法とか復旧時期につきましては、最終的には知事が御判断されることになりますが、局としては、知事の御判断があったときには遅滞なく対応できるように現在準備を進めているところであります。

 それから、2点目の入り江側、アトリウム前の両デッキの対応についてでありますが、事故調査委員会の提言を踏まえまして、できるだけ早期に補強を実施したいと考えております。現在、2橋につきましては、施行者、引渡者の瑕疵(かし)責任を問える瑕疵担保期間中であります。したがいまして、近々施工業者に対しまして、速やかな補強の実施を求めることとしております。私どもの請求に対して速やかに対応していただけるということを期待しておりますが、もし、請求に基づく協議等が必要になり、長引くということも想定しまして、県自らが実施する場合の予算措置も、当初予算要求に上げるということを考慮に入れております。以上であります。

 

◆小川和雄委員 分かりました。私も今回の事故調査委員会の言われるように、連絡デッキにつきましては財政が大変厳しい中でありますけれども、将来の安全性を考えますと、新設をして、皆さんに安心して渡っていただきたいということを付け加えさせていただきます。

 それでは6番の損害賠償についてお伺いいたします。今回の事故に関連いたしまして、損害賠償請求について、訴訟提起を視野に、今後弁護士とも協議して、速やかに取り組むとのことでございますが、請求金額はどうなるのか、あるいはまた復旧経費は全額賠償請求することができるのかどうか。

 それから、先ほどの資料説明でも想定される関係者も多く、また、それぞれのかかわりも複雑と考えられますが、賠償請求の見通しを現時点でどのように考えておられるかお伺いいたします。

 

◎振興課長 まず、損害賠償請求の金額等でございますけれども、先ほど資料で局長から説明させていただきましたけれども、現在のところ、連絡デッキの当初の建設費と事故に伴う復旧対策費の所要額というものを基本に考えているわけでございます。そういたしますと、合計額といたしましては、現在のところ9億円程度というものが試算されているわけでございますけれども、具体的には請求の金額、内容等については弁護士等と協議のうえ、更に検討し、詰めまして、請求していきたいと考えております。

 それから、賠償請求の見通しでございますけれども、今回の事故に関しまして、過失があると考えられる者に対しまして損害賠償を請求し、その履行を早期に求めまして、解決していきたいと基本的には考えているわけでございますけれども、今ほど委員も御指摘のとおり、関係者の数が非常に多いという状況、それからそれぞれの事故原因に対しての主張もそれぞれ異なるということも予想されているところでございますので、現段階で見通しについては申し上げられる段階ではないと考えております。

 

◆小川和雄委員 最後になりますが、知事等の処分について若干聞かせていただきますが、事故調査委員会報告書では、発注者である県について、複雑な発注形態や不適切な発注時期など、幾つか問題点が提起されております。これらの指摘を受けまして、今後知事をはじめ職員の処分をどのように考えておられるのか、局長の中で答弁できましたらお答えをしていただきたいと思います。

 

◎港湾空港局長 職員の処分でありますが、今ほど小川委員の方からお話がありましたように、事故調査委員会報告書で県も対応に問題があったという指摘がされておりますし、また、事故調査班報告書でも一定の責任といいますか、問題点があるというような報告になっております。現在、処分を担当します総務部の方でこれらを精査して、検討しているという段階だと思います。

 それから、知事自身の責任問題につきましては知事自らが御判断されることでありますので、私からお答えはできませんが、議会の答弁の中で、結果として落下事故が起きたことに関しては責任を感じているという旨をお話になっておられます。今後、職員の責任問題が精査されて、その職員の処分が明らかになっていく中で、そういった条件も踏まえて、知事自ら御自身で責任を判断されるのではないかと考えております。

 

○委員長 委員各位に申し上げますが、先ほど質疑時間を一人30分以内ということで皆さんから御協力をお願いしたわけでありますが、その後、他の委員から、また質疑予定者が増えるということが予想されますので、発言を制限するつもりはありませんが、一人20分をめどに質疑をされますよう、御協力をお願いしたいと思います。

 

◆長津光三郎委員 それでは20分をめどに質疑させていただこうと思います。小川委員とは重複しないように極力配慮しながらさせていただく予定でございますので、よろしくお願いしたいと思います。

 まず最初に、設計に関する点でございますけれども、設計委託の直接の契約者は新潟県建築設計協同組合となっているわけでございますけれども、設計者として新潟県建築設計協同組合を選定した経過がどのようになっていたのか。

 また、その際の県の判断はどのようなことに基づいてなされたのか、この点につきまして、まず第1にお伺いしたいと思います。

 

◎副局長 新潟県建築設計協同組合を委託者とした経緯でございますけれども、主要施設でありますコンベンションセンターの設計等が株式会社槇総合計画事務所によって進められている中で、コンベンションセンターと関連の少ないといいますか、つながっている所は株式会社槇総合計画事務所が設計してございますけれども、立体駐車場の連絡デッキを、地元企業を活用するということで、新潟県建築設計協同組合を担当としたと思われます。

 なお、この際に、業務の実施に際しましては、先ほども述べましたように準備も進んでおりますので、株式会社槇総合計画事務所等の協力を念頭に置いて実行可能と判断したものと考えられます。

 

◆長津光三郎委員 次に、設計者として、直接の契約者は新潟県建築設計協同組合、意匠設計は株式会社槇総合計画事務所、構造設計は株式会社構造設計集団SDGと多くの関係者がかかわっておりますけれども、その設計業務におけるそれらの多くの設計関係者の間の関係はどのようになっていたのか、3点についてのお伺いをしたいと思います。

 そのまず1点、設計業務での分担はどのようになっていたのか。

 今1点が関係、分担にかかわる当事者の主張などはどのようになっておりましたか。

 それから今1点、金の流れはどのようになっていたか、この3点につきまして、お伺いいたします。

 

◎副局長 1点目の設計業務の分担でございますけれども、連絡デッキの設計については、在来工法を採用します佐渡汽船側の接続部、ここはまた新潟県建築設計協同組合の方がやっておりますけれども、それ以外のものにつきましては、意匠設計は株式会社槇総合計画事務所、構造設計を株式会社構造設計集団SDG、全体調整、積算、関係官庁との協議を新潟県建築設計協同組合が行うという分担であったと聞いております。

 次に、お互いの主張でございますけれども、株式会社槇総合計画事務所と株式会社構造設計集団SDGは新潟県建築設計協同組合、有限会社福地建築設計事務所の協力会社であったわけでございますけれども、有限会社福地建築設計事務所の主張といたしましては、株式会社槇総合計画事務所が有限会社福地建築設計事務所の相手で、その下にといいますか、その構造設計協力として株式会社構造設計集団SDGがかかわっているという主張をされておりますし、株式会社槇総合計画事務所と株式会社構造設計集団SDGはそれぞれが有限会社福地建築設計事務所の構造設計、あるいは意匠設計の協力として業務を行ったという主張をされてございます。

 実際に業務にかかわる費用についての支払いについては、有限会社福地建築設計事務所から株式会社槇総合計画事務所に支払われており、株式会社槇総合計画事務所から株式会社構造設計集団SDGに支払われた形になってございます。この経過につきましては、株式会社槇総合計画事務所の方によりますと、有限会社福地建築設計事務所からの要請でそのような処理になっているという主張をしてございます。

 

◆長津光三郎委員 次に、その同様のことでもあるのですけれども、設計の契約相手は新潟県建築設計協同組合であり、実質的には株式会社槇総合計画事務所、株式会社構造設計集団SDGであったと。非常に複雑な発注形態であることと、真の設計者でない者が設計を受注していることがその問題につながったと指摘されておりますが、この点につきましても、大変重要なことだと思うのですが、3点についてお尋ねしたいと思います。

 設計にかかわった新潟県建築設計協同組合、株式会社槇総合計画事務所、株式会社構造設計集団SDGの連携状況はどうであったのかがまず第1点。

 次に、業務執行に当たっての県の関係者間の調整や関与はどうだったのか。

 さらに今1点、問題につながったとの指摘についてはどのように考えていらっしゃるか、この3点についてお答え願いたいと思います。

 

◎副局長 連携状況といわれても答えるのは難しいのでございますけれども、先ほど事前に準備を進めていたというお話しをしてございますけれども、実は平成12年9月17日に、先ほど新しい構造を採用するというお話しがございましたけれども、それと同時に作業分担を打ち合わせしておりまして、それぞれ意匠設計については株式会社槇総合計画事務所、構造設計については株式会社構造設計集団SDG、それを有限会社福地建築設計事務所が取りまとめて、その期限を平成12年10月10日を目途にしようということを打ち合わせております。

 実は、発注業務自体は平成12年10月11日に発注されているわけですが、これはその事前の作業がそのように行われていたという事実がございます。その申し合わせに基づいてそれぞれが作業を行って、新潟県建築設計協同組合が取りまとめたものと考えております。

 事業執行に当たっての県の関与でございますけれども、その場にも県の職員がおりましたので、そういった体制で進むということを理解しておりましたので、その流れの中で契約が行われたわけで、そのように業務が進められるだろうと思っていたと思われます。

 また、複雑な発注形態につきまして、いろいろ指摘があるわけでございますけれども、やはりこのようなことが関係者間の連携を欠いた一因になっているのではないかと認識してございます。

 

