資料3

第14号 平成15年5月28日(水曜日)

     (建築法制関係 抜粋、詳細は衆議院文部科学委員会議事録参照)



出席委員
   委員長 古屋 圭司君
   理事  斉藤 鉄夫君 
    …………………………………
   文部科学大臣        遠山 敦子君
   文部科学副大臣      渡海紀三朗君
   政府参考人
   (人事官)                 佐藤 壮郎君
   (文部科学省研究振興局長)     石川  明君
   (国土交通省大臣官房技術審議官) 門松  武君
   (国土交通省大臣官房審議官)    小神 正志君
    ―――――――――――――

○古屋委員長   質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤鉄夫君。

○斉藤(鉄)委員 委員 公明党の斉藤鉄夫です。
 きょうは、科学技術案件を中心にした一般質疑ということで、三十分時間をいただきました。科学技術問題について、早速質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、科学技術人材の処遇という問題でございます。
 毎日新聞でも「理系白書」という随分大部の調査が連載をされておりましたし、本にもなっておりました。その中にも提起された問題意識で、日本の科学技術創造立国に向けての最大の障害は、科学技術人材の処遇が、他の国に比べて日本の場合、冷遇をされている、そこに問題があるのではないか、そこがこれからの科学技術創造立国の大きな壁になるのではないかという問題提起もされたところでございます。
 そこで、いろいろ調べてみますと、まず人事院が平成十三年度に行いました職種別民間給与実態調査、それからアメリカのビューロー・オブ・ザ・センサス、統計局が行った同じような職種別民間給与実態調査、これを比較しました。
 それを結論から申し上げますと、米国に比べ日本では、例外的にパイロットとお医者さんが平均給与に比べて極めて高い賃金が支払われている、しかし全般的には、この二つの職種を除き日本における専門的技能や専門的知識を必要とする職種の賃金は、平均賃金に比べて特に高い賃金が支払われているわけではない。それに対し米国では、自然科学系研究者を含めいわゆる技術系の職種では、平均賃金と比較してその職能に応じた高い賃金が支払われている、このように言われております。
 数字でいいますと、米国では、一般事務職に比して、技術職の平均賃金は約一・六五倍、研究職では約二・一三倍だそうですけれども、日本においては、技術職で約一・一一倍、研究者でもわずか一・一八倍、こういうことで、このような現状が優秀な人材を科学技術系の職種に引きつけることを妨げている要因となっている、このようにも言われているわけでございます。
 確かに、お医者さんは特に待遇がいいということで、理科系の人は、向いていない人もとにかく成績がよければ医学部を受けるというような現象もあるわけでございまして、この点に関して抜本的に改革をしていかなくてはいけない。国に何ができるか、民間の問題ではないかということもございますが、この点について、副大臣、どのようにお考えでしょうか。
 
○渡海副大臣 朝一番からなかなか難しい質問だなと正直思っております。
 といいますのは、やはり賃金の体系というのは、ある意味でその国の社会それから歴史等が醸成をしてきたという要素が非常に強うございます。
 例えば、斉藤委員は今二つの例をお挙げになったわけでありますが、斉藤委員も実は建設会社へ御勤務でございました。私も、今はやっておりませんが、一応資格としては一級建築士を持っておりますが、これも、アメリカと比べると、一般給与に比べての差という点から考えれば、実はアメリカは非常に優遇をされているとよく言われている分野でございます。社会がその職種をどう評価するかということにも非常に大きく影響している。
 ただ、研究開発というものを重要視し、科学技術創造立国を目指す我が国としては、きっちりと政策的な問題としてこの問題を真っ正面からとらえて、そして処遇の改善といいますか研究現場の環境改善、これにやはり力を尽くしていかなければいけないのではないか。政府としても、また文部科学省としても、その役割を担っていると思っております。
 そのためには、やはり研究者が自分が仕事をしていてやりがいがある環境というものをつくらなきゃいけない。これは、今スタートしたばかりといいますか、徐々に定着しつつあるわけでございますが、研究者それぞれがやっている研究というものがしっかりと評価をされる、そして社会においてそのことがしっかりと評価をされるような体制というものをつくらなきゃいけないと思いますし、従来よく言われたように、非常に窮屈で自由度がなかったんだと言われるような研究環境を改善していく。
 また、日本において科学技術というものが将来この国の経済社会をしっかりとつくっていくためには大変重要なんだということを、政府としても国民の中に広く広報を充実していく。これは、大臣も従来から広報というものが非常に大事だということをおっしゃっておるわけでありますが、そういった努力を通じて、社会から高い評価を得られるという環境をつくっていく。
 また、資金面では、競争的資金の充実などによって、よりやる気のある人、またよりいいアイデアを持っていた人が十分な研究費をとれるような、そういった仕組みをつくっていくという努力をしていくことによって、全体の評価を上げていくことが大切だというふうに考えておるところでございます。

