資料3
(国土交通省作成文書) 2002.7.26.入手
建築基準法の性能規定化に対する批判的見解の要点
性能規定化により旧法第 38条(特殊な材料・構法の認定)が廃止されたため、
(1)材料、構造を総合的に評価し、(2)解析だけでなく実験も評価し、(3)専門家の総合的判断により、新技術を認めることができない。
⇒ 国民から見て透明性を高める必要があるため、基準の明確化は必要(総合的判断は不明確)。
実験の評価は可能。
2. 新材料を認定するルートと、建築物全体をコンピューターを使って高度な構造解析を行う
認定ルートは存在するが、その中間の部材・工法レベルの認定ルートが存在しない。
⇒ 基準を材料と建築物の構造計算とに分ける考え方は合理的。
ただし、部材・工法レベルの認定についても、今後、申請者の希望に応じて建築確認の際に
審査を省略するための認定制度の整備を予定。
3. 性能規定化により基準が厳格化したため、これに適合しない新技術が排除されている。
⇒ 高度な構造解析の認定は、どのような新技術でも適用可能。
一般化した技術は、今後とも、告示等により整備・充実を図る。
4. 計算方法については、設計者の裁量に委ねるべきである。さらに、設計者が責任を持つ場合には、
基準の適用を除外すべきである。
⇒ 設計者の裁量に委ねるのでは、国民から見て透明性が確保されない。
5. 新技術を次々と一般基準化(政令・告示)することは、技術開発への意欲を減退させる。
⇒ 知的所有権の保護は特許制度等によって別途対応すべき問題。
6. 性能規定化のスケジュールは性急であり、もっと時間をかけ、研究者・実務者の意見を
聞くべきである。
⇒ 規制緩和に対する内外の強い要請等を踏まえ、できる限り早期に基準の見直しを進めたもの。
各界の意見を聞きながら性能規定の検討を進める委員会を設置したところであり、今後は、
この委員会の活用等により基準の整備・充実に取り組む。
(以上)
2002年5月8日の衆議院・国土交通委員会において、建築基準法の旧第38条の廃止に関する国会質疑が 行われました。国土交通省は、主にその質疑に基づいて、批判的見解の要点とそれに対する反論を上記のような文書にまとめています。