◆長津光三郎委員 ただいま、その連携状況についてと言われても難しいと言われました。正にそのとおりなのでしょうけれども、今日ずっと事故調査委員会委員長の方からの説明等を聞いている限りでは、正にその連携、連絡、この辺の不備が非常に大きな要因になっているような指摘もございました。あえてここで一言申し上げさせていただきたいと思います。

 次に、発注に関する点でございますけれども、まず設計委託は新潟県建築設計協同組合に対して平成12年10月11日に契約をされております。履行期限は平成13年1月25日となっております。一方、工事発注は、落下工区については第一建設工業株式会社と平成12年11月13日に契約をされております。このことからはじいてみますと、設計が未了の段階で発注がなされているのではないかということが考えられます。このことについてはいかがなのか。

 併せてお尋ねしますけれども、なぜその設計未了段階で工事を発注したのか、また、工期の設定は適切だったのか。

 さらに、少し漏れ承るところによりますと、平成13年3月1日に設計変更がなされていると。しかも金額 7,500万円増額、工期の延伸はわずか4日間であったというようなこともお聞きしている向きもあるのですが、このことの事実も加えて、前の2点につきましてお伺いしたいと思います。

 

◎副局長 設計が未了の段階で発注がされているのではないかという御指摘でございますけれども、平成12年10月11日に設計委託を発注してございますが特記仕様書の中で平成12年度工事分については、平成12年10月20日に設計図と設計図書を提出すると規定をしてございます。それを用いまして発注をしたということでございまして、当時としては設計が未了という認識はなかったのではないかと考えております。

 しかしながら、先ほどの準備期間を前提といたしてはおりますけれども、その際に構造計算書等が十分にまとめられていないということでございますし、また、発注後先ほどのような多くの変更がなされております。こういったことから言えば、十分な設計で発注したとは言えないのではないかと考えてございます。

 次に、なぜその時期に工事を発注したのかということでございますけれども、報告書の中にもございますけれども、やはり供用開始の時期から工事の発注時期を設定したと思われます。また、工期の設定につきましては、標準的な建築工事の工期を用いておりまして、そういった通常のやり方で算出したものと考えてございます。

 また、平成13年3月1日の設計変更につきましては、地中障害の除去等がございまして、それに基づいて工期を延伸しているということもございます。

 また、ジャッキダウンのあとに支保工等を入れて、最終的に工事をしてございますけれども、実はその工事の変更分につきましても、平成13年3月1日のこの変更処理の中でさかのぼって処理をしているという状況がございます。

 

◆長津光三郎委員 次に、工事監理についてお尋ねしたいと思いますが、まず工事の施工監理は県と工事監理受託者との共同管理により行われたとなっておりますけれども、その内容はどのようなものであったのか。

 また、管理の実態はどうであったのか。これも時間の都合で2点ずつ合わさせていただきます。

 今1点は、第1回ジャッキダウンにおけるR26の支保工設置協議について、そのいきさつはどうだったのか。また、県の対応についてはどのように考えているか、この2点をまずお伺いしたいと思います。

 

◎副局長 工事監理につきましてでございますけれども、高度な専門的な技術が必要となる施設につきましては、設計者の設計意図を施工者に正確に伝えるという観点から、設計者と随意契約を結んで工事監理業務を委託しております。したがいまして、新潟県建築設計協同組合は工事監理者になってございます。実際に業務委託をしました工事監理の実施に当たりましては、工事監理区分表という、県と工事監理の受託者、委託者がどうやって業務分担をするのかを示しているものでございますけれども、それに基づいて管理を行ってございます。基本的には工事監理委託業者が主体となって工事監理を行うということで、県の監督員は工事監理委託業者からの報告を受けて設計変更の可否の判断や重要な事項に関する指示、協議、検査等を行っているという状況でございます。

 ここの場につきましては、先ほどR26の支保工設置の経緯についてお聞きがございましたけれども、これにつきましては平成13年2月28日に施工者間でジャッキダウンの検討会というものが行われておりまして、その中で平成14年度工事において変形を抑えて楽になるといいますか、それを円滑に行うために株式会社構造設計集団SDGの方から3案ほど提案があって、その中でR26の支保工設置という話しに方針が固まりまして平成13年3月2日に有限会社福地建築設計事務所の方が県に協議に来たという経緯がございます。その段階で仕事が進んでいるわけですけれども、3月の段階で設計当初の段階から支保工といいますか、いきなり話が来ましたので話がなかったことを指摘をして、仮設、仮に設ける、仮設の手順であれば設計、施工者で検討を行うようにというお話をしてございます。翌日、有限会社福地建築設計事務所が株式会社構造設計集団SDGに確認をして、構造上なくても大丈夫というような確認をして、結局R26の支保工は最初のジャッキダウンにおきましては設置をされていないということになってございます。

 工事監理の状況でございますけれども、このように逐一なかなか県の方に報告が適宜上がっていない面もありまして、そういった面では良好な管理が行われていたとは言い難い状況だと思っております。

 

◆長津光三郎委員 大体今の中で県の関与の在り方も含まれておりましたので、次に進みます。

 県の関与についてでありますけれども、設計、施工に関しまして十分な調整を行わなかったなど、県の対応が不十分だったという指摘もありますけれども、そのことと今回の事故との関係についてはどのように考えていらっしゃるかお答えいただきたいと思います。

 

◎港湾空港局長 お話がありましたように、事故調査委員会の方からは複雑な発注形態、建築物の安全確認に問題があったというような指摘がありました。これらにつきましては、発注者として不適正な対応であって、今後改善していかなければならない課題だと認識しております。

 今ほどの御質問のこの2点にわたる事故調査委員会の指摘が、事故原因とどうかかわったかでありますが、事故原因とされていますのが斜材ロッド定着部の設計耐力の不足、定着部のU字型補強筋の配筋不具合、不適正なジャッキダウンということになりますが、これらとどうかかわったか、これらとの因果関係につきましては希薄なものであって、私どもの認識としては少なくとも直接的な事故とのかかわりはないと認識しております。

 

◆長津光三郎委員 次に、施工に関してでありますけれども、構造設計書がなくてその都度監理者の指示を受けて施工したとありますけれども、これとジャッキダウンの不具合、異常との関連はどうだったのかこの点についてはいかがでございますか。

 

◎副局長 先ほど来お話しておりますけれども、設計が終了していない段階で工事が始まっておりますので、構造計算書がなく施工者は施工を行ってきたということは事実だと思っております。

 ジャッキダウンの不具合に関しましては、第1回のジャッキダウンにつきましては、有限会社福地建築設計事務所によれば施工者は施工計画書を作成せずに口頭で了解をもらってジャッキダウンをしているというようなことを行っております。施工者は基本的には施工計画というのは自分できちんと検討をして作るというものでございまして、そういった施工手順を検討したうえでそういったものを作成し、関係者に周知するというのが施工者自ら行うべきものであると考えております。したがいまして、構造計算書がないという状況がもしあるとしても、やはり構造設計者等とコミュニケーションをとり、それを踏まえて安全な施工計画を作り実施すべきではなかったかと思っております。

 

◆長津光三郎委員 次に、改善点について少しお尋ねしたいと思います。事故調査委員会の報告でいろいろな改善点について一般的な提言がなされているほかに、特に発注者としての県に次の提言がなされております。自ら公的建築物の安全性確認のため複雑、特殊なものを建造する際は十分な技術力を持った設計者や施工者に発注することと、必要に応じて専門家意見等を聴取するなど、その発注の成果の妥当性を確認すべきであるとされております。県としては今後具体的にどのように進めてまいるつもりか、これについてお伺いをいたします。

 

◎港湾空港局長 建築物の安全確認についてでありますが、県の方では建築確認制度の特例として計画通知制度というものが認められております。この趣旨を踏まえますと県は安全確認の確実な履行が求められるといっていいと思います。事故調査委員会の提言にもありますように、入口ベース、発注におきましては工事の難易度に応じて十分な技術力を有する業者に発注する。出口ベースにつきましては、難易度、専門性の高いものについては専門家等の第三者の力を借りてチェックする、そういったいろいろな角度からトータルで考えていく必要があると思っております。この辺につきましては委員会の資料でも御説明しましたように、関係部局の職員を中心に立ち上げます検討組織で今後具体的な改善策をまとめていくということになると思います。

 

◆長津光三郎委員 今1点だけお尋ねをして終わりにしたいと思います。最後に、資料の開示、情報公開についてでございます。知事は調査結果が出た段階で原則公開とこのような答弁を行っております。調査も終了しましたが、調査において関係者から提出を受けた資料や事故調査委員会にかかわる資料などの開示については今後どのように対応していかれるか、このことをお伺いいたしまして終わりにしたいと思いますのでお願いいたします。

 

◎振興課長 先ほども情報公開の関連につきましては、局長が結果について調査過程も含めて公表をするという答弁をさせていただいたわけでございますけれども、調査結果が出ましたので基本的には調査関係の資料については公開をしたいということで今準備を進めているところでございます。

 ただ、情報公開条例の運用。個人情報保護条例の関係がありますので、その辺を十分調整したうえでできるものについて準備が整い次第やりたいと思っております。

 なお、参考でございますけれども、設計、施工関係の契約、発注関係の工事図書でございますけれども、本日落下工区に係るものにつきましては準備ができましたので、本日から行政情報センターで開示を始めたところでございます。

 