○斉藤(鉄)委員 民間の話であるわけですけれども、では、ちょっと振り返って足元を見て、霞が関を見てみたいと思うんです。
 データが全部そろわなかったんですが、霞が関の例えば上級職で採られる人、採用時だけは人事院に調べてもらいました。1種採用者のうち技術系職員の比率、平成十五年四月一日、技術系が四八・五%、約半分が技術系です。それで、途中、課長、局長ぐらいでどの程度の技術系の人がなっているかというのを調べようとしたんですが、それがなかなかデータがなくて、文部科学省だけ、本省の課長級以上の者について技系の者の占める割合というのがございまして、平成十四年四月一日で二九・七%、平成十五年四月一日で三〇・六%。もっとぐんと上がりまして事務次官までいきますと、事務次官で技術系は十一官庁のうち一人だけ、パーセントにすると九・一%。ゼロのときもありますので、そのときは〇%に当然なるわけです。
 採用時に比べてだんだん職階が上がるにつれて比率が少なくなっていって、最後はゼロになる、そういう年もあるということで、特に技術系出身だから優遇しろということはないんですけれども、人事上の何らかの問題がそこにあるのではないか。やはり、同じような能力を持って1種に受かって、しかし統計的に、評価をされ、職階が上がっていくのを見ると、技術系がこの数字だけ見ると冷遇をされている。何らかの問題があるのではないか。そこに日本社会の、先ほど副大臣がおっしゃった、技術系の人間を大事にしないというその典型を霞が関がやっているのではないか、このような批判もあるわけでございます。
 きょうは人事院から来ていただいていますので、この点について、いかがでしょうか。

○佐藤政府参考人 お答え申し上げます。
 今先生御指摘のように、技術系の専門教育を受けて一般行政職の俸給表を適用されている国家公務員、いわゆる技官でございますけれども、採用時には事務官とほぼ同数、あるいは年度によってはそれを上回る人数が採用されておりますけれども、上に行くに従って、高いポストでは事務官の割合がふえて、技官の場合は非常に少ない割合という現状でございます。  これに対して私どもも問題意識を持っておりまして、平成十二年度の給与の勧告時の報告におきまして、各府省は昇進管理あるいは人事管理において、技官、事務官の区別なく、能力本位で人事管理をやっていただきたいというふうに申し上げました。ただ、一義的には、この問題は、各府省の人事管理あるいは昇進管理の問題が一つと、それからもう一つは、各府省の組織の中で、科学技術の正確な知識あるいは経験というのが必要とされる業務をどう位置づけるかということにかかわってくるわけでございまして、これにつきましてはなかなか、人事院として具体的に意見を申し上げにくい世界でございます。
 そうではございますけれども、人事院といたしましても、今後の政策立案あるいは行政判断の中に科学技術の知識や経験というのが非常に必要になってくると思いますので、各省庁から技官の処遇について御相談があるような場合、あるいは技官のポストについてより高い格付をしてもらいたいというような要請がある場合には、ぜひ積極的に対応してまいりたいというふうに思います。

○斉藤(鉄)委員 この点、また考慮していただいて頑張っていただきたいと思います。我々理科系の人間が社会に出てよく言われるのは、技術系の人は大学時代遊んでいないから幅が狭い、こういうふうに言われるわけですけれども、非常に矛盾した言葉だと思うんですね。でも、大学時代に勉強しないで遊んだことが社会にとって有用な社会というのは一体どういう社会なんだろうという思いもありますし、ぜひこの点は議論を進めていきたいと思います。
 次の問題に入ります。
 超鉄鋼材料、超鉄鋼でございます。文部科学省の方で、旧科技庁時代から、強度は二倍、寿命も二倍という鉄を開発する、そうすれば、材料の世界における革命であって、世の中の様相を一変することができる、こういう超鉄鋼、平成九年から始まっておりまして、もうそろそろ七、八年たとうとしております。この研究の現状、それから今後の見通し、端的にお願いをいたします。