◆高橋正委員 一つ確認だけ少しさせていただきたいと思います。と申しますのは我々自由民主党はこの最初から、万代島の朱鷺メッセ全体の、実は党内で委員会を設置しまして、株式会社槇総合計画事務所が発注を受ける状態から疑問を持っておりました。何か事故が起きるのではないかということも指摘した経緯もあるのです。そういうことを言うとなかなか長くなりますから、今日は一つだけ。

 今回のこの連絡デッキ、これらは先ほど来聞いていますと要するに複数の複雑な発注形態だということは、一つは株式会社槇総合計画事務所、株式会社構造設計集団SDG、新潟県建築設計協同組合とこういうことでなったから連絡がうまくいかない。これは一つ理解できるとしまして、入り江側とアトリウム前のデッキは今回は何ともなければ補強もしなくていいというのなら分かるのですけれども、これもやはり補強をしなければだめだと。ここでは約6倍以上の強度がないと危ないと出ているのですが、この入り江側の方は三者でこれを監理したのか、どことどこが設計なり監視をしたのか少しお聞かせください。

 

◎副局長 入り江側とアトリウム前のデッキの件でございますけれども、入り江側のデッキにつきましては、当初の新潟県建築設計協同組合の設計の中に入ってございます。平成13年度に工事をしておりまして、県が直営で工事監理を行っております。その際に株式会社構造設計集団SDGの協力を得てやっていたと聞いております。

 アトリウム前につきましては、株式会社槇総合計画事務所が株式会社構造設計集団SDGを構造担当の設計協力者委託をして設計を実施してございまして、工事の監理に当たりましても同じ形態で工事監理を行っております。

 

◆高橋正委員 そうしますと、複数によって複雑だから連携がうまくいかなかったのが原因の一つだと言われていますけれども、アトリウム前は株式会社槇総合計画事務所と株式会社構造設計集団SDGでこれだけは複数ではないでしょう。それでもやはり補強しなければだめだということなのです。そうしますと、複数だからこういう形になっという理論は成り立たないのではないかと私たちは思うのです。複数ではないでしょう、株式会社槇総合計画事務所と株式会社構造設計集団SDGの二つだけしかかかわっていない。これは単純明快です。そこもやはり補強をしなければだめだと。将来危ないということになると根本的には、当初のこれらを造った問題に何か原因があるのではないかと私たちは素人ですから、つい思うわけでありますけれども、あなた方はいかかですか。これは複数ですか。その辺のことについて一つだけお聞かせください。

 

◎港湾空港局長 確かに事故調査委員会の方から、複雑な発注形態が発注者として若干問題があったという指摘を受けいますが、私どもの認識としましては、複雑な発注形態、例えば工区を三つに分けるとか、あるいは今委員御指摘のように新潟県建築設計協同組合から株式会社槇総合計画事務所、株式会社構造設計集団SDGのところへとこういった複雑な発注形態そのものが問題があったということについては、委員会の資料の中でも少し述べておりますが、その複雑な発注形態そのものがそういった意志疎通を欠いた、チェック機能を妨げたとは認識していないといいますか、そう結論づけるにはもう少し検証が必要であろうと思っております。

 ただ、事故調査委員会の指摘のとおり、確かに連携がうまくいかなかったことは事実だと思っておりますが、発注形態そのものが連携を妨げたという点についてはなお検証が必要という認識であります。

 

◆塚野弘委員 私の方から何点かお聞きをしたいのでありますが、調査班の報告書に、取り分け責任の度合いのようなものが24ページに示されているわけでありますけれども、2時までの事故調査委員会委員長とのやり取りの中でも、結局原因としては斜材ロッド定着部の設計が悪くてそれが原因で落ちたということでありましたし、配筋という話もあったのですが良く分からない、どう判断していいのか私自身はまごついている部分もあるのです。直接の原因の部分でいけばこれを原因として皆さんの方は損害賠償にしても、ここを中心にしていくのか。先ほどからありますけれども、問題点としてはいろいろと出されてますけれども、それは飽くまでも問題点であって、それが直接の原因ではないと皆さんも言っています。私も事故調査委員会委員長に聞いてみれば、それは施工上少し難しかったのではないかという話もされていますから、だからどこまでがどうだというのが非常に分かりにくい中で、皆さんが損害賠償についてこれから検討するという言い方をしているのですけれども、私から見れば県として発注をして成果品をもらったけれども落ちたのだから全部相手方に、原因がどこかというのは、ある意味でやりながらきちんとかかわる部分をすべて損害賠償をして、県の金を出すことなんかないと思っていますが、皆さんはどのようなお考えの中でやられるのか。

 

◎港湾空港局長 一つはどこに責任があったかということで、今のお話しにありましたように私どもは今回の落下事故については基本的には被害者という認識で、一部の新聞報道等には県が加害者というような報道もありましたが、私どもは被害者というような認識でおりますし、委員会資料でも御説明しましたように基本的には当初の請負額をベースに、さらにかかった費用については全額、因果関係が説明がつくものについては復旧費用についても全額請求をしていきたいということをベースに弁護士の方とは話をしておりますし、基本的にはその方向でございます。

 

◆塚野弘委員 私は当然そういうふうにしてもらうと思っています。県財政が今大変厳しいのですからそこはきちんと皆さんの方が判断されるべきだと思っています。

 アトリウム前と入り江側の連絡デッキで、これについて補強が必要だと書いてある中で、皆さんの方は瑕疵担保期間中だから施工者にとお考えのようでありますけれども、どちらかと言えば今日午前中に聞いてみると設計に問題があったという部分で、施工をきちんとやったのにこれからいつ落ちるか分からないという状態の中で補強をやるわけですから、本来私から言えば設計が悪いのだから設計の方に請求するべきではないかという気もするのです。これを見ると施工者と書いてあるのですが、この辺はなぜこういうふうになるのか私は少し分からないので教えてもらいたいのですが。

 

◎港湾空港局長 いわゆる瑕疵担保責任というものは、引渡者に対して請求するものということになっております。したがいまして、施工者が対象になるということになります。したがいまして、一時的には施工者が私どもの要求に対して修補請求を行いますと、修補していただければそれにかかった費用がもし今のお話のとおり設計に原因があるということであれば、今度は施工者が瑕疵担保責任で修補を行った施工業者が設計者に対して再度損失保証の請求をできるというシステムであります。したがいまして、瑕疵担保責任を問う場合には引渡者、施工業者という決まりになっております。

 

◆塚野弘委員 私はこの設計委託、工事監理委託という部分も含めて普通行政側が委託をするということは、すべて任せて成果品をもらう。工事契約もそうですけれども、成果品をもらうということを前提にして委託契約というのはするわけであって、そういう意味では事故調査委員会の結果なり県の事故調査班の結果などを見てみても、私は基本的に、私だけの考えなのかどうか分かりませんが、委託をするということは、それについてある意味できちんと任せると。いろいろな契約の条件なり予算の条件をつけると思うのですが、それによって委託がなされるということになるわけで、皆さんはこの監理委託を含めてそうなのですが、設計委託の段階、工事が施工されている段階の工事監理委託の段階を含めて、委託しているのだから、私が考えれば県の方に責任がないのではないかというような認識ですけれども、この委託に対して今皆さんはどのように認識をしておられるのかお聞かせをいただきたい。

 

◎港湾空港局長 今お話しがありましたように、委託をしているわけですので、塚野委員のおっしゃるとおり基本的には向こうの方で責任を持ってやっていただくというのが大前提であります。ただ、今回指摘されていますのは設計につきましても、先ほど来お話しの出ております計画通知制度というものがありまして、県としても自ら確認をするというのが計画通知制度の趣旨と解釈されておりますので、そういう面では確認行為を怠ったという点で十分な対応ではなかったという面はありますが、委託に出すということは今塚野委員のおっしゃったとおり、基本的には向こうで責任を持ってやっていただくという考え方で出しております。

 

◆塚野弘委員 分かりました。

 この報告書を見せてもらって、一つえっというふうに思ったのですが、床板の型枠変更なり、補強筋が最初の設計になくて、後から補強筋を追加したという部分の中で、その部分についての金銭の精査がされていないというような言い方をされているのです。これが正しいのかどうか私は分かりませんけれども、やはりそういう部分で、この配筋の部分を含めて、設計変更の該当なのだろうというふうに思っておりますけれども、その設計変更をされているのかどうかという部分について、お聞かせをいただきたいのですが。

 

◎副局長 定着部の変遷に伴いまして、鉄筋が入ったということで、その面について金銭的に見られていないという御指摘でございますけれども、定着部の変更につきましては、この中では施工図の変更という手順で処理をされておりまして、施工に当たりまして、これは下請業者が図面を起こして、それを元請が施工承認をして、さらに、工事監理者が承諾するという中で処理されております。そういった変更につきましては、金銭的なものについてはその中では対応しない。金銭的なものにつきましては、設計変更という形で、先ほど申しましたように、最終的に設置をした支保工であるとか補強枠、そういったものについては設計変更で見ておりますけれども、この時の定着部の鉄筋については、施工図の変更という処理をしておりますので、金銭的なものについては見ていないということになってございます

 

◆塚野弘委員 最後にしますけれども、残存デッキの関係の中で、今県としては事故調査委員会の提言を受けて、新しく全部造り直していこうということで検討されるということなのですが、それも含めて損害賠償請求をしていく。損害賠償請求をして、その請求がすべてなれば、金はかからないということになるのだろうというふうに思っていますけれども、損害賠償請求をしたとしても、すぐ終わるかどうかという問題を含めて、私はいろいろな部分があるのだろうなという認識をしています。この残存デッキの復旧の最終方針といいますか、どういうふうにするのかを含めて、どうするのかというのをまだ方針は出されていないと思いますけれども、いつごろまでにその方針を出すと、今考えておられるのか最後にお聞かせをいただきたい。

 

◎港湾空港局長 このことにつきましては、先ほどもちょっと触れましたけれども、私どもは一応早期の対応といいますか、早期復旧ということを念頭におきまして、鋭意作業を進めておりまして、当初予算に計上したいということでお願いしております。いつ着工、あるいはどんな形でという一時的な判断は、当初予算の知事査定の中で、明らかになっていくのではないかというふうに考えております。

 

◆佐藤純委員 まず、参考までにもう一度ちょっとお聞きしたいのですけれども、先ほど副局長がおっしゃっていましたが、株式会社槇総合計画事務所に対する発注額なのですが、3,000万円余というふうなことをおっしゃっていましたが、これは参考までなのですけれども、全体では、本体工事を含めて全体の発注額というのはお幾らになっていますか。

 

◎振興課長 本体の設計関係を含めまして、手元の資料では株式会社槇総合計画事務所に対しましては、約8億3,000万円程度となっております。

 

◆佐藤純委員 これはやはり、株式会社槇総合計画事務所というところが全体にかかわっていることで、橋だけではないわけですから、やはり最初からこれは全体の発注額というのは、やはり県側としても言うべきではないかなというふうに思います。

 そして、私は、これは皆さんもうお話がだいぶまとまっていますけれども、この分厚い報告書、この 131ページの(1)から(4)に、正にこの落下事故に関することがほぼ集約されているのではないかと思います。

 まずは(1)の方で、デザインリビュウ、施工者による再検討、県による再検討などの是正行為が適切に行われずということで、(4)で、構造設計と施工が平行して行われうんぬんということになっていますけれども、再検討などの是正行為は、本来は施工が行われる前にするものだというふうに思うのですけれども、施工されたから是正行為がなかった、しなかった、あるいはできなかったのではないですか。

 

◎副局長 少し質問の趣旨が理解しかねる点があって、間違った答えかもしれませんけれども、デザインリビュウにつきましては、まず一義的には設計会社の中できちんとリビュウといいますか、チェックをして正しいかどうかを確かめると。それと、施工者にとりましては、施工するわけでございますので、その詳細な施工チェックというのは無理でしょうけれども、実際その施工に当たっての必要なチェックというのは、行われるべきだろうと思っております。

 また、県におきましても、先ほど局長が申しておりますけれども、自ら安全を確認するという意味でのチェックというか、そういったものが必要かとは思いますけれども、今回、事故調査委員長が指摘しているような設計のミスにつきましては、あのような事故調査委員会が、何回ものやり取りを経て結論を得ているわけでございまして、その県の職員がそういった構造の計算の中身といいますか、そういったところまでは見抜くというのはかなり難しいのではないかというふうに私は考えております。

 

◆佐藤純委員 わかりました。

 そして(2)なんですけれども、設計者、工事監理者、施工者、県で十分に共有しておらずというところがあります。

 朱鷺メッセ全体の工事の遅れというものは、前から指摘されておりますけれども、連絡デッキなどの細部の工事を急がせた、これは結果的に軽視させることになったのではないでしょうか。これはどうですか。

 

◎副局長 本体工事と平行して進んでいたわけでございまして、規模的にも圧倒的に本体工事が大きいわけでございます。この中でもその工事監理の指導がその都度その都度の指導になっているというお話しもございます。

 そういったことを考えますと、このデッキについて、精力的にという言葉がいいかは別にして、そういった工事監理が本体に比べてどうだったかということは、若干疑問の予知があるかなという気はしております。

 

◆佐藤純委員 同じように連絡デッキ以外にも、デザインリビュウや工事監理者、施工者、そして県が構造、施工手順を共有していない、つまり軽視している細部の工事というものがかなりの部分を占めているのではないか、これは私個人的な心配なのですけれども、先ほど局長もここの部分だけ、あとは大丈夫というような認識を示されておられますが、これは本当に大丈夫なのでしょうか。

 

◎港湾空港局長 先ほどの繰り返しになりますが、今回の設計に関しても、いわゆる斜材ロッドの定着部の部分という限定でありますし、そこでさらに、配筋で不十分な点があった、さらに、ジャッキダウンで進度を早めたということでありますので、私どもの認識としては、また事故調査委員会の方でもそういうふうな認識を持っておられると思います。極めて限定された部分での設計に無理があったという判断で私どもはおりまして、本体に関しては大丈夫だという認識を持っております。

 ただ、先ほども申しましたように、同じ回廊部分といいますか、エスプラナードと、ペデストリアンデッキの部分については、念のためにもう一度チェックしてみようかなということで、その辺について今ちょっと検討は始めているところであります。

 

◆佐藤純委員 これで最後にしますが、設計変更等の情報が錯綜(そう)してしまったと、(4)に書いてあるのですけれども、連絡デッキ整備計画の変更が重なったこと、これを見ますと、毎年毎年結構変わっているんです。変更されているように見えますが、変更の際にこれを配慮して、そしてまた設計者が工事監理者、施工者、県の承認、承諾や十分な情報の確認を取る対策というのは、なぜできなかったのかな。これはちょっと基本的なことなのですけれども、お聞きしたいのです。

 

◎副局長 ここのまとめで御指摘があるのは、その全体の変更というよりも、むしろその工事の過程の中で、先ほどの斜材ロッドの定着部の変更とか、そういったものが錯綜といいますか、PC専門業者が、ある意味独自の判断といいますか、独自のことでやったようなところがございまして、そういったものが共有されていないということでございます。

 これはやはり、きちっとした、先ほども申しましたけれども、元請があってその下で下請がある。そこに工事監理者、設計者がいて、それぞれの指示を受けてやっているわけでございます。

 先ほど申しましたように、下請という言葉はあれですけれども、どうやってものを作るかという、いわゆる施工図を作って、それを施工承認という形で元請が承認をする。それを踏まえて工事監理者が承諾をして、その図が実際の施工者にいって、施工が行われるという手順がきっちり今回行われていなかったということでございます。

 

◆青木太一郎委員 それでは、何点か質問をさせていただきます。

 もう午前中からずっと事故調査委員会委員長に対する質疑と、また今も港湾空港局に対する質疑が幾つかなされておりますが、確認の意味で、重複をできるだけ避けるようにしたいと思っております。

 まず第1点目は、私はこの連絡デッキ、県民や全国から訪れる人が多く利用する施設でございますが、したがってそれだけに、安全をチェックすることがまず何よりも最優先されるべきものだと思います。そこで、安全性について、チェックする義務があるかどうか。

 それから2点目、万代島再開発課は、この工事の安全性をチェックする職員、技術職員は何名配置されたのか。

 また、多くの技術者がおります土木部等になぜ協力委託といいますか、協力要請をされなかったのか、その理由も併せて、まずこの3点をお伺いいたします。

 

◎副局長 連絡通路の安全に関しては、当然チェックする義務があると思います。

 

◎振興課長 平成12年度で申し上げますと、建築関係の職員については、課長や課長補佐を除きますと、施設建設班ということになるわけでございますけれども、それの建築関係については2名、それから土木の関係については1名、機械が1名、電気が1名ということでございますので、都合5名ということになると思います。

 なお、協力要請うんぬんということでございますけれども、執行に当たりまして、それぞれの土木部でございますとか、関係部署から職員の配置を求めまして、このプロジェクトを進めるために万代島再開発課というものを設けて、プロジェクトを執行してきたということでございます。

 

◆青木太一郎委員 土木部への委託とか、そういう要請はされたのですか、それはどうでしょうか。

 

◎振興課長 今ほど申し上げましたように、そもそもプロジェクトの執行に当たりまして、関係部署の方から必要な専門職員の配置を要請いたしまして、組織としては万代島再開発課というプロジェクト体制をとって、進めてきたということでございます。

 

◆青木太一郎委員 今ほど合わせて5名というありますが、これだけの大プロジェクトで5名で十分だったのでしょうか、どうでしょうか。その辺のことは感想としてどうですか。

 

◎振興課長 今5名というふうに申し上げましたけれども、前後の関係がございまして、平成12年度については施工体制を一部港湾事務所の方に振り替えていった部分がございますので、人員としては6名というのが適当だと思いますけれども、その後7名ということで、逐次、必要に応じて増員してきたわけでございます。

 事故調査班の報告書の方で指摘されている問題といたしまして、平成12年度の執行体制といいますか、特に平成12年度についてはいろいろな点で事業が集中したわけでございますけれども、その点でこの6か月といいますか、業務が集中したというふうなことについて調べてみますと、平成12年度の後半がピークになったということで、時間外勤務の状況を見ますと、1,000時間を超えるというような状況もございました。

 それから、十分な検討の下で、業務を適性に行う時間的な余裕が極めて少なかったのではないかというような事故調査委員会の御指摘もあるわけでございますので、そういった点を考えると、非常に業務の集中ということはございますけれども、当時からすれば必要な職員については考えられて配置されたというふうに考えております。

 