○石川政府参考人 超鉄鋼材料研究についてのお尋ねでございます。
 ただいま先生からお話がございましたように、この研究につきましては、私どもの方の所管の独立行政法人物質・材料研究機構におきまして、これは平成九年から十三年度にかけまして、これも先生からお話がございましたけれども、第一期の研究におきましては、強度が二倍それから寿命も二倍というようなそれぞれの目標に向けまして研究を行いまして、試験片等の素材レベルではその実現が可能であるというようなことがほぼ実証できているというような状況でございます。
 そして、平成十四年度からは五年計画で第二期の研究に取りかかっておりまして、第一期の研究成果をもとに、強度が二倍でかつ寿命も二倍だというような両方の特性を有する材料を開発するという目標のもとに、実用化のための大型化等、こういったことも目標にしまして、さらなる研究を進めているところでございます。先生から今お話ございましたように、こういったものが実現いたしますと、高層建築物ほか、建築用の構造材料等、飛躍的な成果といいますか、効果が得られる、こう思っておりまして、私どもとしても、引き続き本研究の推進には努めてまいりたい、こんなふうに思っております。(斉藤(鉄)委員「現状を」と呼ぶ)
 現状といいますと、今、そういった意味では第二期の計画に一生懸命取り組んでおりまして、まだ強度と寿命がそれぞれ二倍というふうなところまでの見通しが必ずしもついているわけではございませんけれども、一生懸命やっているところでございます。

○斉藤(鉄)委員 研究が平成九年から始まりましたので、もうそろそろおぼろげな成果が見えてくるという段階に来てもいいのではないか、非常に難しいことはわかりますけれども、そのように思います。
 そこで、これは文部科学省の中の研究所で研究が進んでいるんですが、国土交通省もぜひ絡んでもらいたい、このように思うわけです。
 こういう材料が開発されますと、土木構造物も一変すると思います。また、建築、超高層ビルも一変すると思いますし、地球環境の上でも、材料が半分で済むわけですから大変大きな影響がある。こういうものを国家プロジェクト、国土交通省さんはそういう国家プロジェクトをたくさん公共工事で持っていらっしゃいますから、そういうものに使おう、こういうふうな目標を掲げて、その目標に向かって文部科学省の研究所も研究をする。普通、民間ではそういう手法、ある一つの開発目標を掲げて、そこまでに何とか、コストの面でも、技術の面でもクリアしようということでやるわけですが、そういうものがないと何かだらだらとやっている感じがしないでもないということでございます。
 国土交通省さん、これをぜひ、文部科学省と連携して、国家プロジェクトの中に組み込むということ、いかがでしょうか、きょう国土交通省さんから来ていただいていますので。
 
○門松政府参考人 お答えいたします。
 ただいま文部科学省の方から御答弁がありましたが、研究開発されました技術を実際の土木・建築構造物へ活用するためには、構造物の設計法や性能評価法などの検討もあわせて進めることが必要でございます。そこで、超鉄鋼の開発を担当していらっしゃいます独立行政法人物質・材料研究機構と、我が省が所管いたします、土木・建築構造物への適用性の研究を行う独立行政法人土木研究所と建築研究所の間で綿密な情報交換を開始しているところでありまして、今後、超鉄鋼の特徴を生かせる分野を選定しつつ、効率的な研究開発を連携して進めてまいりたいと思っております。
 国土交通省としては、このような研究開発の進展状況を踏まえつつ、御指摘のありました超高層ビルや超大橋も視野に入れて、超鉄鋼の土木・建築構造物への活用を検討していきたいと考えております。
 
○斉藤(鉄)委員  連携を始めて進めていただけるということですので、どうかよろしくお願いします。国民にわかるような形でプロジェクトがぱっと出ると非常にいいかと思います。
 次の問題に移ります。
 これは副大臣にお聞きしたいと思いますが、建築基準法旧三十八条問題でございます。これは、建築基準法の話だったら国土交通委員会でやれという声が飛んできそうですが、実はそうではありません。技術開発、大学における研究と非常に深くかかわっております。
 平成十年に建築基準法が改正されました。仕様規定から性能規定へということによりまして、これは民間の公共工事でもそうですけれども、基本的に、使う技術というのは国土交通省が告示した技術しか使えない、こういうふうになってしまいました。
 いわゆる旧三十八条には、新しい技術は大臣が認定すれば、具体的には、専門家が集まってこの技術はすばらしい技術だね、では使ってもいいよというお墨つきを与えるわけですが、その大臣認定ルートがありまして、新しい技術が世の中に出る方法がございました。例えば、今大変はやっております免震、地震が来たときに上のビルだけは揺れない、あの免震技術も、この大臣認定ルートを通って世の中に出たものでございます。
 ところが、この三十八条がなくなった。建築基準法を改正するときに、こんなことを言うと国土交通省の人は違うと言うんですが、聞くところによると、国土交通省はそういう告示した技術しか使えないという法律だと新しい技術が出にくくなると主張したんですが、内閣法制局が、いわゆる透明性だ、法律というのは透明性なんだ、そんな、大臣認定ルートという、どこかの専門家かだれか知らないけれども、密室で決めたようなもの、そういうルートを残すというのは、それはもう法律の世界ではこれからはあり得ないんだというふうなことで、内閣法制局に負けて、旧三十八条を削っちゃった。これは国土交通省の方は決してお認めになりませんけれども、そういううわさも飛んでおります。
 これは、ある意味で、科学技術の今後の発展にとって、この建築基準法だけではありませんけれども、大変ポイントになる問題だと思うんです。確かに法定主義は大事ですが、しかし、法律で規定できない世界で新しい技術ができるわけですから、そういうルートを残しておくことも大事だと思います。
 このことについて渡海副大臣にも、私相談に行きましたけれども、御認識を伺いたいんですが、その前に、この問題について、国土交通省、国土交通委員会でも私質問させていただきましたが、現在の取り組みをお聞きします。その後、副大臣の方から御認識をお聞かせ願えればと思います。
 