◆青木太一郎委員 私は、朝からこの報告書、あるいは事故調査委員長の御答弁、お話を聞いていますと、大変複雑な構造物である。大変特殊性な設計である。したがって、設計ミスもあろうけれども、やはり県と設計者、あるいは施工業者との、何と言いますか、設計、監理全体をコーディネートする最高の責任者、目配り気配りする人が少なかった、連絡ミスが大変多いと。したがって、こういう工事には常にほうれんそうの精神が私は一番大事ではないかと思うのです。常に報告、連絡、相談。これが一番大きく欠如していたのではないかというふうに思うのです。

 したがって、その基本的な連携プレーが、やはり県にもなかったというふうに事故調査委員会委員長は先ほども述べられておりますが、これらについて局長はどんな感想を持っておられますか。

 

◎港湾空港局長 総合的にコーディネートするのが県の役割というふうには思っておりませんが、ただ、今言われたように、いわゆるコミュニケーションの面で、ほうれんそうですか、そういった形で、連絡を密にするための目配りという面では、不十分な点はあったのではないかという認識はあります。

 

◆青木太一郎委員 分かりました。

 次に、第1回目のジャッキダウンの前に、設計者あるいは施工業者は、R26に仮支柱を建てることを提案したというふうに言われておりますが、県はこれを認めなかったというふうに聞いておりますが、このことで第1回のジャッキダウンを中断することになったのではないでしょうか。

 県は、設計者や施工者の提案を一切受け付けなく、門前払いをしたと言われておりますが、なぜ仮支柱を建てることを認めなかったのか、その辺をまず伺いたいと思います。

 

◎副局長 先ほどもこの件については御説明いたしましたけれども、平成13年2月28日に施工者間で協議といいますか、ジャッキダウンの検討会、打ち合わせをやっておりまして、後年度施工がより円滑に行われるように、支保工を建てたいというお話がございました。

 その件につきましては、有限会社福地建築設計事務所が県に協議にまいったわけでございますけれども、県の方といたしましては、いきなり話がきたわけでございます。その時に、そういう設計当初からであれば、当然そういうものは設計当初から要するに必要であれがそういうものは上がってくるはずだし、その仮設の段階であれば設計、施工で検討すべき問題であろうと。また、その時の説明がなくても大丈夫、しかし、あった方がいいですよという感じの説明だったので、そういう受け答えになったと解釈しております。

 それを踏まえて、有限会社福地建築設計事務所の方は設計者の株式会社構造設計集団SDGに確認をして、なくても大丈夫という確認をしてジャッキダウンを行ったというふうに理解しております。

 しかしながら、株式会社構造設計集団SDGにつきましては、相談はあったことは認めておりますが、検討はしてみると言ったけれども、構造上大丈夫とは言っていないということであります。

 

◆青木太一郎委員 少し引っかかるのですが、検討はしてみるけれども、構造上は大丈夫とは言っていない。したがってこれで大丈夫なら事故も起きないわけですが、その辺の崩落事故のメカニズムが私どもよく分からないわけでありますが、そういう連絡不徹底が今日のような大きい事故につながったのではないかというふうに私どもはそう受け止めておりますが、これらについてもう少しその辺の事情を詳しく御説明いただけませんでしょうか。

 

◎副局長 詳しくと言っても、私が当時の現場にいたわけでないのであれですけれども、今お話したのが私どもが、理解している当時の経緯でございます。

 また、1回目のジャッキダウンの施工に関しましては、先ほどからも申しておりますように、具体的な施工計画書が恐らくなかったという状況で、ジャッキダウンというのは、要するに支保工を外す工程でございます。橋脚の間においた構造物を支保工を外して所定の位置に戻すということでございまして、本来であれば構造物がたわみますので、逆に中央部分を持ち上げて、上げ腰と呼んでおりますけれども、そういう状況にして順次外していくという状況でございます。

 それを外し方を、本来ならば中央から外に向かって外していくと力が十分開放されてうまくいくのですけれども、てんまつ書によると、最終的に中央に残るような形で外したということと、もう1点は、斜材ロッドについて、手締めでよい、これも誰が指示したかというのがまた闇の中ではございますけれども、手締めでよいという指示で、その斜材ロッドを十分といいますか、あらかじめ締めていなかったという状況があって、第1回目のジャッキダウンに不具合が生じたという背景がございます。

 

◆青木太一郎委員 そこで、次へ移ります。

 なぜ本来ならば連続して作らなければならないこの連絡デッキを、3工区に分けた、しかも時期をずらして発注できなかったのか、というのは、この今落ちたところが、平成12年11月13日に発注して、翌平成13年3月30日でしょうか、実際検査に合格したのは4月17、18日でしょうか。それから出来上がってから、朱鷺メッセ開業までは約2年の歳月があるわけであります。

 したがって、あとせめて1年半ぐらい待って、この朱鷺メッセの開業に間に合うように構造計算書もなかったということでありますから、構造計算書等を十分に吟味し、また、諸準備を十分されたうえで、同時発注がどうしてできなかったのか。その理由や、何かその他に思惑があったのかどうか。それらがありましたらお聞かせいただきたいと思います。

 

◎副局長 工事の発注について、3区分、年度でいうと2区分に分かれているということでございますけれども、年度が分かれるということに関しましては、当然平成14年度のコンベンションセンター完成に合わせて通路をつなげるということがありますので、その当初からそういうふうな計画でございます。

 また、佐渡汽船工区と県がやった工区がありますけれども、これは事業主体が違うということで分かれたことになっております。

 これにつきましては、準備段階から既に明らかになっておったことでございまして、それについての十分な検討はなされていない可能性はありますけれど、県としては十分計画的にこういう工区の分けをして、準備、発注をしているというふうに認識しております。

 

◆青木太一郎委員 もう少しでやめますからよろしくお願いします。

 次に、現在残っているこの二つの連絡通路、全部残っている通路に多くの支柱、支保工がサポートされているわけでありますが、これは当然危険性があるという判断、そのような判断に基づいて実施されていると思いますが、このサポート全体で、リース料がかかるかと思います。これは県がやっていることだと思いますが、もし県がやっているということであれば、このリース料はいったい1日どのぐらいかかるのか。お分かりでしたらお聞かせをいただきたいと同時に、先般、私どもの質問に対しては安全性についてはチェックして問題はないが、万一に備えて支柱でサポートしているという答弁があったかと思います。

 そこで、やはり私はこの安全性のチェックも、今朝から事故調査委員会委員長はやはり補強をした方がいいということを提言されておるわけでありますが、しかし、今現在サポートしているのは、県が支払っているのですか、やった業者が支払っているのですか、どちらでしょうか。

 

◎振興課長 支保工の設置についてでございますけれども、支保工の設置については、施設管理者としての必要性を認めて設置しているものでございまして、支保工の設置、今委員がおっしゃったリース料といいますか、支保工の設置にかかる経費については、県で支出しております。

 それで、金額については1日当たりはちょっと出ませんけれども、1月末現在で今までの費用でございますけれども、手元の資料によりますと、支保工の設置については約 5,400万円程度かかっております。全体でございます。落下に係る全面のものと、それから入り江側、アトリウム前一切でございます。

 ただ、それにつきましては、先ほど局長が申し上げておりますように、復旧に関する経費ということでございますので、私どもとしましては、当然損害賠償の経費ということで、考えております。

 

◆青木太一郎委員  5,400万円というのは、私らが想像したよりもかなり高い経費、リース料を払っているということは分かったわけでありますが、そこで、今ほどの振興課長の答弁の中に、それは当然賠償請求の中に、あるいは瑕疵担保責任の中で請求をしていくのだということであります。そこで、それらについて、角度を変えて質問をしたいと思います。

 この瑕疵担保責任、先ほどからも何度か話が出ております。2年以内に問題点が見つかれば、過失の有無を問わず補修してもらうことができる。そういうことに契約はなっているのでしょうけれども、この瑕疵担保責任の排除、つまり民法第 636条では、請負者の瑕疵担保責任は、瑕疵が支給材料の性質または発注者もしくは監督員の指図により生じたものである時は、請負者が当該材料又は指図の不適当であることを知りながら、これを通知しなかった時を除き、発生しないとしている。したがって、設計上の誤り、監督員の指示によって過失が生じた場合には、請負人は担保責任を負わないとあります。

 また、県財務規則第78条の別記建設工事請負基準約款にも瑕疵担保について第41条6項に工事目的物の瑕疵が支給材料の性質又は甲若しくは監督員の指図により生じたものであるときは、適用しない。ただし、乙がその材料又は指図の不適当であることを知りながら、これを通知しなかったときは、この限りでないとなっておりますが、この甲は県で、乙は請負者ですが、県当局はこれらの瑕疵担保責任、それから損害賠償等について、契約は確かに2年以内、引渡後2年以内という契約だそうでありますけれども、しかしその中に、瑕疵というのは業者側、施工側が誤りがあったということではじめて私は瑕疵担保責任というものが生じると思いますが、民法第 636条や、あるいは県財務規則第78条によって、こういうふうに述べられておりますが、それについての御見解はどうでしょうか。

 

◎港湾空港局長 おっしゃる通りで、私どもは相手方に対して、相手方が過失があろうがなかろうが問える。ただ一方で、今お話のありましたように、向こう側が私どもに瑕疵があるということを立証すれば、それは責任を逃れるということになります。

 それで、その民法の規定、それから財務規則の規定も含めて、弁護士の方と話を詰めておりまして、これでいけるという判断をいただいて、その方向でいくということであります。

 

◆青木太一郎委員 局長の話ですと、この民法第 636条、それから県財務規則第78条もいける、県が勝訴するという意味だと思います。しかし、この瑕疵を実証するのはどういう段階ですか。

 

◎港湾空港局長 瑕疵を実証するのは、今回の事故調査委員会にお願いしたこれを踏まえてこういう形になっていますということで、相手方の方に請求することになると思います。それで、相手方の方で、分かりましたということになるかどうかというのは、更に我々により精緻(ち)なものを求めてくるということは十分ありますが、基本的にはこれがベースになると思います。

 

○委員長 青木委員に申し上げますが、時間が経過しておりますので、そろそろまとめに入って下さい。

 

◆青木太一郎委員 あと1点で終わります。

 ここは大事なことですから、申し訳ありませんが、これは、瑕疵担保ははっきりと実証できるということだと、私はかなり時間がかかるだろうと思いますし、これらについて、飽くまでも裁判で争おうというのも、これは法の番人ですから、それはまた結構だと思いますけれども、我々県民から見れば、これをいつまでも争っていれば、あそこはいつまでたっても復旧できないという状態になるという危惧(ぐ)の念を抱くものでありますが、何とかこれを円満に話合いをするなり、そういうことはお考えではないのですか。

 

◎港湾空港局長 今の入り江側、アトリウム前のデッキ、これに限らず、今回落下した部分についても、できれば円満に、早期に決着を図れればと思っております。

 それと、現在供用中の2橋につきましては、先ほどもお話しましたが、急がなければならないと思っております。

 したがいまして、請求に対して協議が長引くようなことがありますと、今委員が御心配されているようにそれだけ復旧が遅れるわけなものですから、私どもは協議が長引かないとは思いますが、長引いた場合を想定して、当初予算に、すぐ着手できるような形で予算要求するつもりでおります。

 

◆青木太一郎委員 分かりました。最後まで争おうということも大事かと思いますけれども、しかし、私どもや県民は、あそこをいつまでも放置されていることは大変県へのイメージといたしましても、またせっかく造った朱鷺メッセの施設そのものが有効に活用されないわけでありますから、私はやはりそれは何らか話合いをされて、円満に解決されることを望みます。

 それから、もう一つ、あと一点だけ。この平成13年3月30日付で工事の延滞金、工事延伸について 612万円何がしかを第一建設工業株式会社に支払いなさいという命令を出しております。その同じ日付に、これは私先般もお聞きしたのですが、工事の延伸は認めますという文書と同時に、同じ知事名で出しておられるわけであります。私は工事を延伸してもいいという許可を出していながら、同じ日付で 612万円何がしを支払いなさいというのは、これはちょっと矛盾していると思いますが、この点についての御見解をお聞きして、私は終わりたいと思います。

 

◎振興課長 当時の資料によりますと、工事期間の延長といいますか、延長につきましてはいずれにしましても、鉄骨構造のくたい部に施工不良があることが判明して、手直しが必要だということで、その責任があるのは施工者側ということございまして、その必要性の申し出をえましてその工期を延長したということでございますので、それに伴って、工事の延長に伴う遅延については頂いたということであるというふうに理解しております。

 

◆青木太一郎委員 工事が施工者側の責任だということは、どういう根拠でそれは判断されたのですか。

 

○委員長 青木委員に申し上げますが、今の質疑は、朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故に関連性があるのかどうか、それを精査して質問していただきますよう、お願いいたします。

 説明員に申し上げますが、今回の朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故に関連のないことについては、答弁の必要はありません。

 

◆杉田弘美委員 青木委員の質問の中にありました県の職員の配置状況、朱鷺メッセの工事の構想から完了まで職員は、最後まで一貫しておられた方がおったのかどうか、その辺についてお聞かせいただきたい。

 

◎振興課長 手元に資料がございませんけれども、建設の期間を考えますと、一貫してという方は、恐らくおられなかったのではないかと思っております。

 

◆杉田弘美委員 先ほども申し上げたのですけれども、この工事、景観に配慮するとか、全国にも例のない、この辺はあまり存じていなかったという話もありましたけれども、これを採用するのが一つの大きなポイントではなかったかなと思っておりますけれども、今の連絡デッキを採用したのは、これは飽くまでも県ですね、景観がいいと、すぐれて安全上もいいのだろうということで採用したのだと思いますけれども、この辺の状況について、お聞かせ願いたい。

 

◎副局長 この連絡デッキにつきましては、全体の構想の中で位置づけられておりまして、平成11年度に模型を作って全体を整理したときに、線という形ではありますけれども、概念的にはこのデッキがあります。それを順次、整備の進展に応じて具体化していって、今回のデッキの整備にかかったということでございます。

 

◆杉田弘美委員 この内容を見ますと、今の分割発注等がありましたけれども、この中で一貫されて黒沢建設株式会社が下請で入っておられる。これは、工事上の特異性があってなのか、横との連携のために入っておられたのか、その辺どのようにつかんでおられますか

 

◎副局長 下請業者の選定は、請負者の選択でございまして、経済性とかいろいろなことを比較されて、黒沢建設株式会社を選ばれたというように伺っております。しかしながら、結果的には同じ工区の工事でありますので、全体として黒沢建設株式会社が下請PC工事を担当されているということだと思います。

 

◆杉田弘美委員 事故調査委員会を5名の方を任命されました。これを5名として決められた条件は、なぜ5名なのか。

 それから、事故調査委員会の報告が出ましたけれども、この事故調査委員会は、いつまで存在しているのか、この報告をもって終わりなのかどうか、その辺の期間についてお聞きします。

 

◎副局長 5名がいいのか4名がいいのか6名がいいのか、どういう分野の方が必要かということで、いろいろ考えたわけでございます。一つはコンクリート関係の分野あるいは橋りょうの分野、あるいは建築の分野ということで、特に今回主要なものはコンクリートあるいは橋りょうということで、その部門それぞれにお二人専門の方に入っていただきまして、なおかつ、建築について1名ということで、委員長を丸山先生にお願いして5名という編成で、この編成でこの事故に対する検討状況については十分検討していただけるものと判断して、5名という形に最終的になっております。

 それといつまで事故調査委員会がということでございますけれども、私どもは基本的には、事故調査委員会は調査報告書を出していただいておりますので、その任務はこれをもって終了したのかと思っております。しかしながら、今後、いろいろな異議を申し立てている方、あるいは損害賠償等もございまして、今後ともいろいろな御支援をお願いしなければならないと思っておりまして、その点については、各委員の皆様、委員長をはじめ御協力を約束していただいているところでございます。

 

◆杉田弘美委員 先ほどこちらの朱鷺メッセ連絡デッキ落下事故について、局長から説明をいただきました。塚野委員からすると 100パーセント賠償責任にするのだというお話しですけれども県もこの中においては責任があるという指摘をされていますので、この報告書を最初にもらったとき、まず最初に損害賠償請求等についてというのが第1番目にあることが、この説明を聞いたら 100パーセント請求するからそういうことで出したのかなと思ったのですけれども、やはり一番最初に出すのは、県の責任はこういう提言があってこうでしたよと、そして復旧作業があって、損害賠償、それから今後の改善方策というのが、順序的にいいのではないかと思いますが、何か損害賠償ありきの説明というふうに、この報告で受けたのですけれども、この辺、局長はどういうふうに考えておられますか。

 

◎港湾空港局長 そういう意味では謙虚さが足りなかったかも分かりませんけれども、私どもで考えましたのは、これから事故調査委員会の提言を踏まえて、どういった形で今後仕事を進めていくかということを考えた場合、損害賠償請求にすぐかからなければならないだろう、そして復旧工事もすぐかからなければならないだろうという整理の下でこの順番を決めまして、そういった意味では、御指摘のことからいきますと、もう少し謙虚にというところがあったかも分かりません。

 

◆杉田弘美委員 先ほど事故調査委員会の丸山委員長にもお聞きしたのですけれども、責任が重いのは設計者が重いだろうという部分でお話をされました。その次の施工者とか、工事監理者、発注者という部分については、特に順位づけではないですけれども、重い順序とすれば県はどういうふうに考えますか。

 

◎港湾空港局長 どこにどれだけの責任があるかというのは、ここのいわゆる委員会報告書で主因が設計、それからまたそれを加速させたのが斜材ロッドというか、配筋とジャッキダウンと、これ以上のことは、私どもでは判断がつきかねます。ただ、当然ながらこれが損害賠償請求をしまして、和解の段階に至る、あるいは和解が成就しなくて訴えを提起するというような形になってきますと、その中でそれぞれの過失割合というのがいろいろ問題になってくるとは思いますが、私どもとしてはいわゆる共同不法行為、連帯して賠償を求めますという形でやっておりますので、今、それぞれがどれだけの責任があるのだろうという点まで、踏み込んではまだ考えておりません。

 

◆杉田弘美委員 それ以上、これから2月定例会の委員会でもあれですけれども、私はここの部分で非常に県民もこのことについては注目をしているのです。今日こういう委員会があるというのも注目しています。最終的には県の税金を使ってやった工事ですから、県民への説明責任をどういうふうにしていくのかというのが、これからの課題と、それから処分の問題も含めてやっていかなければいけないということなのですけれども、この報告を受けて、県民に対してどういう説明をされていくのか、理解を求めていく説明をされていくのか、お尋ねいたします。