○小神政府参考人  お答えいたします。
 先生御案内のように、平成十年に建築基準法が改正されまして、必要な性能を満たせば個別具体の材料ですとか寸法、こういったものを問わないという性能規定化が実施されております。しかしながら、この制度につきましては、今先生も御指摘いただきましたように、大臣認定の運用が厳格化し過ぎているのではないか、あるいは必要な認定のルートが十分整備されていないのではないかという御指摘をいただいているところでございます。
 私どもといたしましては、新技術を速やかに受け入れるという観点から、民間の新技術を適切に評価できるような取り組みをことしの一月から行っております。具体的に言えば、民間の技術者団体あるいは個別の企業等々の方から技術基準に対して見直しの提案をいただく一元的な受付窓口を開設いたしますとともに、そういった提案を受けて、学識経験者等から成ります建築住宅性能基準検討委員会というものを設けまして、この技術基準提案を迅速的確に基準整備に反映していくということを始めたところでございます。また、昨年十二月には、部材、構法レベルの認定ルートを整備するという観点から政令改正を行いまして、これはこの七月から施行させていただくことになっております。
 そういった対応を行うことによりまして、これから新しい技術開発の道が閉ざされないように、さらに円滑に進むような取り組みを今後とも進めてまいりたいと考えております。
 
○渡海副大臣  中身については斉藤委員御指摘のとおりでございます。
 一緒にやらせていただいておりますからあえてここでは申し上げませんが、三十八条の道というもので設計者はチャレンジができたわけですね。そして、そこで新しい構法を見出し、実験によって実証し、許可を得る。一番わかりやすい例としては、後楽園ドームがそうです。あれは壮大な実験をやって空気膜というものを日本に導入したわけでして、実は私も一緒に仕事をしておりましたから、これはある建設会社と設計事務所が一緒になってやったわけでありますけれども、よくわかります。しかし、そういう道を閉ざすことによって、設計の幅がなくなる、新しい技術が生まれてこなくなる、これは設計者の皆さんから本当に多く寄せられているわけでございます。
 そこで、今国土交通省がお答えになったような、窓口を開き、ニーズを吸収して、三十八条的な方法を今後とも認めていこうという検討を、今、何についてやればいいのかということを開始していただいていることも事実でございます。
 斉藤委員もホームページで、今後の見直し、この体制を国土交通省が責任を持ってやってくれるなら私は静かに見守ろうと思う、しかし、しばらくして実質的な改善が見られないならそのときは何らかの動きをしなければならない、議員立法も選択肢の一つであると。そのときは、私は、政府にいなければ、私も提案者の一人にならせていただきたい、そういうふうに考えております。
 