 

◎港湾空港局長 そういう意味では、基本的には私どもは被害者という認識で当然ながらおりますし、それにかかって損害を受けた分については、基本的には整理がつくものといいますか、因果関係が説明できるものについては全額要求していこうと。そして、その額若しくはそれに近い額を勝ち取るのが、県民の皆様に対しての、これから私どもが進んでいく責務ではないかとは思っております。

 あと今回の事故に関して県民のかたがたにどう御説明するかということになりますと、先ほども質問がありましたように、知事自身の責任は一定の責任はあるといいますか、結果として落下事故が起きたことに対しては責任があると言っておられますし、そういった意味で、関係者を含めてこういう形のものがあって、こういう点については、こういうような処分というものも、一つの説明の仕方かなと思っておりますが、基本部分としては、やはり私どもの責務というのは、損害を受けた額については、できるだけ要求どおり勝ち取るというのが、これから取り組んでいくべき課題だと思っております。

 

◆杉田弘美委員 やはり一番の被害者は納税者である県民だと思っております。そういう意味で、是非、この部分が県民の皆さんにも、そしてお互いに発注者、施工者含めて理解が得られ、県民に理解の得られる対応をお願いしていきたい。併せて、これらの事故が発生したことによって、これに同類する関連の、橋りょうの部分とかいろいろな分野で、所管は違うかもしれませんけれども、今後の対応をいろいろ設計書あたりと精査することも必要ではないかと考えておりますけれども、その辺、意見として話をしておきますけれども、局長の最後の話を聞いて終わりたいと思います。

 

◎港湾空港局長 今、御指摘のありました今後の改善方法として、建築物の安全確認も含めまして資料で御説明しましたが、当面、それも発注形態も含めましていろいろと、今回の事故を念頭に置いて改善すべき点は改善して、事故を契機に大きく生まれ変わると言いますか、改善できるような形での取組が最も大事だと思っておりますので、早速にでも検討組織を立ち上げて改善に向けて取り組んでいきたいと思っております。

 

○委員長 ほかに御発言はありませんか。

 委員の皆さんから御発言がないようでありますので、ここで、申出のありました、佐藤浩雄議員の発言を許可いたしたいと思います。

 なお、この際、佐藤浩雄議員に申し上げます。発言は、おおむね十分をめどにお願いしたいと思います。

 

◆佐藤浩雄議員 発言をお許しいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、事故調査委員会委員長にもお伺いしたのですが、まず第1点目に、構造計算書の存在についてです。これについては、委員会報告書の表3・2・3で、構造計算書4種類が有ることになっていますが、この存在については私も一般質問で再三にわたって有るか無いか、そのことを何回も聞いてきたのですが、あなたは答えませんでした。したがって、今日は答えていただきたいと思うのです。まず第一番目の、いわゆる大事な委託構造計算書と言われているものが、いつどのような形で納入されているのか、そして現在も有るのか、はっきりお伺いしたいと思います。

 

◎副局長 構造計算書につきましては、事故調査委員会の報告書に記されておりますけれども、県に提出された報告書につきましては、当初計算書とこの中で呼んでおりますけれども、その部分についての構造計算書がございます。それとあとは2回目のジャッキダウンの前に提出された補足計算書、また、事故後に提出されております完成計算書の3種類の構造計算書がございます。

 1点目の当初委託の成果物としての委託計算書でございますけれども、この報告書の中で有限会社福地建築設計事務所が提出したと整理されてございますけれども、当初の成果物としてその構造計算書が県に提出されて、成果物の検収といいますか、それを数回経て、それが差し替えられて最終的にB、当初計算書という形で、県に残っているという状況でございます。2回目のジャッキダウンの前の構造計算書につきましては、大きく構造の形が変わったわけでございます。平成12年度、当初なかった支保工あるいは補強枠を付けてございますので、それに基づく計算をした構造計算書として受領してございます。それと事故後に設計者の方から提出された計算書でございます。

 

◆佐藤浩雄議員 何でAが残っていないのですか。どう考えても、不思議じゃありませんか。Bの当初計算書、差し替えられた、そういうのであれば、本来私が何回も一般質問で聞いた時に、有るか無いかも含めてというのであれば、その時からはっきりと、何も事故の原因に関係あるわけではないのですから、事故調査委員会に影響があるわけではないのですから、当然そういうことが、今のようなことが例えば答弁として最初からあったなら分かるのです。全然なくて、ここへきて取り替えられた、取り替えたなら、前のAは有るのではないですか。取り替えたとしても。それでなければ、どこがどう変わったかも分からないじゃないですか。当然有って当たり前なのに、いわゆる成果品として納入された、お金を払う最初のものなんでしょう。当たり前のことではないのですか。なんでこういうずさんなことをやっているのですか。事実はどうだったのですか。

 

◎副局長 当初、いわゆる委託計算書と書いたものを頂きまして、差し替えという言葉がよくなかったかもしれませんけれども、検収員が検収をして、橋脚の検討がないとかいろいろ指摘をしまして、そういった部分が後ほど加えられて、最終形になっていると。当初もらったものは、順次指摘事項等に対応するという形で変えられて、そういった成果物として残っているということで、委員御指摘のように、当初のものをきちんと残すべきだというのはそうだと思いますけれども、その当時の担当としては、順次検収をしていく中で、より成果物にあったといいますか、そういったものについて補充をするといいますか、それを加えるということで、構造計算書としたと思っております。

 

◆佐藤浩雄議員 おかしいんじゃないですか。あなた方は、先ほどから何回も答弁していますけれども、安全を確認する義務があるというのでしょう。特定行政庁に計画通知しなければならないわけでしょう。それでは安全確認は何に基づいてやったのですか。次の当初計算書は平成13年3月16日です。何もノーチェックでやったのですか。そういうことを、今何かいろいろ答弁の中にまずいところが幾つかあったとか何とかと言うのであれば、そういうものが残っていなければだめでしょう。残らないで、何を安全確認をしたのですか。いいですか、何回も言いますけれども、最大の被害者は県民なんです。そういうことからすれば、当然そのことが残っていなければならない、検討の痕(こん)跡は少なくとも残っていなければならない。何もしていないと同じじゃないですかそれでは。その点はどうなのですか。

 

◎副局長 何回か検収をして、その中身をより充実させたといいますか、成果物としてよりふさわしいものにしようということで、当初のものを順次といいますか、差し替えをして作っているということで、確かに経緯について残っていないというのは問題がございますけれども、当初の担当者の対応としては、そういう気持ちでやったのだろうと思っております。

 

◆佐藤浩雄議員 入れ替え、差し替えしてやっていけるんですか、そういうことが。平成12年10月20日か22日に計画通知をしているんでしょう、それを入れ替え差し替えして、当初計算書を平成13年3月16日までやってきたのですかそれで。どうなるんですか一体その建築物の安全性については。そんなことをやっていて。たとえ設計が悪くても、最後の砦(とりで)になるのは皆さん方でしょう。行政で安全チェックをして、これで大丈夫かどうかということなんでしょう。あなた方がいるから安全に建築物が建てられると思っている、行政がチェックしてくれるから、たとえ設計がミスをやっても、それを見つけてくれるからでしょう。それが全然チェックされないで進んでいけば、もうノーチェックでいけば、結局つぶれてしまうのではないですか今のように。そのところが全然証拠として残っていないのに、何でそういうことが言えるのですか。当時の人がどうしたか分からないということですか。では、当時の人に出てもらうしかないのではないですかどうやったのか。どうなっているのですか。

 

◎副局長 当時の人の言っていることを私が代弁しているわけでございまして、当初成果物を検収の過程で手直ししていったということだと思います。

 

◆佐藤浩雄議員 分かりませんけれども、要するに全然安全性はノーチェックだったということなのですね、そういうことですね。

 

◎副局長 だから、中を検討して、一部検討が足りない橋脚であるとか、そういったものは指摘をしてございます。そして、斜材ロッドの定着部の耐力が不足しているという指摘がございますけれども、この部分については設計のミスではあるのですけれども、構造計算手法そのものが、このチェックで見いだせるかというと、それはかなり難しい部分があると思います。

 確かにおっしゃるとおり、構造計算書のチェックというのは、入力条件であるとか、結果として得られた条件、あるいは出すまでの考え方、そういったものをチェックするということでございまして、今回その斜材ロッド定着部という重要な部分についての記述がない構造計算書を受け取っているわけでございますけれども、その点については確かに不適切な対応だったと思いますけれども、当時の担当者としては、自分の考えられる検収をしたのではないかと、私は思っております。

 

◆佐藤浩雄議員 時間がなくなるので終わりますが、それは定着部だったかもしれませんけれども、ほかのマスコミでも言われているように、斜材ロッドから、強度から、上弦材の断面積から、おかしなことは一杯あるじゃないですか、ここばかりではないです。だから、私が言っているのは、全体として、安全チェックをする最後の砦である行政としての計画通知をする、あるいは建築確認をする、そういうシステムというか、それを自ら崩したんでしょう。簡単に言えばでたらめなことをやって、具体的にそういうきちんとした最終チェックができないままに、これを見る限りでは平成13年3月16日まで言うならばずるずるといったのではないですか。そして、実際業者に渡ったのは竣功検査の直前に、第1回目ジャッキダウンも終わり、竣功検査の直前にようやくBとCというのが出てきているわけでしょう。事実上、あなた方がノーチェックのままいったと言われてもしょうがないのではないですか。私はそういうことを言うのです、そこのところをはっきりさせてほしいと思うのです。最大の被害者は県民なんです。皆さんは被害者だ被害者だと局長は言うけれども、加害者になってしまうじゃないですかそんなことをしたら。そこをはっきりしてくださいよ。