○斉藤(鉄)委員  研究開発を担当する副大臣として、ぜひ御支援をお願いしたいと思います。
 次に移ります。原子力でございます。
 昔、科学技術といいますと科学技術委員会というのがございまして、その中で、原子力、宇宙、海洋、これが三本柱だったわけですけれども、最近、原子力も宇宙も予算はどんどんどんどん減ってきておりまして、ある意味で寂しい思いをしております。しかし、私は重要さは変わらないと思っております。
 この原子力について、いろいろ質問を用意してきたんですが、もう時間がなくなりましたので、教科書問題だけ取り上げたいと思います。
 高校の社会科の教科書です。原子力について社会にいろいろな意見がある、二分されている、これはそうでございます。それに対して、社会科ですから、いろいろな考え方を正確に教科書には書かなければならないと思うんですが、中には、余りに原子力に対してイデオロギー的な、一方的な見方の教科書もまだ存在しているように思います。
 これを全部読んでいる時間はありませんので、例えば、原子力発電について一ページ表現をされているんですが、「原子力は、大量のエネルギーを供給でき、温室効果の影響も少ないといわれる反面、」と一行だけ書いてあって、あとは全部否定的な記述。それから「ディベートをしてみよう」ということで、テーマ、日本は今後、原子力発電所を増設すべきかどうかというディベートをしてみようと。否定側の立場の立論としてこんなことが書いてあるんです。「原子炉の解体、放射性廃棄物の管理費用は膨大なもので、これを算入すると、発電コストは、他のものに比べてかなり高いものになる。」と事実であるかのように書いてございます。
 しかしながら、これは事実ではありません。非常に長期的な試算で、原子力については他の火力発電等に比べてもコスト的にも十分対抗するというのが現在の認識でございます。ある意味では間違ったことが書いてある。
 こういう教科書が実際に使われているというのは大変大きな問題ではないか、これが原子力についてのいわゆる国民的合意を形成する際の大きな妨げになっているのではないかと私は思いますけれども、この点について、副大臣はどのようにお考えでしょうか。
 
○渡海副大臣   教科書というのは、斉藤委員も御案内のように、検定制度の中で行われているわけでございまして、そこで事実誤認がないかというチェックをしっかりとしていると聞いております。しかしながら、バランスを欠いたものになっているということであれば、それはやはりバランスのよいものにしていかないと、確かに誤った情報というものがインプットされてしまう、そういう問題もきっちりと考えていかなければいけないというふうに思っております。
 いずれにいたしましても、誤った記述、先ほどそういう御指摘がございましたが、そういうことが絶対にないように私どももしっかり見ていきたいというふうに思っておりますし、検定制度の中で、バランスのとれたものになるように、私は事実は事実としてある程度は書かないといけないというふうには思いますが、バランスを著しく欠いたということにならないようにしていきたいというふうに考えておるところでございます。
 
○斉藤(鉄)委員   最後、宇宙の問題について。全部細切れの質問で済みません。
 情報収集衛星二機、打ち上げられました。武力攻撃事態対処法も今参議院で議論されているところでございますが、これに関連して、ミサイル防衛構想研究ということも今議論の対象になっております。このミサイル防衛構想、それから先ほどの情報収集衛星、これは宇宙の研究そのものでございます。
 宇宙開発事業団法を見ますと、その第一条に「平和の目的に限り、」このように書いてございます。今後日本の宇宙研究について、この「平和の目的に限り、」という法律の条文と、私自身この研究は進めていかなきゃいけないと思っておりますが、ミサイル防衛、それから情報収集衛星を進めていく上において、私は議論が必要だと思っているんです。ある意味では条文の改正も必要ではないか、このように思っておりますが、この点について、副大臣と、これは大変重要な問題なので、最後に大臣にお伺いをして、質問を終わります。
 
○渡海副大臣   「平和の目的に限り、」ということ、この言葉をどう解釈するかというのは、幅のある議論だと私も思っております。そして、いろいろな情勢が変わる中で、やはりこれは国会がしっかりと議論をすべき課題であるというふうに思っております。
 政府という立場からは、今の段階では、この「平和の目的に限り、」というのは、一番当初議論されたのが四十四年ですか、たしかそうだったと思いますが、その段階の解釈に基づいて今回、事業団の改正法の中にも入れさせていただいているということであります。
 このことをどう考えるかというのは、これは平和目的というものの選択肢の幅ですね。これは国会でも議論があってしかるべきだと思いますし、そういった議論の中でクリアになっていくものである。しかも、従来の考え方だけを踏襲するということで時代に対応できるのかという疑問は、私自身も委員同様持っておるところでございます。

○遠山国務大臣   今、副大臣のお答えしたとおりでございまして、私は、宇宙開発、特に研究開発というのは大変大事な、国の存立基盤にかかわるものだと思っております。
 現在、幸いにロケットが、H2A五機、そしてミュー5、固体燃料のロケットが成功いたしております。打ち上げ成功でございます。こうしたものを通じて、さらにそれに載せていく衛星、それらを通じてやろうとしておりますことは、広い意味で、当然ながら平和目的でございます。
 そして、情報収集衛星等は、国それから国民の安全の確保のためでございますし、地球観測衛星等による地球環境保全等の役割を果たすというようなものでございまして、私どもとしては、研究開発という角度からいえば、現在の法体系の中での平和目的ということにおいて、しかし研究開発ということできちっとやるべき技術開発というのをやっていくというのが現在のスタンスでございます。

○斉藤(鉄)委員    終わります。ありがとうございました。
  

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