 

◎港湾空港局長 確かに今お話がありましたように、斜材ロッドの定着部を見逃したとか、そういう意味では、安全確認としては十分でない対応だったと、そういうことで、それは私ども認めざるを得ないと思っております。したがいまして、冒頭の委員会資料の中でもどう考えるか、県の認識として記載してございますが、計画通知制度の趣旨からすれば、当然それは県が、今おっしゃったように自ら確認しなければならない、そういう意味では不十分な対応であったということは十分に認識して、これからそうならないようなシステム、体制作りをしていかなければならないということで、今後の課題としても認識しております。

 

○委員長 佐藤浩雄議員は退席してください。

 次に、宮越議員の発言を許可いたします。

 宮越議員にも申し上げますが、発言は十分をめどにお願いいたします。

 

◆宮越馨議員 貴重な時間の中で、発言の機会をお与えいただきましてありがとうございます。

 私は少し視点を変えて質問をさせていただきたいと思いますが、今回の事故、あるいは事件というものに対して、県民の側に立って素直にどう考えて、感じていらっしゃるかという視点から二、三点質問させていただきます。

 まず、私もこの日を迎えるに当たって、何人かの県民のかたがたの意見を聞いてまいりました。この事件が起きたのは、そもそも朱鷺メッセを作ったというところに発しているという、そういう認識を県民は持っていらっしゃる部分があると思います。そこで今、事故調査委員会の丸山委員長からのお話も承って総合的に考えますと、これはこの基本コンセプトがよかったということでやったとは思いますが、その過程で例えば御発言の中にありました建物をエレガントに作り上げるとか、あるいは先進的に造っていくと、あるいは日本海側の顔の都市であるにふさわしいものとして、かなり無理をしたような感じがあったがゆえに、このような落下事故が発生したのではないかという感じを受けております。

 そういった視点で、これはお尋ねでありますが、この基本コンセプトを、最終的にどなたがこれはいいなと言って判断されたかというところを、最初にお尋ねいたします。

 

◎副局長 万代島は古くから経緯がございますけれども、万代島の再開発の推進協議会あるいは万代島再開発会議というのがございますが、そういった中で、万代島の再開発事業のマスタープランというのを平成8年に策定してございますけれども、そこのところでコンセプトがまとまったのではないかと思っております。

 

◆宮越馨議員 時間もありませんから、私の方から体験的なことを踏まえて申し上げますが、これほど注目されて、力を入れて造る場合は、私の経験則においては自分が最終的にこれはいいという判断をして決定するケースが多いと思っていますので、それだけ申し上げて次に進みます。

 この復旧工事をしようという説明が先ほどございました。この復旧工事は確かに事故調査委員会の提言にもありますから、こういったことで考えをまとめるのは分かります。しかし、現下の財政事情、あるいは県民の感情等を考えましたら、なぜ早くそんなにバタバタ復旧しようとするのですかと、こういう考えをお持ちであると思うのです。なぜ急ぐような、事故が発生してから1年もたたないうちから、今度の平成16年度予算に計上して復旧しようという、しかも何億円もする膨大な県費を使っての話を、今提案されようとしたことを申されましたが、その辺の意味が解せないということで御質問申し上げます。

 

◎港湾空港局長 今、宮越議員がお話になりましたが、確かに財政事情とかをいろいろ考えますと、先ほど私の答弁でも申し上げましたが、選択肢として作らないという選択肢もあることは十分認識をしております。ただ、私どもの局として考えておりますのは、朱鷺メッセも順調にスタートしました。落下事故はありましたが、オープン後順調に人が入っていただいておりますし、予定からいきますと、予想以上の収支で終わると、企画管理会社の方からそんなふうに聞いておりますし、来年に向けても是非とも先ほど申しましたが、2階を動線として考えておりますので、やはり、朱鷺メッセ全体のにぎわいということを考えますと、早期の復旧が望ましいのではないかというふうに私どもは考えております。

 確かに県民の声もいろいろありまして、財政事情を考えれば、しばらくいいのではないかという声もありますが、また別の声としては早期の復旧という声も多く聞いております。そういう面から、私どもとしては早期に復旧したいというふうに考えている次第であります。

 

◆宮越馨議員 仮に早期の復旧ということになりますと、落下する前、あのデッキをたくさんのかたがたが利用されたという確証とか実績というか、そういうものがないと、なかなかこれは県民に対する説明責任が果たせないと思いますが、そのような実態はどうだったのでしょうか。特に入り江側とアトリウム前のあの2本の橋、少なくとも私は何回もあの橋を通りましたけれども、一人として渡っている姿を見たことがありません。だからもともとどうかという話は、後でまた質問しますが、どうでしょうか、使われ具合は。

 

◎港湾空港局長 いわゆる佐渡汽船からコンベンションセンターまでの連絡デッキの通行量というお尋ねかと思いますが、残念ながら佐渡汽船ターミナルの来場者とか、あるいは朱鷺メッセへの来場者という数は、月単位あるいは日単位で持っておりますが、そのうち何人が連絡デッキを利用したかという資料は、残念ながら持ち合わせておりません。

 

◆宮越馨議員 分かりました。実はここが大事なのです。どれだけの費用対効果で、県民税を使って造ったものが、たくさん利用されていたものがアクシデントに見舞われたから、また早急に復旧しなければならないという説明でないと、県民は納得しないと思います。今、データがないということは、これはある意味で私は緊張感が足りないなという感じがいたしますが、御感想をお聞きしたい。

 

◎港湾空港局長 そういう意味では、落下すると思っていなかったものですから、そういうことがありますが、ただ、推計としましてはいわゆる駐車場利用者があります。連絡デッキを使って佐渡汽船なりコンベンションセンターの方へ通行される、そういう契約者もおりますし、そういうことである程度類推的なものは何とかできるかも分かりませんが、御指摘のとおり正確な数字といいますか、そういったものはなかなか難しいかなと考えております。

 確かにあそこの通行量というのは、毎日というわけにはいきませんが、類推できる程度のカウントはしておくべきかなと、今後も含めてそういう考えはあります。

 

◆宮越馨議員 それではきちんとお願いをしておきたいのですが、私の言っていることは決して間違っていないと思います。大勢のかたがたが利用するという見通しが今後立つならば、それはあり得るかもしれませんが、私は今の県財政、新聞報道を見ると、とてもじゃありませんけれども、こういうところに手が回らないと、これはいったんは撤去したままで、その後の状態を見て必要ならば造るということは、これは手順としてはあり得る話だと思います。

 ですから、今回はそんなに無理をしてやるよりも、もっと事故原因の調査を徹底すべきだと思いますし、また、今日御報告いただいたのは技術的な調査結果でした。今、システムとかここに至る背景的なことについては自分の所管ではないということで、我々に疑問を投げかけたという感じがいたします。ですから総合的な、総点検という形の中では、この事故に至った背景の検証はまだ十分なされていないと思います。まだ道半ばだという、こういう段階で予算を苦しいながらも組んで計上する必要はないと、こう思いますが、いかがでしょうか。

 

◎港湾空港局長 先ほどの繰り返しになりますが、私どもとしてはいわゆる朱鷺メッセ、万代島再開発のあの地区の振興というのを念頭に考えておりますし、実際私どもで造った所でもあります。そして、繰り返しになりますが、2階を動線として考えると、やはり今御指摘のありましたように、一体どれぐらい交通量があるかというのでは、なかなかお示しすることはできませんが、2階が動線として利用されているということを踏まえますと、また朱鷺メッセの振興を考えますと、私どもとしては早期に復旧をしたいと思っておりますし、宮越議員御指摘のように、何とか説明責任、なぜ必要かということは我々も今からどんな推計方法があるか、あるはどんな形で建設が必要かというものは、私ども確かに心して造っていかなければならないと思っております。

 

◆宮越馨議員 総合してもう1点申し上げたいと申しましたが、先ほどの入り江側とアトリウム前のデッキもそうでありますが、全体としては、これは必要なかったのではないかというところを真剣に考えていってほしいと思います。

 御説明のリース料が四、五箇月で 5,400万円、これを年間換算すると1億数千万円かかる。いちいち職員が行って、職員の人件費もかかりますから、それらを考えますと、相当なコストが今既にかかっている。そんなものをまた後生大事に造っていくか、あるいは復旧していくかという、このことについては根本的に、あれは必要だったかというところを徹底して議論して、予算の査定にどうするかということも含めて対応してほしいと思いますが、御所見をお願いします。

 

◎港湾空港局長 分かりました。おっしゃられる、いわゆる予算の執行といいますか、物事には説明責任がいるという点につきましては、十分に認識してこれから対応していきたいと思っています。

 

○委員長 宮越議員は、退席してください。

 以上で本日の調査を終了いたします。

 委員長報告については、委員長に御一任願います。

 これにて、本日の建設公安委員会を閉会いたします。

 

△閉会午後4時30分   (以下余白)

 

 

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